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「このお肉の味付け、とても美味しいですね。あぁ、こちらの魚の香草焼きも美味しい。それに、このパンが更に良い。バターと塩の加減が最高だ。これに野菜いっぱいのサラダがあればな~」
優希は一口食べると次の食事へと手を伸ばしては料理を褒め称える。
「あぁ、これはすっぽんですか?とても美味しいですね。あれ、これは牡蠣ですか?バターと合いますね。あぁ、これに海藻サラダがあればな~」
そして、まるで催促しているかの様に、食卓に乗っていない料理を欲しがる。
お陰で先程から侍女達が何度も何度も部屋を出たり入ったりと大忙しだ。
「ああ、やっぱり最後にはデザートが欲しいよね。いつも食べているあれはないのかな?」
優希はそう言うと食卓の隅々まで見渡す。
そう。
見渡す程の料理が数台のキッチンワゴンに乗せられている。
すると、再び侍女が数台のキッチンワゴンを押しながら入室して来た。
「わぁ、私の好きなデザートがいっぱいあるね」
嬉しそうに微笑む優希に侍女達が顔を赤らめる。
「あ……けど、私の好きなフルーツゼリーやパイはないんだね」
しょんぼりする優希に侍女達は顔を見合せ一目散に部屋を後にした。
そして、更にデザートを乗せたカートを数台押して来る。
貴賓用の大きな部屋は今や食事が乗ったカートだらけと化していた。
「私のためにありがとう。こんな有意義な食事が摂れてとても嬉しいよ。とても気がきいていてお嫁に貰っちゃいたいくらいだね」
そして優希は侍女達を労うように微笑んだ。
それも、極上のスマイルで……。
タ……タラシだ。
この男、間違いなく女タラシだ。
男の自分でもここまで露骨にはしない。
そして、と言うべきか晩餐はやはり大分余ってしまった。
ってか、殆んど手付かずでだ。
当たり前だろう。
どう見ても大宴会並みの食事が所狭しと並んでいるのだから。
「君達が一生懸命運んで来てくれたのに、今はお腹いっぱいだ。後で食べても良いかな?」
優希はあざとく首を傾げながら侍女に声をかけると
「夜はなご~ございますから、このまま置いて置きます。朝までお腹が空かれた時にでもお食べください」
そう言って頭を下げて皆退出していった。
「は~あ?何言ってんの?」
思わず素で突っ込んでしまった。
後ろからはクスクスと笑う声。
ハッとして振り返ると優希が楽しそうに笑っていた。
「元気なようで良かったよ」
そう言ってテーブルの中央に置かれた果物に手を伸ばす。
優希はフルーツの山から苺を取り出すとゆっくりと一口噛む。
一瞬赤く熟れた苺を噛む優希の唇を凝視してしまう。
「凄く甘いね。大きいから大味なのかと思ったけど、やはり王宮で出される物なだけある。明日は色々な果物を出してくれるようにお願いしようかな」
楽しそうにそう言う優希。
けど、私は全然楽しくない。
正直、この後から明日までの事を本気で考えたくないくらいだ。
いくら優希が国一番の美男子だったとしても、男同士でピーするなんて正直嫌だ。
いくら私が女装していたとしても心まで女な訳ではない。
殺されない為に強いられた女装であって決して趣味でも乙男でもない。
健全な男子だ。
「さて、そろそろ始めますか」
そんな私の気持ちも知らず、優希はそう言うと先程の腕輪を掴む。
ゴクリと私は喉を鳴らした。
命の危機はあの王太子を兄に持つだけあり何度も感じた。
けど、貞操の危機なんて始めてだ。
(王太子の目が光ってたから誰もアリエルに近付かなかった)
優希はさっき大人になってからで良いみたいな事を言っていたけど、やっぱり所詮ヤりたい盛りの男なんだ。
ほら、侍女達も良く言っていたじゃないか「男は狼なのよ」とか「狼を上手く使って玉の輿」とか。
そして、息が詰まるような静寂が暫し訪れた。
優希は一口食べると次の食事へと手を伸ばしては料理を褒め称える。
「あぁ、これはすっぽんですか?とても美味しいですね。あれ、これは牡蠣ですか?バターと合いますね。あぁ、これに海藻サラダがあればな~」
そして、まるで催促しているかの様に、食卓に乗っていない料理を欲しがる。
お陰で先程から侍女達が何度も何度も部屋を出たり入ったりと大忙しだ。
「ああ、やっぱり最後にはデザートが欲しいよね。いつも食べているあれはないのかな?」
優希はそう言うと食卓の隅々まで見渡す。
そう。
見渡す程の料理が数台のキッチンワゴンに乗せられている。
すると、再び侍女が数台のキッチンワゴンを押しながら入室して来た。
「わぁ、私の好きなデザートがいっぱいあるね」
嬉しそうに微笑む優希に侍女達が顔を赤らめる。
「あ……けど、私の好きなフルーツゼリーやパイはないんだね」
しょんぼりする優希に侍女達は顔を見合せ一目散に部屋を後にした。
そして、更にデザートを乗せたカートを数台押して来る。
貴賓用の大きな部屋は今や食事が乗ったカートだらけと化していた。
「私のためにありがとう。こんな有意義な食事が摂れてとても嬉しいよ。とても気がきいていてお嫁に貰っちゃいたいくらいだね」
そして優希は侍女達を労うように微笑んだ。
それも、極上のスマイルで……。
タ……タラシだ。
この男、間違いなく女タラシだ。
男の自分でもここまで露骨にはしない。
そして、と言うべきか晩餐はやはり大分余ってしまった。
ってか、殆んど手付かずでだ。
当たり前だろう。
どう見ても大宴会並みの食事が所狭しと並んでいるのだから。
「君達が一生懸命運んで来てくれたのに、今はお腹いっぱいだ。後で食べても良いかな?」
優希はあざとく首を傾げながら侍女に声をかけると
「夜はなご~ございますから、このまま置いて置きます。朝までお腹が空かれた時にでもお食べください」
そう言って頭を下げて皆退出していった。
「は~あ?何言ってんの?」
思わず素で突っ込んでしまった。
後ろからはクスクスと笑う声。
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「元気なようで良かったよ」
そう言ってテーブルの中央に置かれた果物に手を伸ばす。
優希はフルーツの山から苺を取り出すとゆっくりと一口噛む。
一瞬赤く熟れた苺を噛む優希の唇を凝視してしまう。
「凄く甘いね。大きいから大味なのかと思ったけど、やはり王宮で出される物なだけある。明日は色々な果物を出してくれるようにお願いしようかな」
楽しそうにそう言う優希。
けど、私は全然楽しくない。
正直、この後から明日までの事を本気で考えたくないくらいだ。
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けど、貞操の危機なんて始めてだ。
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