魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

5『アンナリーナの気晴らし』

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 テオドールの見ている前で、アンナリーナがアイテムバッグをたすき掛けした。
 そしてローブを羽織る。
 その足元は丈夫なブーツで固められていた。

「リーナ、一体何のつもりだ?」

「最近、運動不足だったので、ちょっと運動しようと思って。
 それと、ストレス解消?」

 テオドールは目を丸くしている。

「さあ、熊さんも準備して?
 私はイジを連れてくる」



「それで、ストレス解消……とやらでここに来たのか?」

 今、アンナリーナたちは、デラガルサダンジョンを訪れている。

「うん、久しぶりに暴れちゃおうかな、って。
 熊さんも身体、鈍ってるんじゃないの?」

 そう今回はいつもの、アンナリーナの反則とも言うべき【血抜き】や【サファケイト】ではなく、テオドールやイジがその手で魔獣を狩るのだ。

「しかしリーナ、おまえもまた思い切った事を……
 新学期はもう、4日後じゃあなかったか?」

「そうだよ~
 もう、ギリギリまで遊んじゃうからね」

 なんとも豪気な事だ。
 裏返せば、それほど精神的に抑えつけられていたということだろう。
 アンナリーナたちはいつものように、8階層の転移点に姿を現わすと、まずは【探査】した。

「……冒険者はいないね。
 しばらくは熊さん、無双できるよ」

 この階層に主に出現する魔獣はミノタウロスである。
 イジは大剣を手に周囲を警戒し、テオドールも今まで担いでいた戦斧を手にした。

「おそらくミノタウロスが3頭、こちらに近づいてくる……イジは右、熊さんは左、後ろのは私が引き受ける。
 来るよ!」

 振り向きざまに放ったレーザーはミノタウロスの眉間を貫き、その場に崩れ落ちる。
 あまりにもあっけなく、アンナリーナの分担は終了した。
 テオドールは気をとりなおし、ミノタウロスに向かっていく。
 その時イジは、すでに相手と対峙し、一合、二合と刃を交わしあっている。
 そしてその大剣は、ミノタウロスの脇腹を切り裂いた。
 そして隣ではテオドールが、お互いの戦斧と戦斧を叩きつけ合いながら、次は距離をとり、宙を切る。
 中々勝負がつかないが、テオドール自身は心底楽しんでいるように見える。
 大柄な身体を軽々と動かして、左右に飛び退る様は、やはり一流の冒険者の名に違わない。
 まるで遊びの相手をしていたように息も切らさず、最後は頭部を一閃した。

「はい~ ふたりともお疲れ~」

 いつも通り、そそくさと血抜きして収納していく。
 そして9階層でもそれを繰り返した。

「うん、ハンバーグ村もいつもと変わらず、いい感じ」

 今日はテオドールとイジが魔獣を討伐している。
 腕が鈍らないよう、テオドールは定期的に依頼を受けている。
 だが、今日は少々思うところがあって、イジに討伐させてみた。

「ねえ、熊さん」

「あぁ?」

 10階層に向かう階段の途中、水筒の冷えた茶を飲みながら、テオドールはアンナリーナの声かけに応えた。

「イジを冒険者にできないかな?」

 彼はアンナリーナの従魔だが、魔獣でグレーオーガなのだ。
 そんな彼をギルドに登録させて冒険者にする。そうすれば他国やほかの町に入るとき、一々テントに引っ込まなくて済む。
 そしてアンナリーナたちと、堂々と町を闊歩できるだろう。
 そうなるには障害が大きそうだが。

「ん~
 以前、リザードマンが冒険者やってた事があるな。
 俺は見たことはないが、ハーフ・サイクロプスの冒険者も聞いた事がある」

「へっ?」

「元々がおまえの従魔なんだ。
 何とかなるんじゃないかな」

 案外あっさりと道は開かれそうだ。

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