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18かぼ!困った奴(かぼパン視点)
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名ばかりは困った奴だ。
聖女のくせに力はなく、いつも僕にやたらとかまってくる。
「可愛い」を、もう何回言われたかわからない。
王の僕に向かって可愛い、かぼちゃパンツ陛下、かぼパンなどと失礼なことを平気で言う。
僕が知っているご令嬢達は皆僕の事を「マンドローレの沈まぬ太陽」と称し、顔を合わせると褒め讃え、気に入られようと必死だったのに。
名ばかりは僕が王だろうが関係ない。誰に対しても同じような態度で接している。そこが名ばかりの良いところなんだろうが、僕は最近それが嫌で仕方がない気分になる。
リュストに騎士団長にと、どうして初対面の人とそうすぐに打ち解けられるんだ!
我が国の宰相も名ばかりを会長と呼び、気に入っているらしい。70歳の宰相に会長と呼ばれたら普通恐縮しないか?
平気なのは名ばかりくらいだろう!どんな神経をしているんだ!
今目の前で剣舞を披露している名ばかりも僕は気に食わない。
皆が瞳を輝かせ、名ばかりの一挙一動を見逃すまいと、食い入るように見ているからだ。秘密にしていた宝物を見つけられてしまったような気分がする。
まぬけな名ばかりは舞踏会と武闘会を間違え、とてもダンスパーティーとかけ離れた衣装に身を包んでいる。
だが皮肉な事に、今踊っている名ばかりはどんなに着飾ったご令嬢よりも美しく見える。
名ばかりらしいダイナミックな舞は生命力に溢れ、自然と溢れる笑顔は美しく、ダンスフロアに太陽の女神が下りて来たようだ。
この舞が見れたのだから参加して良かったと思ってしまうほど。
今見ている全員が、僕と同じ気持ちかもしれない。
ふん……この舞がリュストの誕生日祝いと言うのも気に入らない。
僕の為の舞だったら良かったのに。
正直に言おう。ぼくは最近名ばかりが気になって仕方がない!
今日、名ばかりが誰かとダンスを踊ると思ったら悔しくて悲しくて辛かった。
どうして僕は子供なのか、早く大人に戻りたいと心から思った。名ばかりが来てから大人に戻りたい気持ちが強くなった気がする。
まぁ今日は名ばかりの勘違いのおかげで、誰ともダンスを踊る事はないと思うが。
しかしあの武闘会じゃないと気付いた瞬間の名ばかりの顔は最高に面白かった。あんなに困惑した顔は初めて見たぞ。名ばかりも動揺するんだな。
いかん、思い出したらまた笑えて来た。
ああ、もし僕が大人に戻ったらどうなるのだろうか?今までのようにかぼパンと呼んで、誰よりも真っ先に僕のところに来て頬をつついてくれるのだろうか?
綺麗に舞う名ばかりを見ていたら、何故か涙が浮かんで来た。
バレないようにコッソリ浮かんだ涙を拭ったが、名ばかりが僕を見た気がした。
舞が終わると、わあっ!
と歓声が上がる。割れんばかりの拍手が素晴らしい舞を披露した名ばかりに送られる。
鳴り止まない拍手——誇らしい。誇らしいが、また名ばかりに手紙が沢山届いてしまうんだろう。
舞い終えた名ばかりは当たり前のように、真っ先に僕に向かって走ってくる。満面の笑みで。
「かぼパン!どうだった?」
「素晴らしかったぞ」
「感動して泣いちゃった?」
からかうようにツンツンと頬を突いてくる名ばかり。
やっぱりさっき見ていたのか!
「そんなわけないだろう!」
「そぉ?目赤いし、ランは隣で泣いてるけど?」
ハッと隣を見上げると、ランは人目をはばからず泣いていた。
「素晴らしい舞に感動致しました。我ら愛で会の誇りです」
「へっへ!そこまで褒められると照れるなぁ」
ニヤニヤとマヌケ顔で笑う名ばかり。ランとは僕を愛でる為に仲が良いらしいが……仲が良すぎて羨ましい……かもしれない。
「僕は泣かないが、泣く人がいてもおかしくないくらい確かに素晴らしかった」
強がりを言い手を叩く。
「かぼパンに褒められるのが1番嬉しい」
嬉しそうに僕に笑顔を向ける名ばかり。
長かった拍手が鳴り止むと、ワルツが流れ始める。
「ナナ!感動したよ!僕の誕生日に素晴らしい舞をプレゼントしてくれてありがとう!」
来たな、リュストめ!
