【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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愛情

【24】

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 千代さんのことで色々対応を考えたりとバタバタしていたせいで、休憩中にあまねくんに返信するのもすっかり忘れていた。
 帰宅してから返信をし、明日も早番だからと早めに寝ることにした。

 翌日、千代さんのことが気になって仕方のない私は、あまねくんからの[お仕事お疲れ様。まどかさん、忙しそうだね。明日も早番なんだ。俺も明日から仕事だし、お互い頑張ろうね。おやすみ]というメッセージを見てから家を出た。
 また返信は昼休みにすればいいや。とにかく今は千代さんが心配だし、仕事に行かなきゃ。

 出勤すると私はまず先に、千代さんの様子を見に行った。
 既に車椅子に離床していて、目の前に置かれたお茶は空になっていた。

「おはようございます。千代さん、水分はちょっと摂れるようになりましたよ」

 本日夜勤明けの千尋ちゃんが話しかけてくる。千尋ちゃんの配属は、隣のフロアの[かとれあ]だけれど夜勤は2階全員の利用者さんを担当するため、こちらのフロア[あじさい]にも食事介助に入る。

「よかった。昨日の夜もゼリー食べたかな?」

「食べました。やっぱりご飯はあまり進まなくて、水分とゼリーだけですけどね。昨日、お嫁さんが面会にきてくれて、様子を話したらゼリーとプリンを持ってきてくれるって言ってました」

「本当?  助かるね。お嫁さん、いつも来てくれるもんね」

 特養に一旦入所してしまうと、もともと介護をするのが厳しくて入所しているからか、家族の面会はほとんどないことが多い。
 家族がまめに面会にくる病院とは違うところだ。中には、容態が悪くて看取り対応でも、「死んでから呼んでください。もう関わりたくないので」と電話を切る家族もいるくらいだ。家族の形はそれぞれで、皆が皆家族として成立しているわけではない。
 それに比べれば、もともとは他人のお嫁さんが千代さんのもとに毎日のように面会にきてくれるのは、特養では珍しい光景だった。

「千代さん、おはようございます。今日もお嫁さん来てくれるんですって。いいお嫁さんですね」

「ほぉかね。さとこはの、うちにいた時からよくやってくれただよ。わりあい、いい子だったでね」

 お嫁さんの名前を口にしては嬉しそうな笑顔を見せる。よかった、昨日よりは元気そう。

「千尋ちゃん、後でまたくるね」

 まだ申し送りノートに目を通していなかったし、今日のイベントも確認していなかったため、一旦カンファレンス室に戻り、出勤の準備をすることにした。

 その後も午前中は何とか無事に終わった。千代さんも、1回の尿量は少ないけれど、回数は出るようになってきた。
 熱も昨日よりは下がったみたいだし、このまま水分が摂れれば、また食事が食べられるようになるかもしれない。
 朝食も3割程摂取した千代さんに残り1つになったゼリーを提供した。年齢も96歳と超高齢だし、いつ何が起こったっておかしくはない。
 けれど、仕事の励みにもなっている千代さんには、少しでも長生きしてほしいと願わずにはいられなかった。
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