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ユヌ国の神殿前広場に面した中央通りは横幅500mにもなる大きな通りだ。
その中央通りの真ん中の100mは、王公貴族が儀式の時に通る道となっている、通称『華道』がある。
儀式の間は王公貴族の通る道の横断は出来ない事になっているため、人々は極力中央は避けている。
そんな中央通りは人の波が途切れる事なくあふれ、今は一般人が極力避けている華道にまで人の波が出来ていた。
まぁ、かく言う俺も華道は極力避けるようには歩いている。
神殿の前の広場の手前から中央通りにかけて出店がひしめきあっており、人の出も多く、多くの客が手に食べ物を持ちながら広場を目指す。
俺は掻き分けるようにその群衆の中を歩く。
各店の呼び込みの声が活気をよんでいて、祭り気分ではないはずのこちらまで楽しくなってしまう。
まだまだ儀式が始まる正午までは時間があると言うのに既にこの賑わいはある意味凄い。
「これは早く兄さんの店に着かなきゃ」
いつもならとっくに神殿前の広場についているはずなのにこの想定外の人混みが俺の行く手を邪魔をする。
「こんな混むのなんて初めての見たよ。新年の慶賀祭より凄いな」
この国では新年に入った3日間は色々な祝いの行事を神殿前の広場でする為にお祭りと化す。
その時よりも今日は人で賑わっているのだ。
そのもっともな理由が貴族だろう。
新国王を決めるための大切な儀式のために、各領地から集まった貴族達。
勿論、集まった貴族達の中には自分こそが次期国王だと思っている者もいるだろうが、大概は国王候補に選ばれた者と縁を結ぶ為に集まっているのだと思う。
「まぁ、コネは大切だけどさぁ、っと、感心している場合じゃない急がなきゃ」
人混みを掻き分けながら何とか前に進み、ようやく広場に着いたのは11時を過ぎた頃だった。
「ユキ」
聞き慣れた兄の声に辺りを見渡せば、頭一つ大きな黒が見えた。
「兄さん」
兄の店は広場の入り口の所にあった。
店の敷地も広くあの父がどんだけのコネで場所取りをしたのか是非聞いてみたいと思ったほどだ。
店先から俺に手を振っていた兄は応対していた客に品物を渡すと俺の方へと駆け寄って来る。
「ユキ、少しは大きくなったか?」
数日前に帰って来ていた兄とはずっとすれ違っており、会うのは2年振りだ。
兄とは頭2個分大きさの違う俺の頭を豪快に撫でる。
「相変わらず、男のくせにちっちゃいなぁ~、まぁ、兄としては可愛い弟は嬉しいぞ」
そう言って俺の肩を持つ。
「もう少し大きくなるようにいっぱい食わせてやるからな。取り敢えずこれを食え」
そう言って紙包みに入れた状態で寄越されたのは馴染みのあるハンバーガーだ。
数年前に兄に教えてからやたらと兄ははまってしまった。
今では色々なアレンジをきかせている。
「そうだ。ケチャップとか色々調味料持って来たんだ」
俺はそう言うとリュックごと兄に調味料を手渡す。
「サンキュウ、ユキ。そろそろ材料がヤバかったんだ」
何せこの国ではトマトは悪魔の実と言われて恐れられているためにトマトの加工品は存在していなかった。
密かに俺が栽培して加工までしている秘密の調味料だ。
「隣の国で手に入れた調味料もそろそろなくなってしまう所だったから助かるよ」
何度も言うが、トマトが悪魔の実と言われて嫌われているのはこの国だけだ。
「極秘ルートだからな。他の同業者には秘密だよ」
「ああ、分かっている」
そう言って兄は笑った。
その時、丁度正午の鐘が神殿から鳴り響き華道から貴族達が入場して来た。
その中央通りの真ん中の100mは、王公貴族が儀式の時に通る道となっている、通称『華道』がある。
儀式の間は王公貴族の通る道の横断は出来ない事になっているため、人々は極力中央は避けている。
そんな中央通りは人の波が途切れる事なくあふれ、今は一般人が極力避けている華道にまで人の波が出来ていた。
まぁ、かく言う俺も華道は極力避けるようには歩いている。
神殿の前の広場の手前から中央通りにかけて出店がひしめきあっており、人の出も多く、多くの客が手に食べ物を持ちながら広場を目指す。
俺は掻き分けるようにその群衆の中を歩く。
各店の呼び込みの声が活気をよんでいて、祭り気分ではないはずのこちらまで楽しくなってしまう。
まだまだ儀式が始まる正午までは時間があると言うのに既にこの賑わいはある意味凄い。
「これは早く兄さんの店に着かなきゃ」
いつもならとっくに神殿前の広場についているはずなのにこの想定外の人混みが俺の行く手を邪魔をする。
「こんな混むのなんて初めての見たよ。新年の慶賀祭より凄いな」
この国では新年に入った3日間は色々な祝いの行事を神殿前の広場でする為にお祭りと化す。
その時よりも今日は人で賑わっているのだ。
そのもっともな理由が貴族だろう。
新国王を決めるための大切な儀式のために、各領地から集まった貴族達。
勿論、集まった貴族達の中には自分こそが次期国王だと思っている者もいるだろうが、大概は国王候補に選ばれた者と縁を結ぶ為に集まっているのだと思う。
「まぁ、コネは大切だけどさぁ、っと、感心している場合じゃない急がなきゃ」
人混みを掻き分けながら何とか前に進み、ようやく広場に着いたのは11時を過ぎた頃だった。
「ユキ」
聞き慣れた兄の声に辺りを見渡せば、頭一つ大きな黒が見えた。
「兄さん」
兄の店は広場の入り口の所にあった。
店の敷地も広くあの父がどんだけのコネで場所取りをしたのか是非聞いてみたいと思ったほどだ。
店先から俺に手を振っていた兄は応対していた客に品物を渡すと俺の方へと駆け寄って来る。
「ユキ、少しは大きくなったか?」
数日前に帰って来ていた兄とはずっとすれ違っており、会うのは2年振りだ。
兄とは頭2個分大きさの違う俺の頭を豪快に撫でる。
「相変わらず、男のくせにちっちゃいなぁ~、まぁ、兄としては可愛い弟は嬉しいぞ」
そう言って俺の肩を持つ。
「もう少し大きくなるようにいっぱい食わせてやるからな。取り敢えずこれを食え」
そう言って紙包みに入れた状態で寄越されたのは馴染みのあるハンバーガーだ。
数年前に兄に教えてからやたらと兄ははまってしまった。
今では色々なアレンジをきかせている。
「そうだ。ケチャップとか色々調味料持って来たんだ」
俺はそう言うとリュックごと兄に調味料を手渡す。
「サンキュウ、ユキ。そろそろ材料がヤバかったんだ」
何せこの国ではトマトは悪魔の実と言われて恐れられているためにトマトの加工品は存在していなかった。
密かに俺が栽培して加工までしている秘密の調味料だ。
「隣の国で手に入れた調味料もそろそろなくなってしまう所だったから助かるよ」
何度も言うが、トマトが悪魔の実と言われて嫌われているのはこの国だけだ。
「極秘ルートだからな。他の同業者には秘密だよ」
「ああ、分かっている」
そう言って兄は笑った。
その時、丁度正午の鐘が神殿から鳴り響き華道から貴族達が入場して来た。
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