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こんにちは赤ちゃん
【9】
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私は、座る茉紀の旦那さんの横に立ったまま会話を続ける。
「本当に感動しましたよ。茉紀さんにもよろしく言っておいてください」
「はい。わかりました」
そう言って彼は少しだけ微笑んだ。優しそうな人だなぁと思う。言いたいことをハッキリと言う茉紀に対し、あまり自己主張をしなそうな彼。茉紀の尻に敷かれているのが容易に想像できる。
「お休みの日はお子さんと遊んでくれるなんていいパパですね」
あまねくんもこんなふうに子供と遊んでくれたらいいなぁなんて思いながら、自然と口角が上がる。
「いえ……」
彼はちらりと楽しそうにはしゃぐ子供達に目を向けてから「茉紀から何か聞いてませんか?」そうぽつりと呟いた。
「何かって……何をですか?」
言いにくそうな表情をしているが、何せ私も茉紀とは結婚式前に喧嘩していたくらいだし、最近まともに会話をしていない。
「土日だけじゃないんです……」
「え?」
「茉紀は今育休中で、仕事には行っていません。だから時間はあるはずなんです。ですが、平日も夜遅くに帰って来てどこに行っていたか聞くと凄く怒るんです」
私は彼の言葉に耳を疑った。茉紀は子供達を大切にしていたし、いつだって子育てで忙しそうだった。
「それは、その……私の結婚式の動画作成のために出ていたからじゃないんですか?」
「……結婚式、もう終わったんですよね? 今日も麗夢だけ連れて実家に戻ったんです。だから俺は、光輝とここに来たんですが……」
「喧嘩中なんですか?」
「……俺が悪いんです。俺達は子供ができたから結婚したんですが……。俺としては、いつ結婚してもよかったんですけど、まだ就職して3年目くらいだったんで恥ずかしながら俺も金なくて。先に子供ができたら結構生活費もきつきつで……。茉紀には苦労かけたんです」
茉紀の旦那さんは暗い顔をしてそう話し始めた。ただ挨拶だけしてその場を離れようとしていたのだけれど、ただならぬ雰囲気を感じて私は彼の隣に腰かけた。
「茉紀は元々やりたかった仕事に就いて、麗夢ができる頃には副編集長も任される程出世しました」
「え、ええ。そう聞いてます」
「俺よりも収入も多くて、あんなふうになんでもそつなくこなすんです。ちゃきちゃきしてて。だから俺も何でも茉紀任せにしてました。光輝のことも……子育ては茉紀にばかりさせて」
そんな言葉を聞いて、茉紀が前に「何にもせずに家にただいるだけならいない方がマシ」そんなふうに言っていたことを思い出した。
「今考えると、忙しい中で子供ができたのは俺も茉紀も同じなのに産休取ってるからって全部押し付けたんです。それでも茉紀は2人目も欲しいって、女の子が欲しいって言ってたんで、光輝がようやく落ち着いたくらいに麗夢を授かったんですけど……」
そこまで話すと彼は俯いてしまった。麗夢がまだお腹の中にいた頃、茉紀は女の子だとわかってとても喜んでいた。「1人目が女の子でもよかったって思うくらい女の子が欲しかったんだ」そんなことも言っていた。
「麗夢が生まれた時、今度は育休とりたいって言っていたんです。光輝の時にはまだ仕事も覚えたてで育休なんて取れないっていってすぐに仕事に復帰しました。でも話し合って、茉紀は念願の女の子だし育休とってちゃんと育てたいって言ったんです。
あんなに仕事人間だったのに、副編集長としての仕事より麗夢との時間を優先させて。
だったんですけど……光輝の時には茉紀が張り切って母乳だけで育てたんです。麗夢の時にもそうするって言ってたんですけど……たまたまうちの両親に預けてた時に、勝手に粉ミルクを飲ませたんです」
