【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

文字の大きさ
17 / 289
愛情

【17】

しおりを挟む
「そういえば、周はまどかさんのご両親に挨拶したのか」

 食事を始めて暫くしてから、父親がそう口にした。

「いや、まだなんだ。この間、たまたまお母様とはお逢いして」

「結婚も視野に入れているならしっかり挨拶してきなさい。まどかさんのご両親だって心配するだろう」

 彼の父親がそう言ってくれて安心する。どうやら結婚に反対はしていないようだ。おそらく今までの話の流れからして、私の年齢も知ってのことだろうと思えた。

「そうだね。俺も、今度改めて挨拶に行かせてもらうね」

「う、うん。うちの両親も喜ぶと思う」

 うちには男がいないから。
 経済力のある若い男性なら、あの父親も文句はないだろう。母は、すっかりあまねくんの美貌に惚れ惚れしてしまっているし、仮に反対されたとしたって説得するのは父親だけだ。

「まどかさんのご両親はどんなお仕事をされているんですか?」

 話の流れで父親がそう尋ねる。こういった場合、両親の仕事も大事だなと思う。

「父が高校の教師で、母は養護教諭です」

「ほう……高校の。それはそれは……お父様は厳しかったんじゃないですか?」

「そうですね……道徳や倫理に関しては厳しかったようにも思います。けれど、勉強や将来のことについては好きにさせてくれました」

「そうですか。それでは、まどかさんの優しいところや誠実なところはお父様讓りでしょうか」

 目の前で穏やかに微笑んでくれるものだから、一気に気持ちが豊かになる。
 お世辞でもそんなふうに言ってくれたら、少しは認めてもらえた気分になる。

「周からも聞いてるのよ。まどかちゃんは介護士さんで、お年寄りにとても優しい子だって」

 あまねくんを挟んだ母からもそんな言葉をもらい、私もつい笑顔が溢れてしまう。
 
「うちには母もいますしね。高齢者に優しい方がいるのは嬉しいですよ。お母様も養護教諭っていいましたね?」

「養護教諭って保健室の先生?」

 父親に続き、あまねくんがそう尋ねる。

「うん。もともとは保健師で、市の保健センターで働いていたみたいなんだけど、急に枠が空いたみたいで、倍率が高くて中々養護教諭にはなれないからこの機会にっていって転職したみたい」

「そうなんだ……職場恋愛?」

「ううん、その時にはもう私が産まれてたみたい。もともとは養護教諭を目指してたみたいなんだけど、中々就職先がないこともわかってたから保健センターで働きながら転職できる時にしようって最初から決めてたんだって」

「すごい、計画的」

「うん。皆が皆、就きたい仕事に就けるわけじゃないもんね」

「そうだね……でも、転職できたならよかったね」

「うん。楽しそうに働いてる」

 いつの間にかあまねくんと2人で話してしまっていてはっとする。正面を向けば、「まどかさんも仕事は続けるんですか?」とすかさず質問された。

「あ、はい。続けようと思っています」

「そうですか。妻はぱったりと仕事を辞めて子育てに専念していましたが、そこは2人の問題なので2人で話し合ってくれればいいと思っています」

「ありがとうございます……」

 あまねくんのお母さん、今は専業主婦なんだ。すごい活躍をしていたモデルさんなのに、スッパリやめちゃうなんてもったいないとすら思った。

「仕事はどっちでもいいけど、孫は早く見せて欲しいな。律ももう30になるのに女の子の1人も連れてこないし、奏はまだ23だし。今ようやくお仕事もらえてるから、結婚や出産も遠くなりそうだもの。きっと1番早いのは周とまどかちゃんね」

 母親の声は弾んでいる。それに対して律くんは、「悪かったね、まだ孫の顔も見せてあげられなくて」と興味なさそうに一言言って、お寿司を一貫口に運んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

処理中です...