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こんにちは赤ちゃん
【10】
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「それに対して茉紀がすっごく怒って、うちの母親に怒鳴ったんです」
義母に怒鳴るなんて凄いな……。凄い剣幕で怒る茉紀を思い出し、私は思わず苦笑した。
「でも俺、その時茉紀のことを怒ったんです。確か茉紀の都合で預けてて……。面倒見てもらっておいて、その言い方はないんじゃないかって。茉紀は、母親の味方をするのかって俺のことまで責めてきました。その時には、なんて自分勝手な女だって思って、久しぶりに大喧嘩しました」
複雑そうな表情を浮かべる彼。温厚そうな彼が、茉紀と対等に口論する姿など想像もつかなかった。
「でも、夫婦なら喧嘩くらいしますよ……」
「まあ、そうなんですけどね……。でも、俺は何にもわかってなくて……。知らなかったんです。哺乳瓶に慣れると、母乳を飲まなくなるって……そういうのは母親の役目だって勝手に決めつけてたんで」
確かに母乳の出ない父親には、そこまでの考えは至らないだろう。茉紀のことだから「母乳出ない奴は黙ってて」とか言いそうだし……。
「うちの母も、俺が長男なんで光輝と麗夢を溺愛してて……。茉紀を追い出すようにして気分転換にどこかに出掛けさせたりしてたみたいなんです。
俺は平日仕事でいないし、多分茉紀からそのことについて不満を訴えられてたんですけど、仕事で疲れててまともに茉紀の話も聞かなかったんです」
それだけ聞くと、どこの夫婦にもありそうな話だと思った。茉紀は茉紀で喜んで預かってくれるから楽だなんて言っていたけれど、本当は義母に面倒を見てもらうのは嫌だったのかもしれない。
「そしたらその内、麗夢が直接母乳を飲まなくなっちゃって……。俺、バカなんで母乳あげなくていいなら、楽でいいじゃんって笑ってたんです。
でもある時、夜中に茉紀が泣きながら搾乳? っていうでしたっけ? してるの見て……ああ、俺茉紀の楽しみ奪ったんだなぁってその時他人事みたいに思ったんです」
そこまで聞いて、私は胸の奥がぎゅっと痛くなった。今考えると、よくハイジさんの店に行きたがり、お酒を煽るように飲んでいた茉紀。
「もう母乳飲まなくなっちゃったからやめたんだー」そんなことをあっけらかんとした様子で言っていた。
私にだって、泣く程辛かったとは言ってくれなかった。
「それくらいからですかね? 夜出てっては朝帰って来たり、休みの日は昼まで寝てたり……。何か、家事も育児もすっかりやる気がなくなっちゃったみたいで……。今では母が2人を預かりたいって言うと、喜んで預けるんです。
粉ミルクばっかりになったことに俺もさすがに気になって、たまには母乳もあげた方がいいんじゃないって言ったら、もうとっくに出ないからって睨まれまして……。って、俺っ、すみません……こんな話……」
彼ははっとしたように顔を上げ、申し訳無さそうに頭を下げた。
いや、もう今更だし……そこまで聞いたら続きが気になるし……。
「いえ……。私ももうすぐ母親になる身なので、気にしないで続けて下さい」
そう言って彼の言葉を待った。
義母に怒鳴るなんて凄いな……。凄い剣幕で怒る茉紀を思い出し、私は思わず苦笑した。
「でも俺、その時茉紀のことを怒ったんです。確か茉紀の都合で預けてて……。面倒見てもらっておいて、その言い方はないんじゃないかって。茉紀は、母親の味方をするのかって俺のことまで責めてきました。その時には、なんて自分勝手な女だって思って、久しぶりに大喧嘩しました」
複雑そうな表情を浮かべる彼。温厚そうな彼が、茉紀と対等に口論する姿など想像もつかなかった。
「でも、夫婦なら喧嘩くらいしますよ……」
「まあ、そうなんですけどね……。でも、俺は何にもわかってなくて……。知らなかったんです。哺乳瓶に慣れると、母乳を飲まなくなるって……そういうのは母親の役目だって勝手に決めつけてたんで」
確かに母乳の出ない父親には、そこまでの考えは至らないだろう。茉紀のことだから「母乳出ない奴は黙ってて」とか言いそうだし……。
「うちの母も、俺が長男なんで光輝と麗夢を溺愛してて……。茉紀を追い出すようにして気分転換にどこかに出掛けさせたりしてたみたいなんです。
俺は平日仕事でいないし、多分茉紀からそのことについて不満を訴えられてたんですけど、仕事で疲れててまともに茉紀の話も聞かなかったんです」
それだけ聞くと、どこの夫婦にもありそうな話だと思った。茉紀は茉紀で喜んで預かってくれるから楽だなんて言っていたけれど、本当は義母に面倒を見てもらうのは嫌だったのかもしれない。
「そしたらその内、麗夢が直接母乳を飲まなくなっちゃって……。俺、バカなんで母乳あげなくていいなら、楽でいいじゃんって笑ってたんです。
でもある時、夜中に茉紀が泣きながら搾乳? っていうでしたっけ? してるの見て……ああ、俺茉紀の楽しみ奪ったんだなぁってその時他人事みたいに思ったんです」
そこまで聞いて、私は胸の奥がぎゅっと痛くなった。今考えると、よくハイジさんの店に行きたがり、お酒を煽るように飲んでいた茉紀。
「もう母乳飲まなくなっちゃったからやめたんだー」そんなことをあっけらかんとした様子で言っていた。
私にだって、泣く程辛かったとは言ってくれなかった。
「それくらいからですかね? 夜出てっては朝帰って来たり、休みの日は昼まで寝てたり……。何か、家事も育児もすっかりやる気がなくなっちゃったみたいで……。今では母が2人を預かりたいって言うと、喜んで預けるんです。
粉ミルクばっかりになったことに俺もさすがに気になって、たまには母乳もあげた方がいいんじゃないって言ったら、もうとっくに出ないからって睨まれまして……。って、俺っ、すみません……こんな話……」
彼ははっとしたように顔を上げ、申し訳無さそうに頭を下げた。
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そう言って彼の言葉を待った。
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