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ファンクラブ
【10】
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もうすぐ食べ終わるというところでふと視線を上げれば、千愛希さんの目の前に置かれたパンケーキはそのままだった。
たっぷり乗っかった生クリームも、その上からかけられたイチゴソースも。
「……デザート食べないの?」
顔を上げて彼女に尋ねれば、目を輝かせていた彼女は一瞬目を逸らし、胸の前でぎゅっと手を握りそのまま表情を曇らせた。
「そもそも何で甘いもの苦手なくせにそれ頼んだの?」
彼女の隣に座る律くんは、ようやくスマホの画面から視線を移したかと思うと静かにそう尋ねた。
「え!? 甘いもの苦手って……」
てっきり好んで注文したと思っていたため、私は驚いて食べる手を止めた。
「ごめんなさい! どうしてもまだ帰りたくなくて……勢いで注文してしまって……」
先程まであんなに嬉しそうな笑顔を浮かべていた千愛希さんは、申し訳なさそうに顔を伏せた。
「……はしゃいでるからだよ。自分の好みも忘れるとか、興奮し過ぎ」
隣の律くんは呆れた表情を浮かべているけれど、本気で怒っているわけではないことくらいわかる。
むしろ、あまねくんに手を焼いている時に見せる顔と同じだ。どこにいてもお兄さん役なんだなぁと思ったら、思わず声を出して笑ってしまった。
「ははっ。千愛希さんって、変わってるね。変な子」
口元を押さえて言えば「さすがに変な子は失礼じゃない?」と言って隣のあまねくんも一緒になって笑っている。
「……すみません」
彼女は、下唇を噛みながら頭を下げた。
「謝らなくてもいいよー。それなら、コーヒーでも頼めばよかったのに」
「そ、そうですね……」
「じゃあ、これ私が貰ってもいい?」
目の前のパンケーキは、先程から私を誘惑し続けていたのだった。つやつやと輝くイチゴソースと、柔らかそうなパンケーキがとても美味しそうだった。
「は、はい!」
千愛希さんは、背筋を伸ばして大きく頷く。
「ねぇ、あまねくん半分こしようよ」
「いいよ。実は俺も美味しそうだなぁって思ってたんだよね」
そう言って、既に食べ終わったパスタの皿にフォークを置きながら彼は言う。あまねくんも嬉しそうにパンケーキに視線を移す。
私達は、甘いものが大好物だ。休みの日には2人でお菓子を作って食べる程に。
そんな私達の前にデザートを置かれたら、食べたくならないわけがない。
たっぷり乗っかった生クリームも、その上からかけられたイチゴソースも。
「……デザート食べないの?」
顔を上げて彼女に尋ねれば、目を輝かせていた彼女は一瞬目を逸らし、胸の前でぎゅっと手を握りそのまま表情を曇らせた。
「そもそも何で甘いもの苦手なくせにそれ頼んだの?」
彼女の隣に座る律くんは、ようやくスマホの画面から視線を移したかと思うと静かにそう尋ねた。
「え!? 甘いもの苦手って……」
てっきり好んで注文したと思っていたため、私は驚いて食べる手を止めた。
「ごめんなさい! どうしてもまだ帰りたくなくて……勢いで注文してしまって……」
先程まであんなに嬉しそうな笑顔を浮かべていた千愛希さんは、申し訳なさそうに顔を伏せた。
「……はしゃいでるからだよ。自分の好みも忘れるとか、興奮し過ぎ」
隣の律くんは呆れた表情を浮かべているけれど、本気で怒っているわけではないことくらいわかる。
むしろ、あまねくんに手を焼いている時に見せる顔と同じだ。どこにいてもお兄さん役なんだなぁと思ったら、思わず声を出して笑ってしまった。
「ははっ。千愛希さんって、変わってるね。変な子」
口元を押さえて言えば「さすがに変な子は失礼じゃない?」と言って隣のあまねくんも一緒になって笑っている。
「……すみません」
彼女は、下唇を噛みながら頭を下げた。
「謝らなくてもいいよー。それなら、コーヒーでも頼めばよかったのに」
「そ、そうですね……」
「じゃあ、これ私が貰ってもいい?」
目の前のパンケーキは、先程から私を誘惑し続けていたのだった。つやつやと輝くイチゴソースと、柔らかそうなパンケーキがとても美味しそうだった。
「は、はい!」
千愛希さんは、背筋を伸ばして大きく頷く。
「ねぇ、あまねくん半分こしようよ」
「いいよ。実は俺も美味しそうだなぁって思ってたんだよね」
そう言って、既に食べ終わったパスタの皿にフォークを置きながら彼は言う。あまねくんも嬉しそうにパンケーキに視線を移す。
私達は、甘いものが大好物だ。休みの日には2人でお菓子を作って食べる程に。
そんな私達の前にデザートを置かれたら、食べたくならないわけがない。
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