これこそが、ボクの人生史上最高の

金糸雀

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だいぶ昔の話

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「好きだなぁ」

ふわふわの毛並みをそうっとそうっと撫でる。
あったかい。ボクの膝に乗ってから、今日はずっと撫でさせてくれてる。
可愛くて、あったかくて。すんすん鳴らす鼻息にも、たまらなく癒される。可愛い。
学校の校舎の裏、たまに来るねこちゃん。多分学校の側のお家の子で、首輪もちゃんとしてる。
白とグレーの混ざった毛並み、深い藍色の目と赤い首輪。
もう全身が、可愛すぎる。
「あーもー大好き」
撫で撫で撫で撫で。
ボクはひたすら撫でながら、にへっと相好を崩した。
「可愛いなぁ」


「オレのこと?」
もぞりと動く気配と共に、ちょっぴり眠そうなカナの声が隣から聞こえてくる。
「ちがいまーす」
ボクはチラリとも見ないまますかさず否定。
「えー、だってオレの髪の毛もふわっふわだよー」
もぞもぞ、もぞもぞ。
ボクの肩に乗っかってたふわふわ頭が動く。
「まぁねーふわふわだよねー。」
それは否定しない。
カナの髪の毛は色素の薄い茶色で癖っ毛で。いつもふわふわしてる。そのうえ触ると柔らかくて撫で心地は悪くない。むしろ最高。2人で部屋でゴロゴロしてる時、高確率でカナの頭撫でてるのは気持ちがいいからだ。
おじいちゃんだか、ひいおじいちゃんだったか。どこかに外国の血が混ざってるらしいって誰かが言ってた。多分。あれ?もしかしたらカナ本人??だれだったかなぁ?忘れちゃったけどみんながいつの間にか知ってたカナの話の一つ。
だからか。目の色も黒じゃないし、体型もなんとなく日本人離れ。肩幅のラインだとか腰の位置だとか、目鼻立ちのしっかりした顔立ちだとか。容貌も雰囲気も、なんとなく違う。
違うパーツが集まって、カナが出来上がる。

「アオの髪はつやっつや」
不意に横から撫でられた。
寝起きでまだ半分ボケてるみたい。撫でる力が容赦ない。
「いだっ!首!クビがくがくしてる!」
撫でるたびに頭までがくがくゆれる!その揺れっぷりと言ったら!!
ボクはカナの手を避けるように身体を捻った。

にゃーん

「あっ!」

急な動きに驚いたのか、膝からねこちゃんが飛び降りてそのまま走っていってしまった。
「あー行っちゃった…」
重くてあったかかった膝が急に寒くて軽い。
(今日はたくさん撫でさせてくれたのになぁ)
なんとなく寂しくなってしまって。
ねこちゃんが残していった抜けた毛をつまんで捨てて。そのまま、空いてしまった膝を触っていたら、横からにょきりと手が増えた。
「アオにはオレがいるでしょう?」
増えたのはもちろん、さっきまで人の肩に頭乗せて寝こけてたカナの手だ。ついでにボクの頭を揺らしまくった手。その手が今度は、ボクの膝頭を包むように掴むと、そのまま上半身を倒してきた。
ぽすっと、ふわふわ頭が膝に乗っかる。
「カナー?」
なんだってボクの膝に頭のっけてんの??
ちょっとびっくりして。
ボクの手、止まっちゃった。
たまにするけど、膝枕。ふざけて同時にのせあいっことかして、首痛くしたり。罰ゲームでひざまくら耐久レースとかして、そのままうっかり寝ちゃって起きて足の痺れに悶絶したり、してるけど。
こんなふうに、急にされたことなかった。びっくり。

「オレの頭だってふわふわでしょ?」
カナはそう言って。膝頭を包んでた手でボクの彷徨ってた手を掴み。
「ほらっ、撫でて」
自分の頭にぽすっと乗せた。
そして掴んだボクの手ごと、なでなでし始めた。
「??、??カナ??」
「…なでて」
「?」
「ほら」
「?うん?うん」

意味はわからなかったけど、まぁいいか。
ボクはカナの手の動きに合わせて、その柔らかな髪の毛を撫でた。ねこちゃんを撫でていたみたいに。そっと。そうっと。

「こう?こんな感じ?」
「うん」


顔はボクのお腹と反対方向だから、表情はわかんない。でも多分だけど、機嫌良さそ…なのは、伝わってきた。あと眠そうなのも。
くわっと、欠伸。

「…きもちいーねぇー」
欠伸しながら、カナはうっとりと、言って。
ゴロゴロ喉でも鳴らしそうだ、だなんて思って気付く。
(もしかして、ねこちゃんと張り合ってる?)
ポンっと浮かんだその思考に、即座にボクは吹き出した。まさか。まさかカナが?ねこちゃんと張り合う??
ない。ない。

「だってカナ、キミはどうみてもワンコだよ」

(きっと眠くて、それで撫でて欲しかったんだね。)


ボクはくふっと笑いながら、そっとそうっと、カナの柔らかな髪を撫でていた。
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