魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第三章

51『お片づけ』

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 こちらから提示出来るものはすべてして、あとはあちらの回答待ち、ということでアンナリーナはクランマスターの部屋を辞去してきた。

 その話は微細にわたり、もうすっかり日が暮れている。

「なあリーナ、おまえさんまだ宿を取ってなかったんだろう?
 よかったら俺の部屋に泊まっていけよ」

 確かに、この領都に戻ってきてすぐにギルドに向かったので宿は取っていない。
 以前泊まっていた【緑の牧場亭】ならこの時間でも部屋さえ空いていれば受け入れてくれるだろう。
 もう門が閉まっているので、外に出て森の中で夜営……は却下だ。

「そうだね……お言葉に甘えようかな」


 熊男テオドールの部屋は同じ3階にあった。
 ドアを開けて、招き入れられて……アンナリーナの眉間に皺が寄る。

「汚い……」

 正確に言えば、散らかっている。
 所謂汚部屋というわけではないが、ものがごちゃごちゃ、書類の類いも散らばり……整理整頓の成されていない、典型的な男の部屋だ。

「ちょっと、先に片付けようか」

 今度はテオドールが眉を寄せる。

「そんなに大した事はしないよ。
 ほら、さっさと始めたら早く終わるよ」

 アンナリーナはまず書類らしきものを拾い始めた。
 幸い机の上はさほど荒れておらず、さっと【洗浄クリーン】をかけると積み重ねていく。

「こんなに溜めて大丈夫なの?」

「あ~ 大丈夫じゃ、ないかな。
 でも俺、算術は得意じゃないんでな」

 脳筋=細かい思考に向かない。
 見た目から体現しているテオドールにかける言葉は少ない。

「うん、これも手伝ってあげるよ。
 とりあえず、まとめておいて」

 とりあえず整頓するだけである。
 床に落ちていたものを拾い上げ【洗浄】をかけると、見違えるほどきれいになった。

「えーっと、そうだ! お土産!
 ちょっと待ってね……これかな? 違うな。これ? ……あった!」

 アイテムバッグから取り出すと見せかけて、インベントリから取り出したのは【ミノタウロス・ジェネラルの戦斧】だ。

「これなら熊さんにぴったり!
 熊さん、得物は斧でしょ?」

 基本、ダンジョン産の武器などは希少な素材で出来ていることが多いのだが、この戦斧はアンナリーナが屠った数多いミノタウロス・ジェネラルの持ち物の中でも一番価値の高いものだ。
 迷宮神鋼で出来た得物など滅多にお目にかかれない。
 そしてこの斧は雷の付与があって【ライトニングバースト】が使えるようになる。さらに不壊の付与がされた逸品である。

「どうどう? 気に入った?」

 そんなふうにしていれば、年頃の少女なのだが。

「俺にこれを?
 こんな貴重なものを?」

「熊さんだからね~」

 そうして戯れかかったアンナリーナだった。


「そうそう、夕食は私たちとテントでどう? ちょっと相談したいこともあるし」

 戦斧の刃を撫でていた熊男が顔をあげる。夕食と相談、どちらに興味を示したのだろうか。

「じゃあ、俺は先に汗を流してくる」

「その間に準備しておくよ」

 アンナリーナはテントを出し、料理に取り掛かる為にツリーハウスに向かった。

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