魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第三章

46『捜索!』

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 アンナリーナは兵士たちに断って【身体強化】をかけさせてもらった。

「今日中に片付けたいので駆け足でいかせてもらいます。
 着いてこれなかったら置いていくんでよろしく」

 浅い階層はそれこそ飛ぶように、アンナリーナと兵士5人は駆け抜けた。

 4階層を望む階段のところまではノンストップ。
 疲労の激しい兵士たちには水の代わりに初級回復薬を与えた。

「薬師殿、申し訳ない」

「回復薬なんて大したものじゃないからお気遣いなく」

 アンナリーナにとっては先ほど飲んだ紅茶の方がずっと高価だ。

「次も7階層の手前まで一気に行きます。ちゃんと着いてきて下さいね」


 6階層までアンナリーナは【探索】で魔獣を避けながら、冒険者たちの位置もチェックしていた。
 だが、ここまでに彼ららしき青い点はない。

「どこまで行きます?
 私はこれ以上お薦めしませんけど」

 はっきり言って、3日も経っているのだ。生きている予感はしない。
 そしてその場合、とっくにダンジョンに取り込まれているだろう。

「では、9階層までお願いしたい。
 それで見つからなければ、引き返そう」

 彼ら自身、ここまで深く降りてきたことはない。
 この先がどうなっているのか、有り体に言えば興味がある。
 そしてあの薬師の少女の実力にも興味があった。



 今、目の前で起きていることが信じられず、兵士たちは只々唖然とするばかりだった。
 ……ここは8階層。
 ミノタウロスが闊歩する、前の階層までと比べると格段に難易度が上がる階層だ。
 そこを薬師の少女が、無詠唱の魔法を使い一瞬で屠ると、同時にアイテムバッグに収納していく。
 その鮮やかな手際に言葉もなく見入っていると、のっそりとリザードが近づいてきた。

「もう、この階には今のところ生きているものはいないって、セトが言ってる(ということにしてある)」

「では薬師殿、次の階へ」

「あんまり、お薦めしないけどな」


 第9階層に至る階段の踊り場に腰掛けて、その広大な階層に探索をかけていたアンナリーナが、小さな叫び声をあげた。

「見つけたかもしれない……
 でも一つだけ。とっても弱ってるみたい」

 アンナリーナだけに見える、9階層のマップのある部分に、青い点が点滅している。

「うん、村を迂回していくよ。
 物音を立てないで。
 あの森の中だけど魔獣もいるから警戒は怠らないで」

 言い置くように飛び出したアンナリーナの後を続く兵士たち。
 どうしても避けきれない魔獣は、アンナリーナが血抜きで屠って、インベントリの中だ。

「もう少しで見えてくると思う……
 あ、あの木?」

 もう、このあたりからでも異常に気づいていた。
 ……森の中でここだけ、地面が荒れ、木々が傷ついている。
 倒れてまださほど経っていない木や傷だらけの木、中には魔獣の爪痕らしきものが刻まれている木もあった。
 その中でも巨木と言える木の根元でセトが何やら上を気にしている。

「ああ、あんなところに」

 アンナリーナが指差すところ、そこには傷だらけでズタズタになった治癒師が、木に自分を縛り付け俯いている姿があった。
 やや下には、多分人であっただろうものもぶら下がっている。

「セト、下ろしてあげて」

 素早く木を登り始めたリザードはあっという間に治癒師の元にたどり着き、体を結わえつけていたロープを引きちぎって、咥えて降りてきた。
 素早く毛布を敷いて受け入れる。

「よかった。見た目ほど酷くないわ。
 きっと自分に【回復】をかけていたのね。でも衰弱が激しいわ」

 話しながらも、バッグから次々と取り出したポーションを傷にかけていく。

「うぅっ」

 意識はないが痛みは感じるようだ。
 兵士に指示して上体を起こしてもらい、ポーションを飲ませてもらう。
 その間に毛布で包んでいき、セトの背中に括りつけた。

「さあ、速攻で帰りますよ」
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