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ファンクラブ
【17】
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「あまねくん、千愛希さんだって仕事忙しいのに、合間にそんなことするの大変だと思うよ?」
「それは大丈夫です! こう見えて、3日でHPを完成させた実績もあるのです!」
千愛希さんは、興奮気味にこちらに寄ってきてそう言った。
それは、それがあなたの仕事だったからじゃ……。そんな全うな意見が口から溢れそうになったけれど、もうやめた。
「じゃあ、もう好きにして下さい」
諦めて言えば、「本人からお許しが出たよ!」と2人で喜んでいる。
「あんなこと言っちゃっていいの?」
律くんが顔をしかめている。
「その内飽きるでしょう。会報作るったって大変でしょうし」
「うん、まあ……。でも10年もファンでいるくらいですよ? 根強いと思うなぁ……」
律くんの言葉を聞けば、とんでもない了承をしてしまったかもしれないとも思うが、認めなければそれはそれでうるさそうだし、やっぱりおとなしく遊んでてくれるのであればそれでいい気がした。
完全に子育て中の母親目線だ。
とにもかくにも、守屋家に入る。ダリアさんもお義父さんもおばあちゃんも外出中だった。
人の気配がない家に踏み入れてからその事実を思い出した。
「おじゃましまーす。って、すごーい! 大豪邸!」
素直な千愛希さんは、玄関の時点で声を上げる。私も初めてお邪魔した時驚いたもんな。
「いいから、進んで。後ろつかえて入れないから」
律くんにぐいぐい推されて千愛希さんは中へ入る。リビングに通すと、「広い! 凄い! え、もうホテルじゃん!」と叫んでいる。
「うるさいな。ちょっと、静かにしなよ」
律くんは呆れた様子で上着を脱いでいる。私達も上着を脱ぎながら、私だけは千愛希さんの反応に共感してしまった。
今でこそ慣れたこの家だけれど、私でもまだ入ったことのない部屋はたくさんある。一体この家には何部屋あるのかと気が遠くなりそうだ。
リビングのソファーに座った千愛希さんは、早速あまねくんにパソコンを貸してくれないかと頼んでいた。
自室からノートパソコンを持ってきたあまねくん。それを受け取って起動を始めた。
「いくつかソフトインストールしていい?」
「いいですよ! 好きに使ってください!」
千愛希さんとあまねくんのやり取りを見て、ファンクラブの何かを作ろうとしていることは想像がついた。
せっかく律くんの家に来たのだから、今そんなことしなくてもいいのに……と思ってしまう。
しかし、起動し始めてから暫くすると、私は自分の目を疑うことになる。
千愛希さんの指が、まるで個々に意思を持っているかの如く猛スピードで動き始めた。その表情は真剣そのもので、客観的に見ている分にはすごくカッコいい。
しかし、その内容が私のものかと思うと複雑な気持ちは拭えなかった。
「それは大丈夫です! こう見えて、3日でHPを完成させた実績もあるのです!」
千愛希さんは、興奮気味にこちらに寄ってきてそう言った。
それは、それがあなたの仕事だったからじゃ……。そんな全うな意見が口から溢れそうになったけれど、もうやめた。
「じゃあ、もう好きにして下さい」
諦めて言えば、「本人からお許しが出たよ!」と2人で喜んでいる。
「あんなこと言っちゃっていいの?」
律くんが顔をしかめている。
「その内飽きるでしょう。会報作るったって大変でしょうし」
「うん、まあ……。でも10年もファンでいるくらいですよ? 根強いと思うなぁ……」
律くんの言葉を聞けば、とんでもない了承をしてしまったかもしれないとも思うが、認めなければそれはそれでうるさそうだし、やっぱりおとなしく遊んでてくれるのであればそれでいい気がした。
完全に子育て中の母親目線だ。
とにもかくにも、守屋家に入る。ダリアさんもお義父さんもおばあちゃんも外出中だった。
人の気配がない家に踏み入れてからその事実を思い出した。
「おじゃましまーす。って、すごーい! 大豪邸!」
素直な千愛希さんは、玄関の時点で声を上げる。私も初めてお邪魔した時驚いたもんな。
「いいから、進んで。後ろつかえて入れないから」
律くんにぐいぐい推されて千愛希さんは中へ入る。リビングに通すと、「広い! 凄い! え、もうホテルじゃん!」と叫んでいる。
「うるさいな。ちょっと、静かにしなよ」
律くんは呆れた様子で上着を脱いでいる。私達も上着を脱ぎながら、私だけは千愛希さんの反応に共感してしまった。
今でこそ慣れたこの家だけれど、私でもまだ入ったことのない部屋はたくさんある。一体この家には何部屋あるのかと気が遠くなりそうだ。
リビングのソファーに座った千愛希さんは、早速あまねくんにパソコンを貸してくれないかと頼んでいた。
自室からノートパソコンを持ってきたあまねくん。それを受け取って起動を始めた。
「いくつかソフトインストールしていい?」
「いいですよ! 好きに使ってください!」
千愛希さんとあまねくんのやり取りを見て、ファンクラブの何かを作ろうとしていることは想像がついた。
せっかく律くんの家に来たのだから、今そんなことしなくてもいいのに……と思ってしまう。
しかし、起動し始めてから暫くすると、私は自分の目を疑うことになる。
千愛希さんの指が、まるで個々に意思を持っているかの如く猛スピードで動き始めた。その表情は真剣そのもので、客観的に見ている分にはすごくカッコいい。
しかし、その内容が私のものかと思うと複雑な気持ちは拭えなかった。
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