魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

284『内覧会と王族』

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 隠蔽で姿を隠したアンナリーナがステージに上がり、エッケハルトの合図で水竜を取り出した。
 突如現れたドラゴンを目にして、この場に集った顧客からどよめきが起こる。

「さて皆様。
 これがお知らせしていたドラゴンの現物です。
 当日は鮮度保持の為結界で囲みますが、今日は限られた時間ながら遮蔽物なしでご覧いただけます。
 ただ、お手を触れる事はないよう、重ねてお願い申し上げます」

 では、どうぞとエッケハルトの合図で、顧客たちは一斉に駆け寄った。
 鼻先が触れんばかりに近づいた男たち、そして一部は女たちが蹲るように横たわるドラゴンを観察している。

「信じられない!!
 どこにも傷がない! 完璧だ!」

 自身が鑑定持ちであるのだろう。
 1人の男が声を上げて、それまで以上に興奮のるつぼとなった。


「う~ん、盛況でなにより」

「私はいっそ、あの程度のものであれほど興奮する意味がわかりません」

 アンナリーナの眷属となってそれなりの年月が経つっているネロは、その感覚も思考もアンナリーナ寄りになっていて、ドラゴンなどあのダンジョンに行けばいくらでも獲れる素材なので、正直この喧騒が理解出来ない。

「そうだね。
 今度ふたりで潜ってみようか?
 100階層」

 ドラゴン種しか発生しない100階層はアンナリーナたちには相性が良い。

「ドラゴン騎兵隊なんて面白そうじゃない?
 下位竜をアンデッド化して、やっぱりアンデッドの……ミノタウロスかオークあたりを乗せるの。
 格好良くない?」

「それは良い考えですね。
 何よりもアンデッドは、基本食事を必要としませんからとてもパフォーマンスが良いのです。
 そうですね、ドラゴンはワイバーンではなく下位の属性竜が良いかもしれません」

 ステージの賑わいを尻目に魔法を極めつつあるふたりが雑談を楽しんでいる。

 この日の内覧会は盛況すぎるほどに終わり、顧客たちは満足して各自戻っていった。
 その中には遠方から来て、今回は帰らずにオークションまでこの首都に滞在を決めたものもいる。




 首都では、ウェンライトのオークションの噂でもちきりだった。
 それは自然と王族の耳にも入り、あまりの高額ゆえに競り落とす事は出来なくても興味は惹く。
 学院に在学中の何人かの王族も、まさかアンナリーナがその貴重な品の出品者だとは思わず、サロンなどでもその話で盛り上がっていた。
 そんなある日。

「殿下、あちらをご覧になって下さい」

 サロンの片隅に、外部の研究者らしき人物と歓談する、ある意味この学院で一番有名な少女が座っていた。
 その後ろに従者を兼ねる仮面の男と、瑠璃色の髪と瞳をした女騎士が控えている。

「珍しい。
 彼女がこのサロンに来るなんて。
 僕はまだ、直接話しをした事がないんだけど」

 例え王族と言えども、アンナリーナの興味を惹かなければ接触は叶わない。
 現に、今ここに王子がいても眼差しひとつよこさない、興味のなさだ。

「歓談に横入りするつもりはないけど、ここまで知らんぷりをされると、いっそ見事と言うか」

 テーブルに置かれたままになっている、少し冷めた茶の入ったティーカップをソーサーとともに持ち上げ、苛々した気持ちを押さえ込んで口にした。

 アンナリーナは例え王族が相手だとしてもおもねらない。
 今現在のステータスや資金力など、例え横槍を入れられたとしても移動すれば良いだけなのだ。
 そんなアンナリーナに怖いものなどないに等しい。
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