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効果覿面
【1】
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家には客人が来ていた。まさか、あまねくんとの新居に招くことになるとは思ってもみなかった人物。
「こ、ここが……まどかさんとあまねくんの愛の巣……」
玄関を開けるや否や、すうっと空気をいっぱい吸い込んで恍惚の表情を浮かべている。
「何で千愛希さんがきたの?」
小声であまねくんに尋ねれば、「罠にかかったのがいたからきてもらったんだ」と言っている。
罠? 首を傾げる私の横を通りすぎてあまねくんと千愛希さんは中へ入っていく。
白を基調としたリビング、ダイニングを見て「うわぁ……素敵。まどかさんにぴったりのお部屋ですねぇ」と言いながら千愛希さんはぐるっと見渡している。
オフホワイトが好きな私は、その色に合うようにあまねくんと家具を選んだ。あまねくんの住んでいたマンションは、黒が多目の白黒でシックなイメージだった。
あのマンションと比べると、女性らしい印象になったのは確かだ。
「ありがとう。間取り決めたり壁紙決めたりするのも楽しかったよね」
あまねくんを見て言えば「うん。決めることいっぱいあったけどね。でもいざ決めちゃえば家が建つまではあっと言う間だったね」と頷いている。
「こんな素敵なお家を建ててもらえるなんて、やっぱりまどかさんは愛されてますねぇ」
私以上に嬉しそうにしている彼女。ふんわりした白とピンクのニットにネイビーのタイトスカート。
可愛い服だなぁなんて私はそっちに目線がいく。千愛希さんが私を好きでいてくれるのもあるのか、彼女の服装はいつも私好みだ。
奏ちゃんのギャル時代も、現在も私とはタイプが違うので……というよりあの超人的なスタイルだからこそ似合うのだと思うと参考にはならない。
甘すぎず、辛すぎずな千愛希さんの服を見ると、どこで買ってるのかなぁなんて興味が湧く。好みが合う女の子が近くにいるのは嬉しいことだった。もう少し私に慣れて普通に接してくれるようになれば言うことないんだけど……。
一々過剰な反応を見せる千愛希さんに、私もその都度苦笑しなければならず、これはこれで大変なのだ。
「それで、罠って……?」
先程あまねくんが言っていた言葉が気になり尋ねてみる。
「待ってて下さいね」
千愛希さんは、リビングのソファに腰掛け、持参した小型のノートパソコンを開いた。
起動している間、私は千愛希さんとあまねくんのコーヒーを淹れにキッチンへと向かう。
「この前、ファンクラブのHP作ったじゃないですか。そこに、引っ掛かった人物がいるんですよ」
千愛希さんはそう言った。
「ひっかかった?」
「表のHPは囮みたいなもので、私は色んなアカウントを使って少し細工をしたんです」
彼女はそう言うが、私はあれ以来開くこともなく時が経過してしまった。応援してくれるのは嬉しいけれど、自分のファンページを自分で確認するなんて気恥ずかしいったらない。
それに、アクセスしたのが彼女にわかるなんて聞いたら、気にしているみたいでカッコ悪いじゃない。
あまねくんは、時々SNSを通じて千愛希さんと連絡を取っていた。それに対して私が変な嫉妬もしないのは、2人のメッセージのやり取りが私一色だからである。
私の隣で私への愛を千愛希さんと語り合ってるあまねくんは、嬉しそうなのでこちらも何も言えない。
「それで、来たんですよ。まどかさんの情報が欲しいっていう人物が」
「ふーん」
私には、彼女とあまねくんが何をしたいのかさっぱりわからなかった。自分で言うのもなんだが、そもそもファンが集うHPなのだから、情報が欲しいと思って当然なのではないかと思う。
「このアカウントから、何度もしつこくまどかさんの情報を確認する書き込みがあるんです。今どこに住んでいるのか、旦那は誰なのかなどなど」
「え? そんなことまで?」
なんだか嫌な予感がして、お湯を注ぎながら私は顔をしかめた。あまねくんのことまで調べようとする辺り、物騒だ。
「そもそも、結婚してることを知ってるんですよ、この人」
「……何で?」
「だから怪しいと思って調べました」
「どうやって!?」
「簡単ですよ。使っている端末から侵入すればいいんです」
そう言って彼女は起動したパソコンを操作し始めた。
そもそもそんなことができるのはあなたくらいだと思うけど……。
口には出さなかったけれど、恐ろしい才能の効果を見るために、コーヒーを持ってリビングへ向かった。
「こ、ここが……まどかさんとあまねくんの愛の巣……」
玄関を開けるや否や、すうっと空気をいっぱい吸い込んで恍惚の表情を浮かべている。
「何で千愛希さんがきたの?」
小声であまねくんに尋ねれば、「罠にかかったのがいたからきてもらったんだ」と言っている。
罠? 首を傾げる私の横を通りすぎてあまねくんと千愛希さんは中へ入っていく。
白を基調としたリビング、ダイニングを見て「うわぁ……素敵。まどかさんにぴったりのお部屋ですねぇ」と言いながら千愛希さんはぐるっと見渡している。
オフホワイトが好きな私は、その色に合うようにあまねくんと家具を選んだ。あまねくんの住んでいたマンションは、黒が多目の白黒でシックなイメージだった。
あのマンションと比べると、女性らしい印象になったのは確かだ。
「ありがとう。間取り決めたり壁紙決めたりするのも楽しかったよね」
あまねくんを見て言えば「うん。決めることいっぱいあったけどね。でもいざ決めちゃえば家が建つまではあっと言う間だったね」と頷いている。
「こんな素敵なお家を建ててもらえるなんて、やっぱりまどかさんは愛されてますねぇ」
私以上に嬉しそうにしている彼女。ふんわりした白とピンクのニットにネイビーのタイトスカート。
可愛い服だなぁなんて私はそっちに目線がいく。千愛希さんが私を好きでいてくれるのもあるのか、彼女の服装はいつも私好みだ。
奏ちゃんのギャル時代も、現在も私とはタイプが違うので……というよりあの超人的なスタイルだからこそ似合うのだと思うと参考にはならない。
甘すぎず、辛すぎずな千愛希さんの服を見ると、どこで買ってるのかなぁなんて興味が湧く。好みが合う女の子が近くにいるのは嬉しいことだった。もう少し私に慣れて普通に接してくれるようになれば言うことないんだけど……。
一々過剰な反応を見せる千愛希さんに、私もその都度苦笑しなければならず、これはこれで大変なのだ。
「それで、罠って……?」
先程あまねくんが言っていた言葉が気になり尋ねてみる。
「待ってて下さいね」
千愛希さんは、リビングのソファに腰掛け、持参した小型のノートパソコンを開いた。
起動している間、私は千愛希さんとあまねくんのコーヒーを淹れにキッチンへと向かう。
「この前、ファンクラブのHP作ったじゃないですか。そこに、引っ掛かった人物がいるんですよ」
千愛希さんはそう言った。
「ひっかかった?」
「表のHPは囮みたいなもので、私は色んなアカウントを使って少し細工をしたんです」
彼女はそう言うが、私はあれ以来開くこともなく時が経過してしまった。応援してくれるのは嬉しいけれど、自分のファンページを自分で確認するなんて気恥ずかしいったらない。
それに、アクセスしたのが彼女にわかるなんて聞いたら、気にしているみたいでカッコ悪いじゃない。
あまねくんは、時々SNSを通じて千愛希さんと連絡を取っていた。それに対して私が変な嫉妬もしないのは、2人のメッセージのやり取りが私一色だからである。
私の隣で私への愛を千愛希さんと語り合ってるあまねくんは、嬉しそうなのでこちらも何も言えない。
「それで、来たんですよ。まどかさんの情報が欲しいっていう人物が」
「ふーん」
私には、彼女とあまねくんが何をしたいのかさっぱりわからなかった。自分で言うのもなんだが、そもそもファンが集うHPなのだから、情報が欲しいと思って当然なのではないかと思う。
「このアカウントから、何度もしつこくまどかさんの情報を確認する書き込みがあるんです。今どこに住んでいるのか、旦那は誰なのかなどなど」
「え? そんなことまで?」
なんだか嫌な予感がして、お湯を注ぎながら私は顔をしかめた。あまねくんのことまで調べようとする辺り、物騒だ。
「そもそも、結婚してることを知ってるんですよ、この人」
「……何で?」
「だから怪しいと思って調べました」
「どうやって!?」
「簡単ですよ。使っている端末から侵入すればいいんです」
そう言って彼女は起動したパソコンを操作し始めた。
そもそもそんなことができるのはあなたくらいだと思うけど……。
口には出さなかったけれど、恐ろしい才能の効果を見るために、コーヒーを持ってリビングへ向かった。
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