魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

6『デラガルサの新しい階層』

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10階層は厄介な魔獣たちの巣窟だ。
冒険者を石化させるバジリスクやコカトリス。そして、その他のひたすら硬い魔獣たち。
アンナリーナはふたりに石化状態無効を付与し、まずは送り出してみた。
彼らふたりで、どれだけ相手に出来るかを見たかったのだ。

「はぁ~
イジはともかく、熊さんって本当に人間?」

失礼極まりない感想だが無理もない。
テオドールが持つ戦斧がこのダンジョン産の特殊な素材を原料とした逸品だということもあるが、それを振るうテオドールの膂力も、もはや人間業とは思えない。
アンナリーナがサファケイトで屠った岩の如き硬さのロックドラゴンや、岩そのもののゴロ・ゴローンもふたりで数回叩くと動かなくなる。
テオドールの方はどうやら急所を知っているようで、効率的に力を奮っているようだ。


「この階層は、8、9階層とは別の意味で得難い階層だね。
私にとって石化状態解除薬の材料になるバジリスクやコカトリスが簡単に獲れるのはすごく助かる」

「それだけじゃないぞ」

アンナリーナが血抜きをし、ゴロ・ゴローンの鑑定をしているのを見て、興奮して目を輝かせている。

「このゴロ・ゴローンからはダンジョン産の鉱物が獲れる。
リーナ、こいつは一儲けできるぞ」

そんなに儲けなくても、金子はそれなりに持っている。

「じゃあ熊さんにあげるよ。
多分この先、下に行けば行くほどランクの高い金属が獲れるようになるだろうし……まずは【疾風の凶刃】で使ってみたら?
この、鉄とか鋼は売っちゃってもいいじゃん」

「なんて勿体無いことを言うんだ!」

テオドールは憤慨しているが、アンナリーナにとってそれは大した物ではない。

「まあ、熊さんの好きにしたらいいよ。
さて、もうひと周りしますか」

ゴロ・ゴローンをしまい終わったアンナリーナは次に向かって立ち上がった。


今、アンナリーナたちは11階層に来ている。
この階層は獣系の階層であって、アンナリーナの大好きな殺戮熊や魔狼の上位種、白銀狼や虹狼がいる。
そしてご多聞にもれず、オルトロスやケルベロスもいる。
そして、それらに向かってのアンナリーナの感想はこうだ。

「うわぁ!
かわいいな。ペットに欲しいよー」

テオドールは頭を抱えた。
オルトロスやケルベロスなどの、何処をどう見ればかわいいのか、理解できない。

「従魔にできないかな~ したいな~
ねえ、熊さんどう思う?」

どう思うも何も、イジの冒険者登録の方がよっぽど難易度が低い。


アンナリーナは今まで、自分で傷つけた魔獣を従魔にした事はない。
そんなことをすれば反抗心を持たれるだけだと思っていたのだが。

「え? それってポケモ○じゃん」

テオドールにはぽけも○というものが何かわからなかったが、テイマーが対象の従魔と対決し、屈服させて契約する、ということを指摘してみたのだ。

とりあえず今日は、従魔としても迎え入れる段取りもあるので自重する。
アンナリーナにだってそのくらいの忍耐力はあるのだ。

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