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ファンクラブ
【18】
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千愛希さんの華麗なるタイピングを隣のあまねくんは嬉しそうに眺めている。パソコンの画面の中で何が起こっているのかは私にわからない。
しかし、2人を見ていれば、着々と作業は進んでいるのだろうと思えた。
手持ちぶさたになってしまった私は、洗濯物を取り込みに2階へと上がった。冬の空気は澄んでいてとても心地がいいけれど、何せ寒い。夕方になる前に洗濯物を取り込まないとせっかく乾いたものが冷たくなってしまう。
全て籠の中に取り込み、今度はそれらを畳み始める。律くんとあまねくんは体型が似ているため、服の大きさだけでは判別がつかない。
一緒に住んでいる時に粗方覚えた記憶を頼りに、2人の服を見分けていくしかない。あとは本人達に仕分けしてもらえばいい。
黙々とそれらを畳んでいると、階段を昇る音がして、そちらを振り返る。
「あれ? 何で? 帰ってくるなら連絡くれればよかったのに!」
私は顔を出した奏ちゃんの顔を見ながらも、頬が緩んだ。
「どうせ家にいるかなって思って。昔の写真が必要になるみたいで、取りにきたんだ。明日の朝にはもう出てくよ」
「なーんだ。すぐ行っちゃうんだね。忙しいんだ」
「うん。ちょっと、大きなテレビの仕事も決まったんだ」
嬉しそうな奏ちゃん。おそらく伊織くんの番組だろう。そこで子供の頃の写真なんかが必要なのかもしれない。
こんなに嬉しそうな奏ちゃんの顔を見たら、伊織くんのことなんて言えないなぁ……。
後先考えずに感情的になるから、それで仕事を失うことになったりしたら大変だ。
「よかったね。これで更に有名になるね」
「うん! 次の大きな仕事もらえるチャンスなんだ!」
「そっか。プロデューサーさんとかとも会うの?」
「プロデューサー?」
「あ、うん! 私がテレビ出てた時にはローカルだけど、プロデューサーさんとも話したりしたからさ!」
急いで誤魔化したけれど、大丈夫かな……?
「会って何回か話したよ。あっくんと同じくらいの年じゃないかなぁ? もっとおじさんをイメージしてたから、若くてビックリしちゃったよ」
そう言って楽しそうに話ている。こんな笑顔を見せるくらいだから、少なくとも奏ちゃんには嫌な思いをさせないようにしてくれいるのだろう。
「そうなんだ。全国テレビの世界ってあまりよくわからないけど、奏ちゃんが嬉しそうで安心したよ」
「あれ? 私全国って言ったっけ?」
「え!? ああ……大きなテレビの仕事って言ってたから勝手に全国放送だと思ってたけど違った?」
「ううん。実はそうなんだ。しかもゴールデンなんだよ! 今までの仕事のこととか取り上げてくれるみたい」
「そっか。頑張ってね」
そう言えば、眩しい程の笑顔を見せてくれた。この笑顔は守りたいなぁ……。
あまねくんには相談してあるわけだし、大丈夫。2人で会うことなんてないだろうし。
しかし、2人を見ていれば、着々と作業は進んでいるのだろうと思えた。
手持ちぶさたになってしまった私は、洗濯物を取り込みに2階へと上がった。冬の空気は澄んでいてとても心地がいいけれど、何せ寒い。夕方になる前に洗濯物を取り込まないとせっかく乾いたものが冷たくなってしまう。
全て籠の中に取り込み、今度はそれらを畳み始める。律くんとあまねくんは体型が似ているため、服の大きさだけでは判別がつかない。
一緒に住んでいる時に粗方覚えた記憶を頼りに、2人の服を見分けていくしかない。あとは本人達に仕分けしてもらえばいい。
黙々とそれらを畳んでいると、階段を昇る音がして、そちらを振り返る。
「あれ? 何で? 帰ってくるなら連絡くれればよかったのに!」
私は顔を出した奏ちゃんの顔を見ながらも、頬が緩んだ。
「どうせ家にいるかなって思って。昔の写真が必要になるみたいで、取りにきたんだ。明日の朝にはもう出てくよ」
「なーんだ。すぐ行っちゃうんだね。忙しいんだ」
「うん。ちょっと、大きなテレビの仕事も決まったんだ」
嬉しそうな奏ちゃん。おそらく伊織くんの番組だろう。そこで子供の頃の写真なんかが必要なのかもしれない。
こんなに嬉しそうな奏ちゃんの顔を見たら、伊織くんのことなんて言えないなぁ……。
後先考えずに感情的になるから、それで仕事を失うことになったりしたら大変だ。
「よかったね。これで更に有名になるね」
「うん! 次の大きな仕事もらえるチャンスなんだ!」
「そっか。プロデューサーさんとかとも会うの?」
「プロデューサー?」
「あ、うん! 私がテレビ出てた時にはローカルだけど、プロデューサーさんとも話したりしたからさ!」
急いで誤魔化したけれど、大丈夫かな……?
「会って何回か話したよ。あっくんと同じくらいの年じゃないかなぁ? もっとおじさんをイメージしてたから、若くてビックリしちゃったよ」
そう言って楽しそうに話ている。こんな笑顔を見せるくらいだから、少なくとも奏ちゃんには嫌な思いをさせないようにしてくれいるのだろう。
「そうなんだ。全国テレビの世界ってあまりよくわからないけど、奏ちゃんが嬉しそうで安心したよ」
「あれ? 私全国って言ったっけ?」
「え!? ああ……大きなテレビの仕事って言ってたから勝手に全国放送だと思ってたけど違った?」
「ううん。実はそうなんだ。しかもゴールデンなんだよ! 今までの仕事のこととか取り上げてくれるみたい」
「そっか。頑張ってね」
そう言えば、眩しい程の笑顔を見せてくれた。この笑顔は守りたいなぁ……。
あまねくんには相談してあるわけだし、大丈夫。2人で会うことなんてないだろうし。
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