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第三章
勝利の美酒
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「その指輪を……どこで、手に入れましたの?」
「エリシエル中央教会の回廊で拾いました。――いいえ、正確には中央教会に運び込まれた男の指から、この指輪が落ちるのを見て、咄嗟に拾って隠し持っていたと言った方が正しいですね。残念ながら、運び込まれた男が誰だったかまでは、わかりません」
「では、なぜ私に指輪を見せたのです?」
「指輪の意匠です。銀色の蝶はラヴェリエ公爵の使役蝶です。そして、藍色がかった紫色のアメジストはラヴェリエ公爵とシンシアさまを想像させる。――やはり、この指輪はラヴェリエ公爵のものだったのですね」
「えぇ……ダレンの指輪です」
神官の話が真実なら、ダレンは今エクレシア中央教会にいる。そして、運び込まれた状況を考えれば、囚われている可能性が高い。
「魔術師団と現エリセア教は対立関係にあります。この指輪がラヴェリエ公爵の物で間違いないのであれば、何らかの取り引き材料にするべく囚われている可能性が高いでしょう」
「そのことを私に伝えるためだけに、わざわざ私をおびき出したのではないでしょう? あなた達の目的は、何?」
「シンシアさま、話が早くて助かります。貴方さまの神の力――エリシエル神に愛されしオメガの力をふるって頂きたいのです」
想像はしていた。
エリセア教会がシンシアを欲するとしたら聖騎士を跪かせたエリシエルのオメガフェロモンだろうことは。
「今、エリセア教会は転換期を迎えております。教皇が死に、教皇派は聖女リディアを次の教皇にしようと画策しております。次の教皇選挙で聖女リディアが選ばれる事態になれば、エリセア教はお終いです。聖女はエリシエル神を裏切り、悪神ダーラと契約を結びました」
「えっ、悪神ダーラと契約を結んだって……どういうことですか?」
「シンシアさま。深淵へと悪神ダーラが封じられた石版――それを今も、エリシエル神が守っていることはご存知ですか?」
「はい。マーサから聞きましたわ」
「その封じの石版が、聖女リディアの手によって、壊されたのです。そして、血まみれの聖女がダーラ神と契約したところを私は見てしまった。恐ろしいことが起ころうとしている。よりによって、赤い満月が昇る年にダーラ神が復活するなんて……」
赤い月……
赤い月、赤い月、赤い月――――!!
シンシアの脳裏に記憶の奔流が押し寄せた。
処刑場、胸を刺す槍の刃、見開かれた藍色の瞳――そして、最期に視界に映った赤い満月。
なぜ、今まで気づかなかったのだろうか。
ダレンの記憶の中でも、何度も見かけていたのに……
その違和感に、今の今まで気づかなかったなんて。
確かにあの時、私は青空を見ていたのだ。
それはそれは美しい、真っ青な空を。
――だが、最期に見たのは漆黒の闇に浮かぶ真っ赤な満月だった。
記憶違いなんかじゃない。
死ぬ間際、何らかの人智を越える力が働いたと見て間違いない。そしてダレンの記憶の中に現れた神と呼ばれた存在。
あの赤髪の男は自分のことを何と言っていた?
破壊と想像の神ダーラと言ってはいなかったか。
ずっと神と契約した代償が、私のオメガへの転化だと思っていた。その考え事態が間違えだったとしたら……
シンシアの心臓が嫌な音を立てて跳ねた。
――代償は、ダレン自身。
「うそよ……誰か、違うと言って……」
あまりの衝撃に立っていることさえ出来ない。
「シ、シンシアさま!! どうされましたか!?」
神官の焦る声が耳に響くが、それどころではない。今は状況確認が先決だ。
シンシアは自分を鼓舞し、神官と相対する。
「大丈夫です。そんなことよりも……赤い満月が昇ると、どうなるのですか?」
「赤い満月が昇る時、ダーラ神は真の力を解放し、深淵から甦るとされています。今までは、エリシエル神の御使である聖女が、慈愛の力を使役し、赤い月が昇る前に封印を施し直していたのです。けれども、聖女自ら封印の石版を壊したことで、ダーラ神が復活してしまった。そして、赤い満月を待って真の力を取り戻す」
回帰前、処刑場で見た光景は青空だったのに、死ぬ間際、目に映ったのは闇に浮かぶ真っ赤な満月。
あれは、ダーラ神が復活したことを暗示していたのだ。
そして、ダレンと契約を交わした。
――何のために?
