魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第三章

118『スケルトン・ネロ』

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「ネロ、ちょっとこっちに来てくれる?」

 お茶の後、アンナリーナはネロを誘って書斎にやってきた。

「そのへんに座って待ってて」

 ゴソゴソとクローゼットを探って、ひとつの木箱を持ってきた。
 それを、ソファーセットのローテーブルに置くと蓋を開けた。

「これは……ネロを見つけた洞窟で、あなたが身につけていたものと、多分あなたの荷物だと思う。
 これを見て、何か思い出さない?」

 ネロは箱からひとつひとつを取り出し、見入っていたが何も思い出せないようだ。
 すべてを見終わって、彼の得物だったろう長剣を見ても、なんの感慨もない。
 かぶりを振って剣をテーブルに置くと、骸骨の空虚な目がアンナリーナを見つめていた。

「そう……
 あのね、これからのことを決めたくてね。ネロは剣士と魔法職、どちらになりたい?」

 骸骨なので表情はないのだが、いささか戸惑っているように見える。

「持ち物から見て……剣士ではなかったように思えるの。
 どうやら剣は護身用のようだし、防具もないしね。
 ……私はネロに、リッチになってもらいたいと思うの」

 リッチとは、魔法職のスケルトンの上位種だ。
 アンナリーナは、将来的に人型の魔獣を護衛として連れ歩きたいと思っていた。
 剣士としてはイジがいる。
 セトはどちらかと言えば魔法職なのだが、今のところ人型になれない。
 ぜひネロに魔法職となってもらって、共に世界征服を……
 冗談である。冗談なのだが、できてしまいそうで怖い。

「リッチ?」

「うん、でも返事は焦らないから。
 まずは少しずつステータスを上げていくね」

「ワカリマシタ」


 ネロが書斎を出て行って、アンナリーナは木箱を元に戻した。
 今、ネロに返しても良いが、混乱するだろうからもう少し預かることにしたのだ。
 しかし……
 予測していなかったわけではないが、生前の事をまったく覚えていないとは思わなかった。
 人間としての生を終えてから時間が経ち過ぎて、記憶がなくなってしまったのか、もしくはこのまま魔力値を上げていけば思い出すのか。
 何もかも手探りなのだ。


 アラーニェに手伝ってもらって入浴し、第二の我が家とも言えるテントに戻ると、テオドールも入浴し、まだ髪が濡れたまま居間でワインを飲んでいた。

「熊さん、お待たせ」

「おう、もうあっちはいいのか?」

「うん。新しい従魔がね、話せるようになったんだ。
 ちょっと今までの子たちと毛色が違うんだけど、ゆっくりと育てていくつもり」

 テオドールは今回、アンナリーナの従魔たちには本当に世話になったと思っている。
 もしも、彼がアンナリーナと知り合っておらず、クランのメンバーでこの依頼を受けていたら……指名依頼なので確実に受けていただろう。
 そして全滅していた事は否めない。
 アンナリーナほどの結界を張れる魔法職は他にいないし、暖をとるすべもない。
 あの洞窟に閉じ込められた段階で終わりだった。
 セトやイジが野営の時の見張りについてくれたことも大きかった。

「新しい従魔か。
 どんな奴なんだろうな、会えるのを楽しみにしているよ」

「うふふ、絶対びっくりするよ」



 翌日は、完全な休日を与えられ、早朝から市に向かったアンナリーナたちと入れ違いに、ダージェは招かざる客を迎えていた。
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