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第四章
177『騙り者』
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「さて、この後ですが、明るいうちに小休止してエピオルスを変えます。
今夜はそのまま、一晩中走らせ続けて様子を見ます。
そのあと異常がなければ……皆さんの過ごし方を考えます。
何かご質問は?」
バルトリはかぶりを振った。
「まあ、初日にくらべればずいぶんマシになってるんですよ。
あの時はかなりきわどくて……
今も、一応後を追ってきてますけど、そろそろ諦めるんじゃないですかね」
バルトリは一気に背筋が寒くなったのだろう。
小さく身体を震わせて、居心地悪そうだ。
翌日から複数のエピオルスを召喚して、護衛たちが2班に分かれて並走する事になった。
昼間の短い時間だが、馬たちも運動がてら走らせてもらい、そうこうしながらも【衛星都市グハームト】に到着した。
出発して5日目。馬ではあり得ないスピードだった。
バルトリと相談した結果、アシードまではこのままアンナリーナの馬車で行く事になる。
グハームトでは2泊し、それなりの量の食材を購入して旅立つことになった。
護衛たちは身も心も洗濯したのだろう。
アンナリーナの懸念も払拭され、これから先は通常通り夜は野営をして行こうと思っていたところ、護衛のひとり、冒険者のシーメイがその情報を聞き込んできた。
「あ~ えっと、リーナ殿、ちょっといいか?」
「? はい」
また、トラブルの予感。
そしてその予感は、嬉しくないことに当たってしまう。
「率直に言うと、リーナ殿、あなたたちの偽物が出ている」
「は?」
「最近このあたりで薬師を騙った4人組が出没しているらしい。
粗悪な回復薬をポーションと偽って売ったり、薬師だと言って厚遇を要求したりしているそうだ」
「何それ!」
薬師だと騙るのはともかく、回復薬をポーションとして買い取るとはどういう事だ。
鑑定もせずに買い取っている杜撰さに、そちらの方に怒りを覚えたアンナリーナからは黒いオーラが立ち昇っている。
「その話、誰から聞いたの?
詳しく聞きたいから、連れて行って」
有無を言わせぬ様子に、シーメイはタジタジとなる。
「わかった、わかったからの威圧しないでくれ」
この後、アンナリーナはテオドールと共にシーメイを案内として、まずは酒場へと向かった。
そこの女将によると半月ほど前、突然現れた女が薬師を名乗り、粗悪な回復薬を売ったり、回復薬をポーションと偽って売りつけたりしたようだ。
ちなみにアンナリーナはその頃、アルファ・ケンタウリにいたことが確認できるため、彼女ではあり得ない。
「うちは大丈夫だったけど同業者が何軒かやられたわ」
盲点だったのだが、ギルドや薬局に卸すのではなく、宿や酒場に売り込んだらしい。
「それは……鑑定できる人なんかいないわよね」
「あとはこの近辺の小さな村でもあったみたい」
アンナリーナは憤慨する。
回復薬やポーションは、冒険者や村民にとっては命に直結するものだ。
それを、旅の薬師を騙って偽物を売りつける。
そんなことアンナリーナには許せない。
「それで、被害は?犠牲者の命は?」
アンナリーナの声が震えている。
「冒険者が負傷した時にポーションを使ったの。傷にかけても変化がないので気づいたみたいなの。
その時はパーティのメンバーに分けてもらって事なきを得たわ。
そしてそのポーションを買った宿屋に駆け込んだのよ」
「許さない……!」
“ 絶対に犯人を捕まえてやる ”と、怒りに満ちたアンナリーナはそう決心した。
今夜はそのまま、一晩中走らせ続けて様子を見ます。
そのあと異常がなければ……皆さんの過ごし方を考えます。
何かご質問は?」
バルトリはかぶりを振った。
「まあ、初日にくらべればずいぶんマシになってるんですよ。
あの時はかなりきわどくて……
今も、一応後を追ってきてますけど、そろそろ諦めるんじゃないですかね」
バルトリは一気に背筋が寒くなったのだろう。
小さく身体を震わせて、居心地悪そうだ。
翌日から複数のエピオルスを召喚して、護衛たちが2班に分かれて並走する事になった。
昼間の短い時間だが、馬たちも運動がてら走らせてもらい、そうこうしながらも【衛星都市グハームト】に到着した。
出発して5日目。馬ではあり得ないスピードだった。
バルトリと相談した結果、アシードまではこのままアンナリーナの馬車で行く事になる。
グハームトでは2泊し、それなりの量の食材を購入して旅立つことになった。
護衛たちは身も心も洗濯したのだろう。
アンナリーナの懸念も払拭され、これから先は通常通り夜は野営をして行こうと思っていたところ、護衛のひとり、冒険者のシーメイがその情報を聞き込んできた。
「あ~ えっと、リーナ殿、ちょっといいか?」
「? はい」
また、トラブルの予感。
そしてその予感は、嬉しくないことに当たってしまう。
「率直に言うと、リーナ殿、あなたたちの偽物が出ている」
「は?」
「最近このあたりで薬師を騙った4人組が出没しているらしい。
粗悪な回復薬をポーションと偽って売ったり、薬師だと言って厚遇を要求したりしているそうだ」
「何それ!」
薬師だと騙るのはともかく、回復薬をポーションとして買い取るとはどういう事だ。
鑑定もせずに買い取っている杜撰さに、そちらの方に怒りを覚えたアンナリーナからは黒いオーラが立ち昇っている。
「その話、誰から聞いたの?
詳しく聞きたいから、連れて行って」
有無を言わせぬ様子に、シーメイはタジタジとなる。
「わかった、わかったからの威圧しないでくれ」
この後、アンナリーナはテオドールと共にシーメイを案内として、まずは酒場へと向かった。
そこの女将によると半月ほど前、突然現れた女が薬師を名乗り、粗悪な回復薬を売ったり、回復薬をポーションと偽って売りつけたりしたようだ。
ちなみにアンナリーナはその頃、アルファ・ケンタウリにいたことが確認できるため、彼女ではあり得ない。
「うちは大丈夫だったけど同業者が何軒かやられたわ」
盲点だったのだが、ギルドや薬局に卸すのではなく、宿や酒場に売り込んだらしい。
「それは……鑑定できる人なんかいないわよね」
「あとはこの近辺の小さな村でもあったみたい」
アンナリーナは憤慨する。
回復薬やポーションは、冒険者や村民にとっては命に直結するものだ。
それを、旅の薬師を騙って偽物を売りつける。
そんなことアンナリーナには許せない。
「それで、被害は?犠牲者の命は?」
アンナリーナの声が震えている。
「冒険者が負傷した時にポーションを使ったの。傷にかけても変化がないので気づいたみたいなの。
その時はパーティのメンバーに分けてもらって事なきを得たわ。
そしてそのポーションを買った宿屋に駆け込んだのよ」
「許さない……!」
“ 絶対に犯人を捕まえてやる ”と、怒りに満ちたアンナリーナはそう決心した。
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