「神官さま、復活したダーラ神は何をすると思いますか?」
「神と呼ばれる存在の御心はわかりません。ただ、私がダーラ神であれば深淵へと沈めたエリシエル神を、そして創世神の創りたもうた世界を滅ぼそうと考えると思います」
――やはり、そうよね。
魂の番であるエリシエル神の裏切りが発端で世界を滅ぼしかけ、創世神の怒りを買い深淵へと堕とされ、ダーラ神は封印された。
今でもエリシエル神と創世神を恨んでいてもおかしくないわ。
――ただ、疑問も残る。
契約の代償がダレン自身であるなら、どうしてダーラ神は、ダレンを必要としているのか?
「神官さま、もう一つ、お聞きしてもよろしいですか。神が人に直接手を出すことは、可能なのですか? たとえば、神、自ら人を殺したり、滅ぼしたりすることは」
「いいえ。神、自ら人を害することは出来ないとされています。助言を与えることはあっても、直接的な干渉は出来ないとされています。しかし、契約を結んだ者たちは別です。その者たちを通じてなら、神は人間へと干渉出来ると言われています。ただ、その契約もまた、人間からのアクションがなければ成立しません。シンシアさまは、エリシエル神と契約なさったのではないのですか?」
「いいえ、エリシエル神と契約した覚えはありませんわ」
「そうですか……不思議なことも、あるものです。神との契約なしに、エリシエル神の力を使役するなど、シンシアさまは、エリシエル神であらせられますか?」
「……いいえ、まさか。私がエリシエル神だなんて有り得ませんわ」
ただ、重要な場面でいつも聴こえる女性の声。あの声こそ、エリシエル神なのだと確信はある。
彼女はいったいどこにいるのか?
やはり……この涙石の中なのかしら?
胸元で七色に輝く涙石に問いかけても、答えが返ってくるはずもなかった。
「まぁ、どちらにせよシンシアさまがエリシエル神の力を使えるのは確かです。その力を使い赤い満月が昇る前に、ダーラ神を封印しなければなりません。どうか、ご協力を」
深々と頭を下げる神官を見つめ、シンシアの心が揺れる。
神官はシンシアにエリシエル神の力があると言う。けれども、どう使役すれば良いかなどわからない。ただ、このままダーラを封印せずに逃げれば、ダレンの命が危ういことも理解している。――そして、自分の命すらも。
「神官さま、私はエリシエル神の力をどう引き出すのかわからないのです。聖女に襲われた時は無我夢中で、気づいたら金色の蝶の群れに守られていたのです」
「金色の蝶の群れとは……伝承の通りだ。いいですか、シンシアさま。金色の蝶の群れの出現時には、必ずその近くに媒介となる物の存在があるのです。心当たりはありませんか?」
シンシアは、恐る恐る胸元のネックレスを外し、机の上へ置く。
「七色の涙石……まさか、失われた聖遺物をお持ちとは。これもエリシエル神のお導きか」
「聖遺物なのですか?」
「間違いありません。これこそエリシエルの巫女が持つとされる伝説の石です。この石を媒介し、金色の蝶が放たれたのですね。なんと、神秘的な……」
陶酔を声色に滲ませ目の前の神官が涙石を撫でる。その様子を見つめ、得体の知れない悪寒が背を震わすが、次に続いた言葉に、それもかき消えてしまった。
「金色の蝶を放ち者は、エリシエル神と魂で繋がると言われています。この涙石にただ願うだけで、シンシアさまはエリシエル神の力を使役出来るのですよ」
「ただ、願うだけなの?」
「えぇ、願うだけです。願いさえすれば、壊れた石版も元に戻り、ダーラ神を深淵へと鎮めることが出来るのです」
「願うだけ……」
「そう、願うだけでラヴェリエ公爵も取り戻せます。どうか一緒にダーラ神と、そして聖女リディアと戦いましょう」
「聖女リディアと戦う……」
「はい、エリシエル神の加護を持つシンシアさまこそ、本物の聖女です。偽物聖女に神の鉄槌を」
頭に浮かぶは、勝利の光景。
目の前には、うなだれ膝をつく聖女リディア。そして、傍には愛するダレン。
勝利の美酒は、時に人を狂わせる。
シンシアは、誘われるがまま神官の手を取っていた。