「誕生日おめでとう!リュストが喜んでくれて良かった!」
「うん!さぁ、次は僕とワルツを踊ってよ」
名ばかりに向かって差し出した腕を叩きたい気分になるのは何故なんだ。
だが大丈夫だ。名ばかりはワルツを踊れない!
いいか、調子に乗ってリュストの腕を取るんじゃないぞ。
心の中で思っていたら名ばかりが笑顔を見せた。
「ちょっと待って、1番は陛下と踊るって決めてるの!」
え?
驚いていると、ひょいっと抱き抱えられた。
「ほら、こうすれば子供のままでも参加出来るでしょ」
僕に向かって笑顔を見せ、抱き抱えたまま回り始める。僕が馬車の中で参加できないと落ち込んでいたのを覚えていたんだろう。
僕は名ばかりのこう言う所が好きだ。
ドレスでも無いし、抱っこされクルクル回っているだけなのに、今まで踊ったどのダンスよりも楽しい。人前で抱っこされているがこれはダンスだ。問題はない。
「ハハッ!名ばかりはめちゃくちゃだな」
「あはは!でも楽しいでしょ?」
「ああ、楽しい!」
「ああっ、楽しんでるかぼパン、可愛ぃいいいい!尊い、たまらん!」
また、可愛い攻めが始まったが……今日は良しとしよう。
「あっ、かぼパン!あそこ、カメラ見てカメラ!ほらぁ、楽しいでちゅーって!」
「何がでちゅーだ!僕は赤ちゃんじゃないぞおぉ!調子に乗るなーっ!」
「あーっ!楽しそうプンプンも可愛いっ!」
「もう可愛いって言うな!」
人を子供扱いばかりする。やっぱり名ばかりは困った奴だ。
僕と踊った後、ランとリュストと手を繋ぎ、3人で笑いながらクルクル回っていたが羨ましくないぞ。
僕は手だけじゃなく、抱っこだからな……
誰か、僕を大人に戻してくれぇぇぇえ!
聖女のくせに力はなく、いつも僕にやたらとかまってくる。
「可愛い」を、もう何回言われたかわからない。
王の僕に向かって可愛い、かぼちゃパンツ陛下、かぼパンなどと失礼なことを平気で言う。
僕が知っているご令嬢達は皆僕の事を「マンドローレの沈まぬ太陽」と称し、顔を合わせると褒め讃え、気に入られようと必死だったのに。
名ばかりは僕が王だろうが関係ない。誰に対しても同じような態度で接している。そこが名ばかりの良いところなんだろうが、僕は最近それが嫌で仕方がない気分になる。
リュストに騎士団長にと、どうして初対面の人とそうすぐに打ち解けられるんだ!
我が国の宰相も名ばかりを会長と呼び、気に入っているらしい。70歳の宰相に会長と呼ばれたら普通恐縮しないか?
平気なのは名ばかりくらいだろう!どんな神経をしているんだ!
今目の前で剣舞を披露している名ばかりも僕は気に食わない。
皆が瞳を輝かせ、名ばかりの一挙一動を見逃すまいと、食い入るように見ているからだ。秘密にしていた宝物を見つけられてしまったような気分がする。
まぬけな名ばかりは舞踏会と武闘会を間違え、とてもダンスパーティーとかけ離れた衣装に身を包んでいる。
だが皮肉な事に、今踊っている名ばかりはどんなに着飾ったご令嬢よりも美しく見える。
名ばかりらしいダイナミックな舞は生命力に溢れ、自然と溢れる笑顔は美しく、ダンスフロアに太陽の女神が下りて来たようだ。
この舞が見れたのだから参加して良かったと思ってしまうほど。
今見ている全員が、僕と同じ気持ちかもしれない。
ふん……この舞がリュストの誕生日祝いと言うのも気に入らない。
僕の為の舞だったら良かったのに。
正直に言おう。ぼくは最近名ばかりが気になって仕方がない!
