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彼と私の必死な攻防戦
第17話 (ラファエラside)
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小さい頃からメリッサお姉様が目障りだった。
お姉様は昔から快活で、令嬢のくせに走るのが速くて運動神経が抜群だった。それで、周囲の人たちからもてはやされていた。私だって注目を浴びたいのに、いつもお姉様にスポットライトが当たる。それが許せなかった。
お姉様のお母様は、お姉様を産んですぐに亡くなった。そして、お父様はお母様と結婚し、私が生まれた。私よりもお姉様が注目されることを、私のお母様も許さなかった。それで、お姉様が注目されれば注目されるほど、お母様はお姉様をいびるようになった。お姉様が憎かった私も、それに便乗したのだ。
快活で元気だったお姉様も、私たちのいじめがエスカレートするにつれ、大人しく目立たなくなってきた。そして、私が注目されるようになってきた。それが快感だった。いつしか私はお姉様を卑下するようになっていた。
お姉様は社交界デビューすら許されず、ヤヌース伯爵令嬢は私の代名詞となっていた。こうやって注目され、可愛い可愛いと言われ、私は快感だった。
私は将来お洒落な街の地位のイケメン貴族と結婚する。だから、ハンスベルク辺境伯との縁談も、もちろん受けたくなかった。
ハンスベルク辺境伯は、社交界では『悪魔辺境伯』として有名だ。ハンスベルク辺境伯自体が社交の場を好まないらしく、お会いしたこともない。だが、とても冷酷で恐ろしいと聞いている。かつて社交の場で令嬢たちに群がられ、彼女たちを黙殺したと聞いている。また別の話では、彼女たちは睨まれて暴言を吐かれたとか。
いずれにせよ、そんな悪魔辺境伯なんて関わりたくない。だが、お父様はこの縁談に前向きであるため、お姉様に行かせてあげたのだ。
お姉様は今頃、悪魔辺境伯にめちゃくちゃにされているだろうか。その姿を見て、嘲笑ってやりたい。
最近、いじめるターゲットがいなかったから、つまらなかったのだ。
そんなことを思っていると、ハンスベルク辺境伯がお父様を訪問するという話を聞いた。お姉様が来るかは分からないが、悪魔辺境伯を一目見てやろうと思った。
そして……私は、目の前の光景に震えていた。
グレーと赤の騎士服の男たちに囲まれ、黒いコートを着た男性をお姉様は微笑んで見上げているのだ。しかもお姉様は、私のものよりもずっと上等な乗馬用ドレスを着ている。デザインだってとても今風で可愛い。
おまけに、お姉様を見下ろす男性は、とてもいい男なのだ。銀色の髪に青色の瞳。肌は雪のように白い。ただ、背が高く、とても強そうだ。あれが悪魔辺境伯なのだろうか。予想以上にいい男だ。飛び上がってしまうようなイケメンだ。お姉様にはもったいない。
彼はお姉様を口元を歪めて見下ろしていた。そんな彼を見上げるお姉様は、私の知っているお姉様と全然違う。かつてのお姉様みたいに、快活で、自信に溢れて、キラキラした表情をしている。
お姉様のくせに、なんなの!?調子に乗って!!
お姉様は、頬を膨らませていい男から離れていった。これまた若くてかっこいい騎士とともに。そんなお姉様の後ろ姿を、いい男は少し微笑みながら見ている。私は耐えられなくなって、いい男に話しかけていた。
「ハンスベルク辺境伯閣下でございますか? ようこそヤヌース伯爵領へ。
私は、ヤヌース伯爵の娘の、ラファエラと申します」
頬を染めて挨拶をする私を……いい男は、刺し殺すような瞳で見た。先ほどのお姉様を見る瞳と大違いだった。その殺意のこもった瞳で睨まれると、全身の毛がぞぞーっと立つようだった。
だが、このいい男がお姉様をあんな瞳で見ていたことが許せなくて、必死にアピールをする。
「ハンスベルク辺境伯閣下。今日は我が領地に、どのような御用でしょうか」
この男は、全く人に媚を売ったりいい顔をしないのだろうか。相変わらず殺意のこもった瞳で私を見て告げる。
「お前には関係ない」
いきなりお前呼ばわり!? だけど、少しでも気を引きたい私は、とうとう言ってしまった。
「閣下の縁談相手は私でございます。それなのに、どういうわけかお姉様が閣下と結婚したいとわがままを言ったのです。
お姉様は男に目がなく、閣下の美貌に目を奪われたため、私から閣下を取ったのです」
閣下は、私を相変わらず冷たい目で見た。そして、何も言わずに私に背を向ける。お姉様とはあんなに楽しそうに話していたのに、私にはどうしてこんな凍える対応をするのだろう。
私とひと言も話をせずに歩き始める閣下を必死で追う。この男が、私よりもお姉様に懐いているのが憎かった。
「閣下、お待ちください!
もしよろしければ、お姉様より私を選んでください!」
イライラする。お姉様の悲しむ顔が見たい。
そう思うのに、閣下はようやく振り返り、低くて冷たい声で吐いた。
「それであっても、俺はメリッサと結婚する。
今日はメリッサとの婚姻届に、ヤヌース伯爵のサインをいただきに来ただけだ」
私はその場に立ち尽くして、去っていく閣下の背中を眺めていた。
なんで……なんでお姉様なの!? 私のほうが可愛いし、お上品なのに。
……許せない。お姉様のくせに私に勝とうなんて、許さないんだから!!