「エリシエル中央教会の回廊で拾いました。――いいえ、正確には中央教会に運び込まれた男の指から、この指輪が落ちるのを見て、咄嗟に拾って隠し持っていたと言った方が正しいですね。残念ながら、運び込まれた男が誰だったかまでは、わかりません」
「では、なぜ私に指輪を見せたのです?」
「指輪の意匠です。銀色の蝶はラヴェリエ公爵の使役蝶です。そして、藍色がかった紫色のアメジストはラヴェリエ公爵とシンシアさまを想像させる。――やはり、この指輪はラヴェリエ公爵のものだったのですね」
「えぇ……ダレンの指輪です」
神官の話が真実なら、ダレンは今エクレシア中央教会にいる。そして、運び込まれた状況を考えれば、囚われている可能性が高い。
「魔術師団と現エリセア教は対立関係にあります。この指輪がラヴェリエ公爵の物で間違いないのであれば、何らかの取り引き材料にするべく囚われている可能性が高いでしょう」
「そのことを私に伝えるためだけに、わざわざ私をおびき出したのではないでしょう? あなた達の目的は、何?」
「シンシアさま、話が早くて助かります。貴方さまの神の力――エリシエル神に愛されしオメガの力をふるって頂きたいのです」
想像はしていた。
エリセア教会がシンシアを欲するとしたら聖騎士を跪かせたエリシエルのオメガフェロモンだろうことは。
「今、エリセア教会は転換期を迎えております。教皇が死に、教皇派は聖女リディアを次の教皇にしようと画策しております。次の教皇選挙で聖女リディアが選ばれる事態になれば、エリセア教はお終いです。聖女はエリシエル神を裏切り、悪神ダーラと契約を結びました」
「えっ、悪神ダーラと契約を結んだって……どういうことですか?」
「シンシアさま。深淵へと悪神ダーラが封じられた石版――それを今も、エリシエル神が守っていることはご存知ですか?」
「はい。マーサから聞きましたわ」
「その封じの石版が、聖女リディアの手によって、壊されたのです。そして、血まみれの聖女がダーラ神と契約したところを私は見てしまった。恐ろしいことが起ころうとしている。よりによって、赤い満月が昇る年にダーラ神が復活するなんて……」
赤い月……
赤い月、赤い月、赤い月――――!!
シンシアの脳裏に記憶の奔流が押し寄せた。
処刑場、胸を刺す槍の刃、見開かれた藍色の瞳――そして、最期に視界に映った赤い満月。
なぜ、今まで気づかなかったのだろうか。
ダレンの記憶の中でも、何度も見かけていたのに……
その違和感に、今の今まで気づかなかったなんて。
確かにあの時、私は青空を見ていたのだ。
それはそれは美しい、真っ青な空を。
――だが、最期に見たのは漆黒の闇に浮かぶ真っ赤な満月だった。
記憶違いなんかじゃない。
死ぬ間際、何らかの人智を越える力が働いたと見て間違いない。そしてダレンの記憶の中に現れた神と呼ばれた存在。
あの赤髪の男は自分のことを何と言っていた?
破壊と想像の神ダーラと言ってはいなかったか。
ずっと神と契約した代償が、私のオメガへの転化だと思っていた。その考え事態が間違えだったとしたら……
シンシアの心臓が嫌な音を立てて跳ねた。
――代償は、ダレン自身。
「うそよ……誰か、違うと言って……」
あまりの衝撃に立っていることさえ出来ない。
「シ、シンシアさま!! どうされましたか!?」
神官の焦る声が耳に響くが、それどころではない。今は状況確認が先決だ。
シンシアは自分を鼓舞し、神官と相対する。
「大丈夫です。そんなことよりも……赤い満月が昇ると、どうなるのですか?」
「赤い満月が昇る時、ダーラ神は真の力を解放し、深淵から甦るとされています。今までは、エリシエル神の御使である聖女が、慈愛の力を使役し、赤い月が昇る前に封印を施し直していたのです。けれども、聖女自ら封印の石版を壊したことで、ダーラ神が復活してしまった。そして、赤い満月を待って真の力を取り戻す」
回帰前、処刑場で見た光景は青空だったのに、死ぬ間際、目に映ったのは闇に浮かぶ真っ赤な満月。
あれは、ダーラ神が復活したことを暗示していたのだ。
そして、ダレンと契約を交わした。
――何のために?
