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「アリエル姫。『夫婦の契り』でしたっけ?それと、その腕輪はどういう因果関係なのですか?」
何の含みもなく優希は私を見て問い掛ける。
爽やかイケメンに乱れなし。
男の私から見ても見惚れてしまう美貌。
これじゃあ聖女様も一目惚れしちゃうよなぁ。
しかし、それよりもだ。
問題は宰相が置いていったこの腕輪だ。
夫婦の契りって腕輪寄越されても異世界の人だからこの国のことなんて何も知らないんだよな。
「あの……この腕輪は貴族の婚姻の証しとしてこの国で流通している物です。お互いの体液が混じった物をこの腕輪に付着させると魔術が発動し、夫婦の腕輪になります。お互いの左腕に着けて婚姻している証しにすると共に、この腕輪を通してお互いがお互いを守る護符になると言う言い伝えがあります。ただし、男性は右腕に第二夫人の腕輪を着ける事が出来ます。つまり、この国は一夫二婦制なのです」
何とも男性有利な世界な事か、二人の妻を持つなんて本当に反吐が出る。
「つまり体液なら何でも良いと?唾液とか?」
優希は純粋にそう訪ねて来た。
おお、異世界人はなんとうぶなんだろう。
唾液で事が足りるならこんなに悩んだりなんてしない。
「いえ、唾液とかの体液では魔術の発動条件としては対価が低いのです。皆さん初夜の時の初めての交わりの物を持ちいます」
自分で言っていて滅茶苦茶恥ずかしい。
だって、先程の話を要約すれば、宰相も王太子も私達が今夜初夜を迎えるよう催促した事になるのだから。
「そう……なんですか。でも、アリエル姫はそれで良いのですか?」
優希は真剣な眼差しで問い掛けて来る。
「優希様。私の事はアリエルと」
勇者である優希は私の夫になるのだから。
「では、私の事も優希と呼んで下さいますか?」
優希はニコリとそう言った。
夫婦なのだからそれもそうなのだ。
お互いを「姫」「様」呼びと言うのも可笑しい。
「分かりました優希」
そう言うと優希は優しく微笑んだ。
そんな優希に私は思わずほっこりする気持ちに気付く。
結婚云々がなければ、私は優希と言う人間を好ましく思っているんだ。
自分が男である以上、彼が男であるのが残念でならない。
それとも自分が女じゃない事が残念なのか。
「で、アリエルはどうなの?私と情事を重ねたい?」
はっきりと聞いて来る優希。
でも、男の自分がそれに頷けるはずがない。
「いえ……私では……」
男だからね。
無理っしょ。
そう思っていると、優希は優しく微笑む。
「まだ16なんだから何も気にする事はないよ。そう言う事は大人になってから考えれば良いんだからさ」
優希はそう言うと私の頭を撫でくれた。
優しい手だな……無意識にそう思った。
「じゃあ、対策を考えようか」
そうして優希はニコリと微笑んだ。
その時。
いつものろまな侍女が晩餐の準備が出来たと入室して来た。
ところ狭しと並べられる晩餐。
「凄い豪勢な晩餐だね」
次々と運び込まれる食事。
主に肉が中心だが、所々に精力剤のような食材も含まれている。
「いえ、違います。多分、勇者様に気を使われたのかと……」
そうだ。
いつも私の食事は質素だし、食事の時間から大分ずれている為に冷えきった物しか並ばない。
それに、パンにスープ。
サラダに少しのメインが置いてある位だ。
たまにデザートが付くけど、それだって本当にたまにだ。
私は何とか生かされているだけの王族。
王太子のスペアにしか過ぎない。
つまり、王太子に万が一の事があった時に、国の有力な貴族と結婚して後を継ぐ。
それだけの存在。
今回は勇者様が現れたお陰で私の使い道が早まっただけ。
何の含みもなく優希は私を見て問い掛ける。
爽やかイケメンに乱れなし。
男の私から見ても見惚れてしまう美貌。
これじゃあ聖女様も一目惚れしちゃうよなぁ。
しかし、それよりもだ。
問題は宰相が置いていったこの腕輪だ。
夫婦の契りって腕輪寄越されても異世界の人だからこの国のことなんて何も知らないんだよな。
「あの……この腕輪は貴族の婚姻の証しとしてこの国で流通している物です。お互いの体液が混じった物をこの腕輪に付着させると魔術が発動し、夫婦の腕輪になります。お互いの左腕に着けて婚姻している証しにすると共に、この腕輪を通してお互いがお互いを守る護符になると言う言い伝えがあります。ただし、男性は右腕に第二夫人の腕輪を着ける事が出来ます。つまり、この国は一夫二婦制なのです」
何とも男性有利な世界な事か、二人の妻を持つなんて本当に反吐が出る。
「つまり体液なら何でも良いと?唾液とか?」
優希は純粋にそう訪ねて来た。
おお、異世界人はなんとうぶなんだろう。
唾液で事が足りるならこんなに悩んだりなんてしない。
「いえ、唾液とかの体液では魔術の発動条件としては対価が低いのです。皆さん初夜の時の初めての交わりの物を持ちいます」
自分で言っていて滅茶苦茶恥ずかしい。
だって、先程の話を要約すれば、宰相も王太子も私達が今夜初夜を迎えるよう催促した事になるのだから。
「そう……なんですか。でも、アリエル姫はそれで良いのですか?」
優希は真剣な眼差しで問い掛けて来る。
「優希様。私の事はアリエルと」
勇者である優希は私の夫になるのだから。
「では、私の事も優希と呼んで下さいますか?」
優希はニコリとそう言った。
夫婦なのだからそれもそうなのだ。
お互いを「姫」「様」呼びと言うのも可笑しい。
「分かりました優希」
そう言うと優希は優しく微笑んだ。
そんな優希に私は思わずほっこりする気持ちに気付く。
結婚云々がなければ、私は優希と言う人間を好ましく思っているんだ。
自分が男である以上、彼が男であるのが残念でならない。
それとも自分が女じゃない事が残念なのか。
「で、アリエルはどうなの?私と情事を重ねたい?」
はっきりと聞いて来る優希。
でも、男の自分がそれに頷けるはずがない。
「いえ……私では……」
男だからね。
無理っしょ。
そう思っていると、優希は優しく微笑む。
「まだ16なんだから何も気にする事はないよ。そう言う事は大人になってから考えれば良いんだからさ」
優希はそう言うと私の頭を撫でくれた。
優しい手だな……無意識にそう思った。
「じゃあ、対策を考えようか」
そうして優希はニコリと微笑んだ。
その時。
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「いえ、違います。多分、勇者様に気を使われたのかと……」
そうだ。
いつも私の食事は質素だし、食事の時間から大分ずれている為に冷えきった物しか並ばない。
それに、パンにスープ。
サラダに少しのメインが置いてある位だ。
たまにデザートが付くけど、それだって本当にたまにだ。
私は何とか生かされているだけの王族。
王太子のスペアにしか過ぎない。
つまり、王太子に万が一の事があった時に、国の有力な貴族と結婚して後を継ぐ。
それだけの存在。
今回は勇者様が現れたお陰で私の使い道が早まっただけ。
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