お姉様は昔から快活で、令嬢のくせに走るのが速くて運動神経が抜群だった。それで、周囲の人たちからもてはやされていた。私だって注目を浴びたいのに、いつもお姉様にスポットライトが当たる。それが許せなかった。
お姉様のお母様は、お姉様を産んですぐに亡くなった。そして、お父様はお母様と結婚し、私が生まれた。私よりもお姉様が注目されることを、私のお母様も許さなかった。それで、お姉様が注目されれば注目されるほど、お母様はお姉様をいびるようになった。お姉様が憎かった私も、それに便乗したのだ。
快活で元気だったお姉様も、私たちのいじめがエスカレートするにつれ、大人しく目立たなくなってきた。そして、私が注目されるようになってきた。それが快感だった。いつしか私はお姉様を卑下するようになっていた。
お姉様は社交界デビューすら許されず、ヤヌース伯爵令嬢は私の代名詞となっていた。こうやって注目され、可愛い可愛いと言われ、私は快感だった。
私は将来お洒落な街の地位のイケメン貴族と結婚する。だから、ハンスベルク辺境伯との縁談も、もちろん受けたくなかった。
ハンスベルク辺境伯は、社交界では『悪魔辺境伯』として有名だ。ハンスベルク辺境伯自体が社交の場を好まないらしく、お会いしたこともない。だが、とても冷酷で恐ろしいと聞いている。かつて社交の場で令嬢たちに群がられ、彼女たちを黙殺したと聞いている。また別の話では、彼女たちは睨まれて暴言を吐かれたとか。
いずれにせよ、そんな悪魔辺境伯なんて関わりたくない。だが、お父様はこの縁談に前向きであるため、お姉様に行かせてあげたのだ。
お姉様は今頃、悪魔辺境伯にめちゃくちゃにされているだろうか。その姿を見て、嘲笑ってやりたい。
最近、いじめるターゲットがいなかったから、つまらなかったのだ。
そんなことを思っていると、ハンスベルク辺境伯がお父様を訪問するという話を聞いた。お姉様が来るかは分からないが、悪魔辺境伯を一目見てやろうと思った。
そして……私は、目の前の光景に震えていた。
グレーと赤の騎士服の男たちに囲まれ、黒いコートを着た男性をお姉様は微笑んで見上げているのだ。しかもお姉様は、私のものよりもずっと上等な乗馬用ドレスを着ている。デザインだってとても今風で可愛い。
おまけに、お姉様を見下ろす男性は、とてもいい男なのだ。銀色の髪に青色の瞳。肌は雪のように白い。ただ、背が高く、とても強そうだ。あれが悪魔辺境伯なのだろうか。予想以上にいい男だ。飛び上がってしまうようなイケメンだ。お姉様にはもったいない。
彼はお姉様を口元を歪めて見下ろしていた。そんな彼を見上げるお姉様は、私の知っているお姉様と全然違う。かつてのお姉様みたいに、快活で、自信に溢れて、キラキラした表情をしている。
お姉様のくせに、なんなの!?調子に乗って!!
お姉様は、頬を膨らませていい男から離れていった。これまた若くてかっこいい騎士とともに。そんなお姉様の後ろ姿を、いい男は少し微笑みながら見ている。私は耐えられなくなって、いい男に話しかけていた。
「ハンスベルク辺境伯閣下でございますか? ようこそヤヌース伯爵領へ。
私は、ヤヌース伯爵の娘の、ラファエラと申します」
頬を染めて挨拶をする私を……いい男は、刺し殺すような瞳で見た。先ほどのお姉様を見る瞳と大違いだった。その殺意のこもった瞳で睨まれると、全身の毛がぞぞーっと立つようだった。
だが、このいい男がお姉様をあんな瞳で見ていたことが許せなくて、必死にアピールをする。
「ハンスベルク辺境伯閣下。今日は我が領地に、どのような御用でしょうか」
この男は、全く人に媚を売ったりいい顔をしないのだろうか。相変わらず殺意のこもった瞳で私を見て告げる。
「お前には関係ない」
いきなりお前呼ばわり!? だけど、少しでも気を引きたい私は、とうとう言ってしまった。
「閣下の縁談相手は私でございます。それなのに、どういうわけかお姉様が閣下と結婚したいとわがままを言ったのです。
お姉様は男に目がなく、閣下の美貌に目を奪われたため、私から閣下を取ったのです」
閣下は、私を相変わらず冷たい目で見た。そして、何も言わずに私に背を向ける。お姉様とはあんなに楽しそうに話していたのに、私にはどうしてこんな凍える対応をするのだろう。
私とひと言も話をせずに歩き始める閣下を必死で追う。この男が、私よりもお姉様に懐いているのが憎かった。
「閣下、お待ちください!
もしよろしければ、お姉様より私を選んでください!」
イライラする。お姉様の悲しむ顔が見たい。
そう思うのに、閣下はようやく振り返り、低くて冷たい声で吐いた。
「それであっても、俺はメリッサと結婚する。
今日はメリッサとの婚姻届に、ヤヌース伯爵のサインをいただきに来ただけだ」
私はその場に立ち尽くして、去っていく閣下の背中を眺めていた。
なんで……なんでお姉様なの!? 私のほうが可愛いし、お上品なのに。
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