「神官さま、復活したダーラ神は何をすると思いますか?」
「神と呼ばれる存在の御心はわかりません。ただ、私がダーラ神であれば深淵へと沈めたエリシエル神を、そして創世神の創りたもうた世界を滅ぼそうと考えると思います」
――やはり、そうよね。
魂の番であるエリシエル神の裏切りが発端で世界を滅ぼしかけ、創世神の怒りを買い深淵へと堕とされ、ダーラ神は封印された。
今でもエリシエル神と創世神を恨んでいてもおかしくないわ。
――ただ、疑問も残る。
契約の代償がダレン自身であるなら、どうしてダーラ神は、ダレンを必要としているのか?
「神官さま、もう一つ、お聞きしてもよろしいですか。神が人に直接手を出すことは、可能なのですか? たとえば、神、自ら人を殺したり、滅ぼしたりすることは」
「いいえ。神、自ら人を害することは出来ないとされています。助言を与えることはあっても、直接的な干渉は出来ないとされています。しかし、契約を結んだ者たちは別です。その者たちを通じてなら、神は人間へと干渉出来ると言われています。ただ、その契約もまた、人間からのアクションがなければ成立しません。シンシアさまは、エリシエル神と契約なさったのではないのですか?」
「いいえ、エリシエル神と契約した覚えはありませんわ」
「そうですか……不思議なことも、あるものです。神との契約なしに、エリシエル神の力を使役するなど、シンシアさまは、エリシエル神であらせられますか?」
「……いいえ、まさか。私がエリシエル神だなんて有り得ませんわ」
ただ、重要な場面でいつも聴こえる女性の声。あの声こそ、エリシエル神なのだと確信はある。
彼女はいったいどこにいるのか?
やはり……この涙石の中なのかしら?
胸元で七色に輝く涙石に問いかけても、答えが返ってくるはずもなかった。
「まぁ、どちらにせよシンシアさまがエリシエル神の力を使えるのは確かです。その力を使い赤い満月が昇る前に、ダーラ神を封印しなければなりません。どうか、ご協力を」
深々と頭を下げる神官を見つめ、シンシアの心が揺れる。
神官はシンシアにエリシエル神の力があると言う。けれども、どう使役すれば良いかなどわからない。ただ、このままダーラを封印せずに逃げれば、ダレンの命が危ういことも理解している。――そして、自分の命すらも。
「神官さま、私はエリシエル神の力をどう引き出すのかわからないのです。聖女に襲われた時は無我夢中で、気づいたら金色の蝶の群れに守られていたのです」
「金色の蝶の群れとは……伝承の通りだ。いいですか、シンシアさま。金色の蝶の群れの出現時には、必ずその近くに媒介となる物の存在があるのです。心当たりはありませんか?」
シンシアは、恐る恐る胸元のネックレスを外し、机の上へ置く。
「七色の涙石……まさか、失われた聖遺物をお持ちとは。これもエリシエル神のお導きか」
「聖遺物なのですか?」
「間違いありません。これこそエリシエルの巫女が持つとされる伝説の石です。この石を媒介し、金色の蝶が放たれたのですね。なんと、神秘的な……」
陶酔を声色に滲ませ目の前の神官が涙石を撫でる。その様子を見つめ、得体の知れない悪寒が背を震わすが、次に続いた言葉に、それもかき消えてしまった。
「金色の蝶を放ち者は、エリシエル神と魂で繋がると言われています。この涙石にただ願うだけで、シンシアさまはエリシエル神の力を使役出来るのですよ」
「ただ、願うだけなの?」
「えぇ、願うだけです。願いさえすれば、壊れた石版も元に戻り、ダーラ神を深淵へと鎮めることが出来るのです」
「願うだけ……」
「そう、願うだけでラヴェリエ公爵も取り戻せます。どうか一緒にダーラ神と、そして聖女リディアと戦いましょう」
「聖女リディアと戦う……」
「はい、エリシエル神の加護を持つシンシアさまこそ、本物の聖女です。偽物聖女に神の鉄槌を」
頭に浮かぶは、勝利の光景。
目の前には、うなだれ膝をつく聖女リディア。そして、傍には愛するダレン。
勝利の美酒は、時に人を狂わせる。
シンシアは、誘われるがまま神官の手を取っていた。
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