524 / 577
第四章
284『内覧会と王族』
しおりを挟む
隠蔽で姿を隠したアンナリーナがステージに上がり、エッケハルトの合図で水竜を取り出した。
突如現れたドラゴンを目にして、この場に集った顧客からどよめきが起こる。
「さて皆様。
これがお知らせしていたドラゴンの現物です。
当日は鮮度保持の為結界で囲みますが、今日は限られた時間ながら遮蔽物なしでご覧いただけます。
ただ、お手を触れる事はないよう、重ねてお願い申し上げます」
では、どうぞとエッケハルトの合図で、顧客たちは一斉に駆け寄った。
鼻先が触れんばかりに近づいた男たち、そして一部は女たちが蹲るように横たわるドラゴンを観察している。
「信じられない!!
どこにも傷がない! 完璧だ!」
自身が鑑定持ちであるのだろう。
1人の男が声を上げて、それまで以上に興奮のるつぼとなった。
「う~ん、盛況でなにより」
「私はいっそ、あの程度のものであれほど興奮する意味がわかりません」
アンナリーナの眷属となってそれなりの年月が経つっているネロは、その感覚も思考もアンナリーナ寄りになっていて、ドラゴンなどあのダンジョンに行けばいくらでも獲れる素材なので、正直この喧騒が理解出来ない。
「そうだね。
今度ふたりで潜ってみようか?
100階層」
ドラゴン種しか発生しない100階層はアンナリーナたちには相性が良い。
「ドラゴン騎兵隊なんて面白そうじゃない?
下位竜をアンデッド化して、やっぱりアンデッドの……ミノタウロスかオークあたりを乗せるの。
格好良くない?」
「それは良い考えですね。
何よりもアンデッドは、基本食事を必要としませんからとてもパフォーマンスが良いのです。
そうですね、ドラゴンはワイバーンではなく下位の属性竜が良いかもしれません」
ステージの賑わいを尻目に魔法を極めつつあるふたりが雑談を楽しんでいる。
この日の内覧会は盛況すぎるほどに終わり、顧客たちは満足して各自戻っていった。
その中には遠方から来て、今回は帰らずにオークションまでこの首都に滞在を決めたものもいる。
首都では、ウェンライトのオークションの噂でもちきりだった。
それは自然と王族の耳にも入り、あまりの高額ゆえに競り落とす事は出来なくても興味は惹く。
学院に在学中の何人かの王族も、まさかアンナリーナがその貴重な品の出品者だとは思わず、サロンなどでもその話で盛り上がっていた。
そんなある日。
「殿下、あちらをご覧になって下さい」
サロンの片隅に、外部の研究者らしき人物と歓談する、ある意味この学院で一番有名な少女が座っていた。
その後ろに従者を兼ねる仮面の男と、瑠璃色の髪と瞳をした女騎士が控えている。
「珍しい。
彼女がこのサロンに来るなんて。
僕はまだ、直接話しをした事がないんだけど」
例え王族と言えども、アンナリーナの興味を惹かなければ接触は叶わない。
現に、今ここに王子がいても眼差しひとつよこさない、興味のなさだ。
「歓談に横入りするつもりはないけど、ここまで知らんぷりをされると、いっそ見事と言うか」
テーブルに置かれたままになっている、少し冷めた茶の入ったティーカップをソーサーとともに持ち上げ、苛々した気持ちを押さえ込んで口にした。
アンナリーナは例え王族が相手だとしてもおもねらない。
今現在のステータスや資金力など、例え横槍を入れられたとしても移動すれば良いだけなのだ。
そんなアンナリーナに怖いものなどないに等しい。
突如現れたドラゴンを目にして、この場に集った顧客からどよめきが起こる。
「さて皆様。
これがお知らせしていたドラゴンの現物です。
当日は鮮度保持の為結界で囲みますが、今日は限られた時間ながら遮蔽物なしでご覧いただけます。
ただ、お手を触れる事はないよう、重ねてお願い申し上げます」
では、どうぞとエッケハルトの合図で、顧客たちは一斉に駆け寄った。
鼻先が触れんばかりに近づいた男たち、そして一部は女たちが蹲るように横たわるドラゴンを観察している。
「信じられない!!
どこにも傷がない! 完璧だ!」
自身が鑑定持ちであるのだろう。
1人の男が声を上げて、それまで以上に興奮のるつぼとなった。
「う~ん、盛況でなにより」
「私はいっそ、あの程度のものであれほど興奮する意味がわかりません」
アンナリーナの眷属となってそれなりの年月が経つっているネロは、その感覚も思考もアンナリーナ寄りになっていて、ドラゴンなどあのダンジョンに行けばいくらでも獲れる素材なので、正直この喧騒が理解出来ない。
「そうだね。
今度ふたりで潜ってみようか?
100階層」
ドラゴン種しか発生しない100階層はアンナリーナたちには相性が良い。
「ドラゴン騎兵隊なんて面白そうじゃない?
下位竜をアンデッド化して、やっぱりアンデッドの……ミノタウロスかオークあたりを乗せるの。
格好良くない?」
「それは良い考えですね。
何よりもアンデッドは、基本食事を必要としませんからとてもパフォーマンスが良いのです。
そうですね、ドラゴンはワイバーンではなく下位の属性竜が良いかもしれません」
ステージの賑わいを尻目に魔法を極めつつあるふたりが雑談を楽しんでいる。
この日の内覧会は盛況すぎるほどに終わり、顧客たちは満足して各自戻っていった。
その中には遠方から来て、今回は帰らずにオークションまでこの首都に滞在を決めたものもいる。
首都では、ウェンライトのオークションの噂でもちきりだった。
それは自然と王族の耳にも入り、あまりの高額ゆえに競り落とす事は出来なくても興味は惹く。
学院に在学中の何人かの王族も、まさかアンナリーナがその貴重な品の出品者だとは思わず、サロンなどでもその話で盛り上がっていた。
そんなある日。
「殿下、あちらをご覧になって下さい」
サロンの片隅に、外部の研究者らしき人物と歓談する、ある意味この学院で一番有名な少女が座っていた。
その後ろに従者を兼ねる仮面の男と、瑠璃色の髪と瞳をした女騎士が控えている。
「珍しい。
彼女がこのサロンに来るなんて。
僕はまだ、直接話しをした事がないんだけど」
例え王族と言えども、アンナリーナの興味を惹かなければ接触は叶わない。
現に、今ここに王子がいても眼差しひとつよこさない、興味のなさだ。
「歓談に横入りするつもりはないけど、ここまで知らんぷりをされると、いっそ見事と言うか」
テーブルに置かれたままになっている、少し冷めた茶の入ったティーカップをソーサーとともに持ち上げ、苛々した気持ちを押さえ込んで口にした。
アンナリーナは例え王族が相手だとしてもおもねらない。
今現在のステータスや資金力など、例え横槍を入れられたとしても移動すれば良いだけなのだ。
そんなアンナリーナに怖いものなどないに等しい。
3
あなたにおすすめの小説
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる