魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

270『決戦前夜?』

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 その美しい貌に、恐ろしさしか感じられない微笑みを浮かべて、アラーニェは問答無用でアンナリーナをツリーハウスの自室に連れていく。
 その後ろに付き従うアマルは、背部にある触手を鞭のようにしならせて地面を打っていた。
 アマルの怒りを初めて見た男たちは完全に引いている。
 土の地面が酸で溶けていた。


 寝室に繋がる浴室の前で、手早く服を脱がされたアンナリーナは慎重に湯槽に浸けられた。
 柔らかな海綿で優しく清める手は、怒りのせいか、又は恐怖の為か指先が微かに震えている。
 アンナリーナも裸になって、繁々と胸部を見てホッとする。
 治癒魔法とアムリタを飲んだのだ。
 痣ひとつ見当たらない白い肌だが、あの時はどれほど酷いことになっていたのだろう。

「今日はもうここでお休み下さい。
 夕食はこちらに持って来ますので、リーナ様はもうベッドから出ないように」

 優しげな笑みを浮かべてはいるが、その目は決して笑っていない。
 アンナリーナは、ツァーリとジルヴァラを見張りの交代として、テオドールを始め、今日一緒だった面子を呼んでくれるように頼んだ。


「今夜は強い目に結界を張ってあるから大丈夫だと思うけど……
 見張りはあの2人に任せて、十分身体を休めて欲しい」

 アンナリーナの意図を察した4人が同時に頷いた。

「明日はおそらく【モンスターハウス】に行き当たると思う。
 作戦的には今日の事を鑑みて【真空】で一気にやっつけようと思う。
 なので【真空】を重ねがけするつもりなので特にセトとネロは英気を養って欲しい」


 夕食はアンナリーナの寝室で、アラーニェを加えた6人で摂る事になった。
 アンナリーナには消化の良いもの。
 コカトリスの肉団子の入ったクリームシチューとバターロール。
 そしてりんごのコンポートだ。

「生の野菜は身体を冷やすので、今夜はサラダはご辛抱下さい」

 アンナリーナの容態を心配して顔を出したアンソニーからそう言われてしまえば、我慢するしかない。
 そのかわり、ホワイトアスパラガスのバターソテーが差し出されて、そのバターの香りにうっとりとする。



 明朝、同行する事を断固として譲らないアラーニェを連れて、アンナリーナはダンジョンの野営地に戻ってきた。

「わぁぉ! どうしたのこれ?」

 アンナリーナの目の前には魔獣の成れの果てが山積みになっている。

「ほとんどは結界に突っ込んできて自爆したものです」

 この光景と同じものは、魔の森で見たことがある。
 あの時は集団で突っ込んできた森猪や虫系魔獣が山積みになっていたものだ。

「わかったわ。
 あれ全部回収できる?」

 今日からは屠った魔獣の回収に、ネロの眷属のアンデッドを使う事になった。
 今はもう結界の外で整列を始めている。

「さて、今日も頑張りましょう!」



 その頃、アンナリーナたちと共にダンジョンに潜った【迷宮都市】在住の4パーティー23人は、未だ52階層でその足を止めていた。

「そっちのフェンリルに防衛線を越させるな!
 魔法職!デカイのを一発行けーっ」

 昨夜から断続的に続く戦いは、冒険者たちを消耗させている。
 アンナリーナにとって52階層とは通過点でしかないが、彼らにとっては未踏領域に近いのだ。
 実際彼らのうちの7名は50階層よりも深く潜った事はない。
 彼らは段々と押されてきていて、一時撤退も視野に入れ始めていた。
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