3 / 208
友人の悩み
【3】
しおりを挟む
月曜日。朝が弱い旦那様は、今日も眠たい目を擦りながら出勤していった。
朝食後の食器を片付けて、洗濯をする。昨日取り込んでハンガーにかけてあったあまねくんのシャツをアイロンがけした。
一段落ついてから、私は茉紀に電話をかけた。あまねくんに無駄だと言われても、気になって仕方がないんだ。
茉紀には、間違った方向に行ってほしくないし、ハイジさんのことだってどういう関係なのかちゃんと教えてほしい。
「もしもーし。どうしたぁ?」
明るい茉紀の声が聞こえる。茉紀も主婦で子持ちなのだから、私と同じように旦那さんを見送って、家事をしているところだろう。
「おはよう。今大丈夫?」
「うん。子供らまだ寝てるからいいよ」
子供が寝ている内に、できる家事はしておきたかったかななんて申し訳なく思う。しかし、私は気になって気になって仕方がないのだ。
「あ、あのね! ちょっと聞きたいことがあって……」
「何、改まって」
「あのさ……一昨日、茉紀とハイジさんが一緒に歩いてるところ見ちゃったんだけど……」
「ああ、そう。何だ、じゃあ声かけてくれればよかったのに」
何でもないことのように茉紀は笑って言った。この反応をみるに、やましいことはないということなんだろうか。
「えっと、道挟んだ向こう側にいたから……。ねぇ、ハイジさんとはしょっちゅう会ってるの?」
「しょっちゅうじゃないよ。私だってそんなに家空けられないし」
「まあ……そうだよね。じゃあ、何で一緒にいたの?」
「……別に。夜中はさすがに家から出られないから、早い時間に付き合ってもらっただけだよ」
少し考えたように数秒時間を置いて、彼女はそう答えた。
「付き合ってもらっただけって……茉紀、店以外でもハイジさんと会ってるの?」
「たまにね」
「そう……。でも、あんな街中で一緒に歩いてたら、誰に見られるかわかんないよ? 茉紀は結婚して子供もいるし……」
「何、説教するために電話かけてきたの?」
声のトーンが低くなり、明らかに機嫌が悪くなった様子だ。何か、まずい言い方をしただろうかとこちらも動揺する。
「別に説教とかじゃなくて、私は茉紀のことが心配で……」
「まどかに心配してもらうようなことなんてないから。あんたが思ってるようなこともないし。自分のことで忙しいんじゃないの? 他人の心配してる暇があったら、挙式の準備でも進めたら?」
「まあ……そうなんだけど……」
あまねくんが言った通りだ。私が色々な用事に追われているから、彼女も言わないのかもしれない。しかし、それにしたってもっと言い方はあるだろうに……。
朝食後の食器を片付けて、洗濯をする。昨日取り込んでハンガーにかけてあったあまねくんのシャツをアイロンがけした。
一段落ついてから、私は茉紀に電話をかけた。あまねくんに無駄だと言われても、気になって仕方がないんだ。
茉紀には、間違った方向に行ってほしくないし、ハイジさんのことだってどういう関係なのかちゃんと教えてほしい。
「もしもーし。どうしたぁ?」
明るい茉紀の声が聞こえる。茉紀も主婦で子持ちなのだから、私と同じように旦那さんを見送って、家事をしているところだろう。
「おはよう。今大丈夫?」
「うん。子供らまだ寝てるからいいよ」
子供が寝ている内に、できる家事はしておきたかったかななんて申し訳なく思う。しかし、私は気になって気になって仕方がないのだ。
「あ、あのね! ちょっと聞きたいことがあって……」
「何、改まって」
「あのさ……一昨日、茉紀とハイジさんが一緒に歩いてるところ見ちゃったんだけど……」
「ああ、そう。何だ、じゃあ声かけてくれればよかったのに」
何でもないことのように茉紀は笑って言った。この反応をみるに、やましいことはないということなんだろうか。
「えっと、道挟んだ向こう側にいたから……。ねぇ、ハイジさんとはしょっちゅう会ってるの?」
「しょっちゅうじゃないよ。私だってそんなに家空けられないし」
「まあ……そうだよね。じゃあ、何で一緒にいたの?」
「……別に。夜中はさすがに家から出られないから、早い時間に付き合ってもらっただけだよ」
少し考えたように数秒時間を置いて、彼女はそう答えた。
「付き合ってもらっただけって……茉紀、店以外でもハイジさんと会ってるの?」
「たまにね」
「そう……。でも、あんな街中で一緒に歩いてたら、誰に見られるかわかんないよ? 茉紀は結婚して子供もいるし……」
「何、説教するために電話かけてきたの?」
声のトーンが低くなり、明らかに機嫌が悪くなった様子だ。何か、まずい言い方をしただろうかとこちらも動揺する。
「別に説教とかじゃなくて、私は茉紀のことが心配で……」
「まどかに心配してもらうようなことなんてないから。あんたが思ってるようなこともないし。自分のことで忙しいんじゃないの? 他人の心配してる暇があったら、挙式の準備でも進めたら?」
「まあ……そうなんだけど……」
あまねくんが言った通りだ。私が色々な用事に追われているから、彼女も言わないのかもしれない。しかし、それにしたってもっと言い方はあるだろうに……。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
専属秘書は極上CEOに囚われる
有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる