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風雲児
【37】
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「私もそのまま寝ちゃってさ、4時には起きたんだけどもう戸塚さんいなかったよ。夜中に起きて出てっちゃったんだね」
「あー……逆に気を遣わせちゃったかな?」
「ね。私もそう思った。でもまた来て下さいって言っといて」
「うん。そうする」
「律儀にメモまで残してくれてあったよ」
私がそう言うと、ぼやっとした目で「あれ? 本当? 気付かなかったなぁ」と彼は言う。
「テーブルの上に置いたままにしたんだけどね」
「ううん、気付かなかった」
「そう。お礼とお詫びが書いてあったよ。戸塚さん、政宗さんって言うんだね」
「ああ、うん。お父さんが伊達政宗好きだったらしいよ」
「おお……でもまあ、似合ってるけどね」
私は横向きで枕に頭を預けたまま会話をする。あまねくんはうつ伏せで腕で上半身を支えながら「うん。俺もそう思う。あれでひょろひょろの小さい感じだったら完全に名前負けだよね」と笑って言う。
「本当に。名前って大事だねぇ。戸塚さんは何かスポーツやってたの?」
「うん。柔道だって。高校は全国まで行ったらしいよ」
「え!? すごい!」
「ね。でも、大学は税理士とるためにすっぱり柔道辞めたんだって」
「え……もったいない……」
「でも今は、たまに高校の時の先輩が立ち上げた道場で時々手合わせをしてもらいに行くって言ってたよ」
「へぇ……社会人になってからもスポーツやるなんて凄いね。あまねくんはもう合気道やらないの?」
「んー……やらない。好きだったけど、まどかさんと一緒にいる時間の方が楽しいし、もう何年もやってないから体も動かないしね」
そう言ってあまねくんはははっと笑う。特に合気道から離れたことに後悔している様子はない。
「そうなんだ……。でも、あまねくん運動神経よさそうだから、何かやってるところ見てみたい気もするなぁ」
「そう? まどかさんが望むなら何かスポーツ始めてもいいけど」
「うーん……でも、練習に通って毎日帰り遅くなるのは寂しいなぁ……」
「そうだね。それは俺も寂しいなぁ」
「子供の運動会くらいは頑張ってもらおうかな」
「おおっ、運動会父親出るもんね」
「そうだよー。パパに頑張ってもらわなきゃ」
「そっかそっか。じゃあ、格好いいところ見せないとね。今から楽しみだなぁ。短距離走のために今から走り込みしようかな」
「それは気が早い」
私達は2人でゲラゲラと笑った。朝からなんて穏やかな日だろうか。
「名前決めなきゃだね」
「んー……あまねくんはもう知ってるんでしょ?」
「ふふ。そうだね」
夢の中に私達の子供が出てきたと言うあまねくん。どうやら、夢の中で私が子供達の名前を呼んでいたようだ。
「教えてよ」
「だーめ。ちゃんと意味とか考えてつけようよ。あ、でも俺が一緒に決めると結局誘導するような形になりそうだよね」
「じゃあ、名前聞いてから色々考える」
「名前変えたら意味ないじゃん」
「……たしかに」
「紙に書いておくからさ、まどかさんが決めたら答え合わせしようよ。全然違ったら夢は夢ってことでまた一緒に決め直そう」
「あ、それはちょっと面白そう」
何だかタイムカプセルみたいで少し楽しい。こんなノリで子供の名前を決めていいものかと悩むが、真剣に考えればいいのだ。
全然違ったら、一緒に考えてくれるってあまねくんも言ってるし……そろそろちゃんと女の子の名前を考えようと思った。
「あー……逆に気を遣わせちゃったかな?」
「ね。私もそう思った。でもまた来て下さいって言っといて」
「うん。そうする」
「律儀にメモまで残してくれてあったよ」
私がそう言うと、ぼやっとした目で「あれ? 本当? 気付かなかったなぁ」と彼は言う。
「テーブルの上に置いたままにしたんだけどね」
「ううん、気付かなかった」
「そう。お礼とお詫びが書いてあったよ。戸塚さん、政宗さんって言うんだね」
「ああ、うん。お父さんが伊達政宗好きだったらしいよ」
「おお……でもまあ、似合ってるけどね」
私は横向きで枕に頭を預けたまま会話をする。あまねくんはうつ伏せで腕で上半身を支えながら「うん。俺もそう思う。あれでひょろひょろの小さい感じだったら完全に名前負けだよね」と笑って言う。
「本当に。名前って大事だねぇ。戸塚さんは何かスポーツやってたの?」
「うん。柔道だって。高校は全国まで行ったらしいよ」
「え!? すごい!」
「ね。でも、大学は税理士とるためにすっぱり柔道辞めたんだって」
「え……もったいない……」
「でも今は、たまに高校の時の先輩が立ち上げた道場で時々手合わせをしてもらいに行くって言ってたよ」
「へぇ……社会人になってからもスポーツやるなんて凄いね。あまねくんはもう合気道やらないの?」
「んー……やらない。好きだったけど、まどかさんと一緒にいる時間の方が楽しいし、もう何年もやってないから体も動かないしね」
そう言ってあまねくんはははっと笑う。特に合気道から離れたことに後悔している様子はない。
「そうなんだ……。でも、あまねくん運動神経よさそうだから、何かやってるところ見てみたい気もするなぁ」
「そう? まどかさんが望むなら何かスポーツ始めてもいいけど」
「うーん……でも、練習に通って毎日帰り遅くなるのは寂しいなぁ……」
「そうだね。それは俺も寂しいなぁ」
「子供の運動会くらいは頑張ってもらおうかな」
「おおっ、運動会父親出るもんね」
「そうだよー。パパに頑張ってもらわなきゃ」
「そっかそっか。じゃあ、格好いいところ見せないとね。今から楽しみだなぁ。短距離走のために今から走り込みしようかな」
「それは気が早い」
私達は2人でゲラゲラと笑った。朝からなんて穏やかな日だろうか。
「名前決めなきゃだね」
「んー……あまねくんはもう知ってるんでしょ?」
「ふふ。そうだね」
夢の中に私達の子供が出てきたと言うあまねくん。どうやら、夢の中で私が子供達の名前を呼んでいたようだ。
「教えてよ」
「だーめ。ちゃんと意味とか考えてつけようよ。あ、でも俺が一緒に決めると結局誘導するような形になりそうだよね」
「じゃあ、名前聞いてから色々考える」
「名前変えたら意味ないじゃん」
「……たしかに」
「紙に書いておくからさ、まどかさんが決めたら答え合わせしようよ。全然違ったら夢は夢ってことでまた一緒に決め直そう」
「あ、それはちょっと面白そう」
何だかタイムカプセルみたいで少し楽しい。こんなノリで子供の名前を決めていいものかと悩むが、真剣に考えればいいのだ。
全然違ったら、一緒に考えてくれるってあまねくんも言ってるし……そろそろちゃんと女の子の名前を考えようと思った。
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