今日、名ばかりが誰かとダンスを踊ると思ったら悔しくて悲しくて辛かった。
どうして僕は子供なのか、早く大人に戻りたいと心から思った。名ばかりが来てから大人に戻りたい気持ちが強くなった気がする。
まぁ今日は名ばかりの勘違いのおかげで、誰ともダンスを踊る事はないと思うが。
しかしあの武闘会じゃないと気付いた瞬間の名ばかりの顔は最高に面白かった。あんなに困惑した顔は初めて見たぞ。名ばかりも動揺するんだな。
いかん、思い出したらまた笑えて来た。
ああ、もし僕が大人に戻ったらどうなるのだろうか?今までのようにかぼパンと呼んで、誰よりも真っ先に僕のところに来て頬をつついてくれるのだろうか?
綺麗に舞う名ばかりを見ていたら、何故か涙が浮かんで来た。
バレないようにコッソリ浮かんだ涙を拭ったが、名ばかりが僕を見た気がした。
舞が終わると、わあっ!
と歓声が上がる。割れんばかりの拍手が素晴らしい舞を披露した名ばかりに送られる。
鳴り止まない拍手——誇らしい。誇らしいが、また名ばかりに手紙が沢山届いてしまうんだろう。
舞い終えた名ばかりは当たり前のように、真っ先に僕に向かって走ってくる。満面の笑みで。
「かぼパン!どうだった?」
「素晴らしかったぞ」
「感動して泣いちゃった?」
からかうようにツンツンと頬を突いてくる名ばかり。
やっぱりさっき見ていたのか!
「そんなわけないだろう!」
「そぉ?目赤いし、ランは隣で泣いてるけど?」
ハッと隣を見上げると、ランは人目をはばからず泣いていた。
「素晴らしい舞に感動致しました。我ら愛で会の誇りです」
「へっへ!そこまで褒められると照れるなぁ」
ニヤニヤとマヌケ顔で笑う名ばかり。ランとは僕を愛でる為に仲が良いらしいが……仲が良すぎて羨ましい……かもしれない。
「僕は泣かないが、泣く人がいてもおかしくないくらい確かに素晴らしかった」
強がりを言い手を叩く。
「かぼパンに褒められるのが1番嬉しい」
嬉しそうに僕に笑顔を向ける名ばかり。
長かった拍手が鳴り止むと、ワルツが流れ始める。
「ナナ!感動したよ!僕の誕生日に素晴らしい舞をプレゼントしてくれてありがとう!」
来たな、リュストめ!
「誕生日おめでとう!リュストが喜んでくれて良かった!」
「うん!さぁ、次は僕とワルツを踊ってよ」
名ばかりに向かって差し出した腕を叩きたい気分になるのは何故なんだ。
だが大丈夫だ。名ばかりはワルツを踊れない!
いいか、調子に乗ってリュストの腕を取るんじゃないぞ。
心の中で思っていたら名ばかりが笑顔を見せた。
「ちょっと待って、1番は陛下と踊るって決めてるの!」
え?
驚いていると、ひょいっと抱き抱えられた。
「ほら、こうすれば子供のままでも参加出来るでしょ」
僕に向かって笑顔を見せ、抱き抱えたまま回り始める。僕が馬車の中で参加できないと落ち込んでいたのを覚えていたんだろう。
僕は名ばかりのこう言う所が好きだ。
ドレスでも無いし、抱っこされクルクル回っているだけなのに、今まで踊ったどのダンスよりも楽しい。人前で抱っこされているがこれはダンスだ。問題はない。
「ハハッ!名ばかりはめちゃくちゃだな」
「あはは!でも楽しいでしょ?」
「ああ、楽しい!」
「ああっ、楽しんでるかぼパン、可愛ぃいいいい!尊い、たまらん!」
また、可愛い攻めが始まったが……今日は良しとしよう。
「あっ、かぼパン!あそこ、カメラ見てカメラ!ほらぁ、楽しいでちゅーって!」
「何がでちゅーだ!僕は赤ちゃんじゃないぞおぉ!調子に乗るなーっ!」
「あーっ!楽しそうプンプンも可愛いっ!」
「もう可愛いって言うな!」
人を子供扱いばかりする。やっぱり名ばかりは困った奴だ。
僕と踊った後、ランとリュストと手を繋ぎ、3人で笑いながらクルクル回っていたが羨ましくないぞ。
僕は手だけじゃなく、抱っこだからな……
誰か、僕を大人に戻してくれぇぇぇえ!
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