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再び ポケットの中・あの娘の秘密
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大学の同級生の友香と一緒に大学から帰った。
駅前でのちょっとした100均の買い物に付き合い、近くのうどん屋で軽く一緒に夕飯を食べた。
ちょっと肌寒い日だったので二人ともカレーうどんを注文した。
「紙エプロンもらわなくて大丈夫なの?」
「うん平気!」
友香は純白のブラウス姿。肩に掛かるくらいの明るめブラウンのヘアとよく似合っていて確かにかわいい。
でもチャレンジャー過ぎないか?
「平気だって。私、麺すするの上手だから。」
「本当かよ。知らないぞ。」
友香は手首に巻いていた白いシュシュで手慣れた仕草でポニーテールを作り髪をまとめた。
うなじの後れ毛がかわいい。
覚えている人もいるかもしれないが、以前友香がこの白いシュシュを俺の部屋に置き忘れたとき、俺がパンティと早とちりして焦ったことがある。
でもその出来事がきっかけで俺は友香がさらに身近に感じられるようになり、いまこうして一緒に過ごす時間も増えてきているのだ。
友香はカレーうどんを美味しそうにすすりはじめた。
確かに謎のうどんすすりテクニックを駆使して友香は一滴も汁を飛ばさずカレーうどんを食べ続けている。一体どこで手に入れたスキルなんだ。そして役に立つ場面が少ない!
俺はというと、ちゃんと紙エプロンを装着してから、友香よりちょっと遅れてカレーうどんをすすりはじめた。
数分後…
「んっ……あっ!」
突然、友香が小さく声を上げた。見ると、彼女の白いブラウスにカレーの汁が豪快に飛び散っている。
「ほらやっぱり飛ばした!だから言ったのに!」と指さすと、友香がほっぺたを膨らまして言った。
「違うよ!あんたが飛ばした汁だよ!もう!」
「友香ごめん!まじごめん!」
俺は平謝りするしか無かった。でも紙エプロンしなかったのは友香だけど…。
「もう、恥ずかしいなあ。これで電車乗りたくない。」
友香は顔を赤くして、白いブラウスをティッシュで拭いているが、シミは簡単には落ちない。
俺は申し訳なさでいっぱいだった。
「俺のカーディガン貸すよ。着て帰れば?」
「えっ、いいの?」
「そのままだと目立つし、恥ずかしいだろ?」
「……うん、ありがと」
友香の顔がパッと明るくなった。
友香は俺の紺色のカーディガンを羽織り、汚れたブラウスを隠すようにしてそのまま帰っていった。
ちょっと大きい俺のカーディガンを羽織る姿がかわいい。
もしこの先、彼氏になれたらこんな気分を味わえるのか…。
そして数日後。
「この前はありがとう。洗濯しておいたよ」
昼休みに学食で一緒に食事したときに、友香は綺麗に畳まれたカーディガンを俺に返してくれた。
「お、ちょうど今日肌寒かったから助かる。上着忘れたんだ。」
俺はそのまま羽織り、午後の授業へ向かった。
そして3限の授業を一人で受ける。
いつもどおり退屈な授業だけど友香の柔軟剤の香りに包まれた俺のカーディガンはなんだか心地よい。
幸せって案外こういうことなのかも知れないなあ。
何気なくカーディガンのポケットに手を突っ込んだ。
指先にふわりと柔らかい布の感触。
俺はこのポケットに物を入れる習慣がない。
なんだっけ?
俺はサッと取り出し、そのまま机の上に置いた。
ピンクの小く丸まった布。レースの装飾。
出た!また友香の忘れ物だ!っていうかなんでまた俺のところに!
待て待て、早とちりしてはいけない。
一見すると確かにパンティに見えるが、どうせまたシュシュだろ。
二回も同じ勘違いをするほど俺も初心じゃないんだ。
冷静にちょっと両端を引っ張って机の上に広げてみた。
…思いっきりパンティだった。
見覚えがある。以前、友香が履いていたのがスカートの隙間からチラッと見えたことがある。間違いなく、彼女のものだ。
サッとまたポケットに戻し、周囲の席の学生にバレてないか伺う。
みんなぼんやりと退屈そうに授業を聞いているだけだ。セーフ!
な、なんでまた……?
混乱するが、そんなことよりも大事な問題がある。
このまま持ち歩いていたら俺は完全に変態だ。
今日中に友香に返さないとヤバい!!