あ……、何か聞いたことあるかも、その話。いつ茉紀から聞いたっけと記憶を辿る。あまねくんと付き合う前だったか、後だったか……。とにかく私が結婚で悩んでいた時期だとは思う。
「本当に感動しましたよ。茉紀さんにもよろしく言っておいてください」
「はい。わかりました」
そう言って彼は少しだけ微笑んだ。優しそうな人だなぁと思う。言いたいことをハッキリと言う茉紀に対し、あまり自己主張をしなそうな彼。茉紀の尻に敷かれているのが容易に想像できる。
「お休みの日はお子さんと遊んでくれるなんていいパパですね」
あまねくんもこんなふうに子供と遊んでくれたらいいなぁなんて思いながら、自然と口角が上がる。
「いえ……」
彼はちらりと楽しそうにはしゃぐ子供達に目を向けてから「茉紀から何か聞いてませんか?」そうぽつりと呟いた。
「何かって……何をですか?」
言いにくそうな表情をしているが、何せ私も茉紀とは結婚式前に喧嘩していたくらいだし、最近まともに会話をしていない。
「土日だけじゃないんです……」
「え?」
「茉紀は今育休中で、仕事には行っていません。だから時間はあるはずなんです。ですが、平日も夜遅くに帰って来てどこに行っていたか聞くと凄く怒るんです」
私は彼の言葉に耳を疑った。茉紀は子供達を大切にしていたし、いつだって子育てで忙しそうだった。
「それは、その……私の結婚式の動画作成のために出ていたからじゃないんですか?」
「……結婚式、もう終わったんですよね? 今日も麗夢だけ連れて実家に戻ったんです。だから俺は、光輝とここに来たんですが……」
「喧嘩中なんですか?」
「……俺が悪いんです。俺達は子供ができたから結婚したんですが……。俺としては、いつ結婚してもよかったんですけど、まだ就職して3年目くらいだったんで恥ずかしながら俺も金なくて。先に子供ができたら結構生活費もきつきつで……。茉紀には苦労かけたんです」
茉紀の旦那さんは暗い顔をしてそう話し始めた。ただ挨拶だけしてその場を離れようとしていたのだけれど、ただならぬ雰囲気を感じて私は彼の隣に腰かけた。
「茉紀は元々やりたかった仕事に就いて、麗夢ができる頃には副編集長も任される程出世しました」
「え、ええ。そう聞いてます」
「俺よりも収入も多くて、あんなふうになんでもそつなくこなすんです。ちゃきちゃきしてて。だから俺も何でも茉紀任せにしてました。光輝のことも……子育ては茉紀にばかりさせて」
そんな言葉を聞いて、茉紀が前に「何にもせずに家にただいるだけならいない方がマシ」そんなふうに言っていたことを思い出した。
「今考えると、忙しい中で子供ができたのは俺も茉紀も同じなのに産休取ってるからって全部押し付けたんです。それでも茉紀は2人目も欲しいって、女の子が欲しいって言ってたんで、光輝がようやく落ち着いたくらいに麗夢を授かったんですけど……」
そこまで話すと彼は俯いてしまった。麗夢がまだお腹の中にいた頃、茉紀は女の子だとわかってとても喜んでいた。「1人目が女の子でもよかったって思うくらい女の子が欲しかったんだ」そんなことも言っていた。
「麗夢が生まれた時、今度は育休とりたいって言っていたんです。光輝の時にはまだ仕事も覚えたてで育休なんて取れないっていってすぐに仕事に復帰しました。でも話し合って、茉紀は念願の女の子だし育休とってちゃんと育てたいって言ったんです。
あんなに仕事人間だったのに、副編集長としての仕事より麗夢との時間を優先させて。
だったんですけど……光輝の時には茉紀が張り切って母乳だけで育てたんです。麗夢の時にもそうするって言ってたんですけど……たまたまうちの両親に預けてた時に、勝手に粉ミルクを飲ませたんです」
あ……、何か聞いたことあるかも、その話。いつ茉紀から聞いたっけと記憶を辿る。あまねくんと付き合う前だったか、後だったか……。とにかく私が結婚で悩んでいた時期だとは思う。
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