魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

74『8階層での拾い物』

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 翌日からアンナリーナたちは2つのグループに分かれて探索と狩りをした。
 アンナリーナとセト、ツァーリは階層をどんどん深く潜っていくグループ。
 テオドールとイジ、そしてネロは9階層のハンバーグ村と昨日の12階層の極楽鳥を主に狩っている。

 アンナリーナが階層を進めていると、膠着状態と言うか、魔獣の種類が固定されて来ていた。
 3階層くらい獣系が続き、食べられない魔獣ばかりでアンナリーナが辟易としていたとき、その報せが飛び込んできた。


『主人様、イジです。今、よろしいですか?』

『どうしたの?珍しいね』

『主人様のご指示をいただきたい案件です。
 実は今、7階層にいるのですが……
 まだ生きてはいるのですが、ひどい怪我をした人間を見つけたのです』

「人間?」

 アンナリーナは思わず口に出していた。
 困っている(この場合は生死に関わる怪我をしている)者を助ける博愛主義ではないが、以前から考えていた事があるので、この階層での狩りを中止し、上がっていく。



 8階層はオークとミノタウロスが基本、単体で現れるダンジョンだ。
 得物を振るい、ばっさばっさと両断していくテオドールとイジ、ネロは2人に付与を与え強化に徹していた。

「ヒトの血臭がする」

 人間よりも格段に臭覚の発達したイジが立ち止まり、剣で草むらをかき分け始めた。

「ヒト?
 俺らがここに上がってきたのは初日以来だ。その間にここまで来たパーティがいるんだな……」

 一応生死を確認しなければならず、探していたテオドールたちの前に現れたその人間は、一言で言えば酷い状態だった。

「意識はないが、まだ生きてますね」

 止血はされているようだが右足が膝上から切断されている。
 そしてわき腹にも大きな傷……噛まれて抉れている。

「これは……さほど保たんな。
 足手纏いになって置いていかれたか、それとも他の連中は喰われたか」

 テオドールとネロが話していた間に、イジがアンナリーナに連絡したようだ。
 以前に置いていた9階層の転移点を使って、アンナリーナはすぐに駆けつけて来た。

「残ってるのはひとりだけ?」

「はい、あちらこちらで血臭はしますが、この階層に他にヒトはいませんね」

「逃げたのか、それとも……」

 アンナリーナがあえて口にしなかった言葉、今回はそちらの可能性の方が多そうだ。

「とりあえず、どんな感じか見てみましょう」

 ぐったりと横たわった重戦士の鎧を外し、ヘルムを取る。
 その瞬間、アンナリーナが息を呑んだ。

「アントン?!」

「リーナ、知り合いか?」

 テオドールが訝しげに、そして心配そうにアンナリーナを見る。
 彼女は顔色ひとつ変えていないし、喜んでいる様子でもない。

「私は……生まれ育った村を後にするまで、毎日のようにいじめられていたの。その主犯が先日のナタリアとこのアントンだったの」

 テオドールと従魔たちからザワリと殺気が吹き上がる。

「さて、と」

 アンナリーナの手が、アントンのわき腹に添えられた。
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