【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

文字の大きさ
50 / 208
ファンクラブ

【23】

しおりを挟む
「まずは見てもらった方が早いと思うんです」

 千愛希さんはそう言うと、律くんが持つノートパソコンを取り上げ、こちらに持ってきた。ダイニングテーブルの席につくよう促され、奏ちゃんは手前の一番左の席へ座った。

 もともと6人がけテーブルであり、テーブルとセットの椅子が対面するように3つずつ並んでいる。
 奏ちゃんが座った席は、本来お義父さんが座るところ。そしてその隣に私、私の右隣に千愛希さんが座った。

 私が座る席は律くん、千愛希さんが座っている場所はおばあちゃんとそれぞれ指定席である。

 いつもとは違う配置に若干の違和感を抱きつつ、開かれた画面を見つめる。

 穏やかなBGMが流れ、まるでこちらに向かって微笑んでいるような私の写真が浮かび上がるように写し出された。

「え……凄い」

 華やかな枠取りがされており、背景は淡いピンク色で、文字は赤紫で表示されている。彩りがあまねくんが初めてプレゼントしてくれたパンプスに似ていた。

「綺麗……」

 奏ちゃんでさえ、そう自然と言葉を溢している。スクロールされていくと、【本館はこちら】という文字が表示されている。
 千愛希さんがそこをクリックすると、BGMがポップなものへと変わり、
〔一まどかプロフィール〕
〔意見交換場所〕
〔公式写真館〕
〔問い合わせ〕
と書かれている。
 こうしてみると、デザインには拘っているが、至って普通のHPだ。
 
 プロフィールは、昔テレビや雑誌に一部の情報として掲載されていたものだったし、写真館のページに貼り付けてある写真は、雑誌に掲載されたことのあるものであった。
 プライベートで撮った覚えのある写真は、一番最初に使用されていた写真だけだ。

 また、写真館の一番下には〔公式HPであり、写真使用にあたり本人の許可を得ています。肖像権の侵害には該当致しません〕と書かれている。
 ちゃんと注意書きがされている辺り、色んな可能性が懸念されているように見えた。


「へぇ……けっこう凝ってるね」

 私がそう言えば、千愛希さんはふふっと笑って「これってフェイクなんです」と言った。

「フェイク?」

「そうです。わざと一枚だけプライベート写真を使ったのは、誰も見たことのない今のまどかさんが見られる特別な場所だと思わせるためです。そして、本人の許可を得ていますという表示は、本人と近しい存在の者が創作したことを意味します」

「……うん、そうだね」

「この情報交換の伝言板は、このパソコンと私のスマホに同期させてあります。アクセス数とアカウントがこちらにのみ情報として表示されます」

「え!?」

「そして探しているや死、殺すなどマイナスなコメントをすると自動的にウィルスが発動し、向こうのパソコン内のデータがこちらに流れてきます」

「えぇ!?」

「まあ、ハッキングってヤツです」

 千愛希さんがにっこりと笑って言えば、律くんが「クラッキングでしょ。犯罪だよ」と息を漏らした。

「悪用する気はないのよ。ただ、これはあまねくんからの要望で、まどかさんの元カレさん? から守るための機能です」

「え?」

「まどかさんの情報を何がなんでも欲しい人が中にはいるみたいですね。私もそうですが……」

 なんて顔を赤らめているが、すぐに彼女は気を取り直して、「ですが、私や周くんとは違う意味で邪な考えを持つ人間も存在します。予めその人達のアクセスの経緯を辿り、パソコンに侵入してまどかさんに直接被害が出ないよう先回りするシステムです」と言った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

専属秘書は極上CEOに囚われる

有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...