しかし、俺は5限の授業を抜け出してバイトに行く予定で、放課後に友香と会うチャンスはない。
5限の授業中に何が何でも返すしかない…!
俺はカーディガンのポケットに友香のパンティを隠し持ったまま5限までの時間を緊張して過ごした。
冷や汗が止まらない。
無実なのに犯罪者の心持ちだ。
こんなに小さなピンクの布が、こんなに俺を戸惑わせるなんて。
しかし、いざ5限の教室に行くと、友香は女友達と連れ立って入ってきた。
…まずい、一対一のチャンスがない!
仕方なく、彼女のカバンにこっそり戻そうと試みるが、周囲には他の生徒がいっぱいいる。
もしこのタイミングでバレたら…
俺は友香のパンティを盗んでいた男として、下着泥棒の汚名を着ることになる。
絶対にダメだ…!
くそっなんで俺がいつもいつもこんな目に!
授業が始まってしまうとますます返すチャンスが無くなる。
僕がバイトで途中退席するまでのタイムリミットもある。
焦る中、俺はあることを思いついた。
そうだ…前のシュシュ事件のときを思い出す。
つまり、堂々と渡してしまえばいい。
俺は深呼吸をして、意を決し、声を張る。
「ほら、友香。シュシュ忘れてるぞ。」
そう言いながら、女友達と談笑中の友香に後ろから声を掛けた。
振り向いた彼女の手に絶妙な大きさに丸めたピンクのパンティを堂々と押しつけた。
「っ!!??」
友香の顔が一瞬で真っ赤になった。
僕の声がけに、一瞬周囲の女友達が会話を止めたが、また会話を再開した。
気づかれなかったようだ。
無事返却ミッション完了!!!
友香は一瞬固まった後、そそくさとパンティをポケットに押し込んだ。
その後授業が始まるまで友香は目を合わせてくれない。
授業を抜け出した後、僕がバイトに向かう途中、友香からLINEが飛んできた。
《もうちょっとほかの渡し方あったでしょ!!!》
後から聞いた話では、カーディガンを洗濯したときにポケットの中に紛れ込んでしまったらしい。
《でもありがとう!!!》
次からもしカーディガンを返されるときは、ポケットの中身を確認することを誓った。
それにしても俺、最近は友香に振り回されっぱなしな気がする。
駅前でのちょっとした100均の買い物に付き合い、近くのうどん屋で軽く一緒に夕飯を食べた。
ちょっと肌寒い日だったので二人ともカレーうどんを注文した。
「紙エプロンもらわなくて大丈夫なの?」
「うん平気!」
友香は純白のブラウス姿。肩に掛かるくらいの明るめブラウンのヘアとよく似合っていて確かにかわいい。
でもチャレンジャー過ぎないか?
「平気だって。私、麺すするの上手だから。」
「本当かよ。知らないぞ。」
友香は手首に巻いていた白いシュシュで手慣れた仕草でポニーテールを作り髪をまとめた。
うなじの後れ毛がかわいい。
覚えている人もいるかもしれないが、以前友香がこの白いシュシュを俺の部屋に置き忘れたとき、俺がパンティと早とちりして焦ったことがある。
でもその出来事がきっかけで俺は友香がさらに身近に感じられるようになり、いまこうして一緒に過ごす時間も増えてきているのだ。
友香はカレーうどんを美味しそうにすすりはじめた。
確かに謎のうどんすすりテクニックを駆使して友香は一滴も汁を飛ばさずカレーうどんを食べ続けている。一体どこで手に入れたスキルなんだ。そして役に立つ場面が少ない!
