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番外
男女
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学園生活が始まって早数か月。私はがっくりと机に突っ伏していた。
「・・・勉強難しいよぉ。友達出来ないよぉ」
数学とかはなぜか解法とかが元の世界と一緒で、ある程度考えれば私はまぁまぁ得意な方だった。何かこの世界の数学簡単だし。でも歴史とか言語とか、貴族の子たちが小さいころから学んできた基礎が私にはないからやっぱりついていけない。
それと友達。女の子の友達が出来たらなぁと思って話しかけてみようとするんだけど、なぜかできるのは男の子の友達ばかり。しかもみんな高位貴族だからすでに婚約者がいる。男の子と仲良くなるたびに婚約者の子に嫌われていく。私聖女なんだけど?聖なる存在なんじゃないの?男の子の友達ばっかりでいいの?いや悪い気はしないんだけどさ。聖女としての力もなぜか成長してるみたいだし。
そんな気持ちは隠しながらのお昼ごはん。ベンネルたちと一緒の昼食で、私はフォークにパスタを巻き付けため息を吐く。
「学園の授業難しくない?歴史わかんない。ついていくのがやっとなんだけど」
そんな私にベンネルが微笑みかけてくれる。
「アカリはこの世界に来てまだ間がないのだから仕方ないよ。それに数学はよくできてるじゃないか」
ベンネルに対抗するようにレーブが身を乗り出す。
「そうだよ。アカリはいつも数学満点なんだから。前の世界でも数学得意だったの?」
褒められてうれしくて思わず照れ笑うとカルがそっと頭を撫でてくる。
「アカリは、凄いよ」
・・・やだ。やっぱりすごく照れる。逆ハーってこんな感じじゃない?何も言わないブレイグも優しい目で私を見つめてるし。
照れながら首を振る私を婚約者さんたちが見つめているのがわかる。冷たい目。怒りの目。嫉妬の目。それともう一つは無関心の目。
・・・あの子はやっぱりブレイグには興味ないのかな。だからブレイグと一緒にいる私にも特に関心がないのかもしれない。
・・・なんか。やだなぁ。
数日後、教室で珍しく一人でいるあの子を見つけた私は思わずベンネルたちのそばを離れて声をかけてしまった。
「ねぇ、隣座ってもいい?」
返事される前に座っちゃう。断られたら悲しいし。いつもはレーブの婚約者さんが座る席。あの子は真面目なのか教科書を見つめている。
何を言おうか。なんて言ったら会話になるかな。私と、友達になってくれるかな。
「・・・勉強難しいよぉ。友達出来ないよぉ」
数学とかはなぜか解法とかが元の世界と一緒で、ある程度考えれば私はまぁまぁ得意な方だった。何かこの世界の数学簡単だし。でも歴史とか言語とか、貴族の子たちが小さいころから学んできた基礎が私にはないからやっぱりついていけない。
それと友達。女の子の友達が出来たらなぁと思って話しかけてみようとするんだけど、なぜかできるのは男の子の友達ばかり。しかもみんな高位貴族だからすでに婚約者がいる。男の子と仲良くなるたびに婚約者の子に嫌われていく。私聖女なんだけど?聖なる存在なんじゃないの?男の子の友達ばっかりでいいの?いや悪い気はしないんだけどさ。聖女としての力もなぜか成長してるみたいだし。
そんな気持ちは隠しながらのお昼ごはん。ベンネルたちと一緒の昼食で、私はフォークにパスタを巻き付けため息を吐く。
「学園の授業難しくない?歴史わかんない。ついていくのがやっとなんだけど」
そんな私にベンネルが微笑みかけてくれる。
「アカリはこの世界に来てまだ間がないのだから仕方ないよ。それに数学はよくできてるじゃないか」
ベンネルに対抗するようにレーブが身を乗り出す。
「そうだよ。アカリはいつも数学満点なんだから。前の世界でも数学得意だったの?」
褒められてうれしくて思わず照れ笑うとカルがそっと頭を撫でてくる。
「アカリは、凄いよ」
・・・やだ。やっぱりすごく照れる。逆ハーってこんな感じじゃない?何も言わないブレイグも優しい目で私を見つめてるし。
照れながら首を振る私を婚約者さんたちが見つめているのがわかる。冷たい目。怒りの目。嫉妬の目。それともう一つは無関心の目。
・・・あの子はやっぱりブレイグには興味ないのかな。だからブレイグと一緒にいる私にも特に関心がないのかもしれない。
・・・なんか。やだなぁ。
数日後、教室で珍しく一人でいるあの子を見つけた私は思わずベンネルたちのそばを離れて声をかけてしまった。
「ねぇ、隣座ってもいい?」
返事される前に座っちゃう。断られたら悲しいし。いつもはレーブの婚約者さんが座る席。あの子は真面目なのか教科書を見つめている。
何を言おうか。なんて言ったら会話になるかな。私と、友達になってくれるかな。
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