俺はというと、ちゃんと紙エプロンを装着してから、友香よりちょっと遅れてカレーうどんをすすりはじめた。
数分後…
「んっ……あっ!」
突然、友香が小さく声を上げた。見ると、彼女の白いブラウスにカレーの汁が豪快に飛び散っている。
「ほらやっぱり飛ばした!だから言ったのに!」と指さすと、友香がほっぺたを膨らまして言った。
「違うよ!あんたが飛ばした汁だよ!もう!」
「友香ごめん!まじごめん!」
俺は平謝りするしか無かった。でも紙エプロンしなかったのは友香だけど…。
「もう、恥ずかしいなあ。これで電車乗りたくない。」
友香は顔を赤くして、白いブラウスをティッシュで拭いているが、シミは簡単には落ちない。
俺は申し訳なさでいっぱいだった。
「俺のカーディガン貸すよ。着て帰れば?」
「えっ、いいの?」
「そのままだと目立つし、恥ずかしいだろ?」
「……うん、ありがと」
友香の顔がパッと明るくなった。
友香は俺の紺色のカーディガンを羽織り、汚れたブラウスを隠すようにしてそのまま帰っていった。
ちょっと大きい俺のカーディガンを羽織る姿がかわいい。
もしこの先、彼氏になれたらこんな気分を味わえるのか…。
そして数日後。
「この前はありがとう。洗濯しておいたよ」
昼休みに学食で一緒に食事したときに、友香は綺麗に畳まれたカーディガンを俺に返してくれた。
「お、ちょうど今日肌寒かったから助かる。上着忘れたんだ。」
俺はそのまま羽織り、午後の授業へ向かった。
そして3限の授業を一人で受ける。
いつもどおり退屈な授業だけど友香の柔軟剤の香りに包まれた俺のカーディガンはなんだか心地よい。
幸せって案外こういうことなのかも知れないなあ。
何気なくカーディガンのポケットに手を突っ込んだ。
指先にふわりと柔らかい布の感触。
俺はこのポケットに物を入れる習慣がない。
なんだっけ?
俺はサッと取り出し、そのまま机の上に置いた。
ピンクの小く丸まった布。レースの装飾。
出た!また友香の忘れ物だ!っていうかなんでまた俺のところに!
待て待て、早とちりしてはいけない。
一見すると確かにパンティに見えるが、どうせまたシュシュだろ。
二回も同じ勘違いをするほど俺も初心じゃないんだ。
冷静にちょっと両端を引っ張って机の上に広げてみた。
…思いっきりパンティだった。
見覚えがある。以前、友香が履いていたのがスカートの隙間からチラッと見えたことがある。間違いなく、彼女のものだ。
サッとまたポケットに戻し、周囲の席の学生にバレてないか伺う。
みんなぼんやりと退屈そうに授業を聞いているだけだ。セーフ!
な、なんでまた……?
混乱するが、そんなことよりも大事な問題がある。
このまま持ち歩いていたら俺は完全に変態だ。
今日中に友香に返さないとヤバい!!
しかし、俺は5限の授業を抜け出してバイトに行く予定で、放課後に友香と会うチャンスはない。
5限の授業中に何が何でも返すしかない…!
俺はカーディガンのポケットに友香のパンティを隠し持ったまま5限までの時間を緊張して過ごした。
冷や汗が止まらない。
無実なのに犯罪者の心持ちだ。
こんなに小さなピンクの布が、こんなに俺を戸惑わせるなんて。
しかし、いざ5限の教室に行くと、友香は女友達と連れ立って入ってきた。
…まずい、一対一のチャンスがない!
仕方なく、彼女のカバンにこっそり戻そうと試みるが、周囲には他の生徒がいっぱいいる。
もしこのタイミングでバレたら…
俺は友香のパンティを盗んでいた男として、下着泥棒の汚名を着ることになる。
絶対にダメだ…!
くそっなんで俺がいつもいつもこんな目に!
授業が始まってしまうとますます返すチャンスが無くなる。
僕がバイトで途中退席するまでのタイムリミットもある。
焦る中、俺はあることを思いついた。
そうだ…前のシュシュ事件のときを思い出す。
つまり、堂々と渡してしまえばいい。
俺は深呼吸をして、意を決し、声を張る。
「ほら、友香。シュシュ忘れてるぞ。」
そう言いながら、女友達と談笑中の友香に後ろから声を掛けた。
振り向いた彼女の手に絶妙な大きさに丸めたピンクのパンティを堂々と押しつけた。
「っ!!??」
友香の顔が一瞬で真っ赤になった。
僕の声がけに、一瞬周囲の女友達が会話を止めたが、また会話を再開した。
気づかれなかったようだ。
無事返却ミッション完了!!!
友香は一瞬固まった後、そそくさとパンティをポケットに押し込んだ。
その後授業が始まるまで友香は目を合わせてくれない。
授業を抜け出した後、僕がバイトに向かう途中、友香からLINEが飛んできた。
《もうちょっとほかの渡し方あったでしょ!!!》
後から聞いた話では、カーディガンを洗濯したときにポケットの中に紛れ込んでしまったらしい。
《でもありがとう!!!》
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