33 / 289
愛情
【32】
しおりを挟む
美味しい食事を終えて、昔話に花を咲かせて楽しい時間も終わりを告げる。
帰りの車内では、まだ性別もわからない子供の名前の候補をあげていた。
レストランから私の家までは、姉と菅沼さんが住むマンションを通りすぎて行く。
マンション付近までくると「ごめん、まどか。明日も昨日の授業の続きがあって、後少し修正かけなきゃだから、先に降りさせてもらってもいい?」と姉に声をかけられた。
「いいよ。用事があるなら現地集合にすればよかったね」
「一応今回はお礼が主だから、そういうわけにもいかないでしょ。拓真も悪いけど、まどかのことお願いしてもいい?」
「うん。しっかり送り届けてくる」
マンションに着き、姉が降りると、窓を開けて手を降る。
「靴ありがとうね。大事に履くから。体冷やさないように気をつけて」
「うん、ありがとう。おやすみ」
「おやすみ」
車が発進してからも暫く手を振り続けた。
「仲良いよね」
私が姿勢を直すと、ルームミラー越しにそう話しかけられる。
「そうですね。小さい頃の1個上って凄く大人だったんですよね。だから、憧れでもあったし」
「憧れ? まあ、さくらはしっかりしてるしね」
「気強くないですか?」
「少しね。でも、凄く優しいよ。まどかちゃんの話も時々出るんだよ」
「私の話?」
「子供の頃の話とか。家族想いだし、俺のことも気にかけてくれるし、ちゃんと大事にしようと思ってるよ」
「お姉ちゃんの旦那さんになる人が菅沼さんでよかったです」
「お! 嬉しいこと言ってくれるね。俺も、妹できるの嬉しいな。うち男ばっか3人だからさ。あと姉ちゃんいるけど怖いし」
「でも妹以外、皆いるならいいじゃないですか」
「真ん中には真ん中の悩みがあるの」
そう言って笑っている菅沼さんは、本当にいい人だと思う。
姉は姉で彼のことを大切にしているし、私も将来こんな夫婦になりたいと思った。
アパートの敷地内まで送ってもらい、私の車の前で停まった。
「今日は本当にご馳走さまでした」
「いやいや、こちらこそ仕事前だったのにさくらを助けてくれてありがとう。彼氏とちゃんと話し合うんだよ」
「はい。心得ております。お姉ちゃんにも、靴ありがとうってもう1度言っておいて下さい」
「わかった。おやすみ」
「おやすみなさい」
軽く会釈をして車を降りる。数歩歩いたところで「まどかちゃん!」と声をかけられる。
後ろを振り向くと、菅沼さんが運転席から降りてこちらに駆けつけてきた。
「忘れ物」
そう言って肩にコートをかけられた。店の中は暖房がきいていて暑いくらいで、脱ぎっぱなしだった。
腕に持っていたはずだけれど、AMELIAの紙袋とバッグだけはしっかり持ってそのまま車を降りてしまったようだった。
「あー、すいません……」
「どういたしまして。それじゃあ、また日取りが決まったら連絡するね」
「はい。楽しみにしてます」
「俺も。じゃあ、今度こそおやすみ」
「はーい。おやすみなさい」
去っていく車に手を振って、アパートの方へ振り向く。一歩足を踏み出して、その足を止めた。
「あまねくん!?」
私の目の前には、スーツ姿のあまねくんが立っていた。
帰りの車内では、まだ性別もわからない子供の名前の候補をあげていた。
レストランから私の家までは、姉と菅沼さんが住むマンションを通りすぎて行く。
マンション付近までくると「ごめん、まどか。明日も昨日の授業の続きがあって、後少し修正かけなきゃだから、先に降りさせてもらってもいい?」と姉に声をかけられた。
「いいよ。用事があるなら現地集合にすればよかったね」
「一応今回はお礼が主だから、そういうわけにもいかないでしょ。拓真も悪いけど、まどかのことお願いしてもいい?」
「うん。しっかり送り届けてくる」
マンションに着き、姉が降りると、窓を開けて手を降る。
「靴ありがとうね。大事に履くから。体冷やさないように気をつけて」
「うん、ありがとう。おやすみ」
「おやすみ」
車が発進してからも暫く手を振り続けた。
「仲良いよね」
私が姿勢を直すと、ルームミラー越しにそう話しかけられる。
「そうですね。小さい頃の1個上って凄く大人だったんですよね。だから、憧れでもあったし」
「憧れ? まあ、さくらはしっかりしてるしね」
「気強くないですか?」
「少しね。でも、凄く優しいよ。まどかちゃんの話も時々出るんだよ」
「私の話?」
「子供の頃の話とか。家族想いだし、俺のことも気にかけてくれるし、ちゃんと大事にしようと思ってるよ」
「お姉ちゃんの旦那さんになる人が菅沼さんでよかったです」
「お! 嬉しいこと言ってくれるね。俺も、妹できるの嬉しいな。うち男ばっか3人だからさ。あと姉ちゃんいるけど怖いし」
「でも妹以外、皆いるならいいじゃないですか」
「真ん中には真ん中の悩みがあるの」
そう言って笑っている菅沼さんは、本当にいい人だと思う。
姉は姉で彼のことを大切にしているし、私も将来こんな夫婦になりたいと思った。
アパートの敷地内まで送ってもらい、私の車の前で停まった。
「今日は本当にご馳走さまでした」
「いやいや、こちらこそ仕事前だったのにさくらを助けてくれてありがとう。彼氏とちゃんと話し合うんだよ」
「はい。心得ております。お姉ちゃんにも、靴ありがとうってもう1度言っておいて下さい」
「わかった。おやすみ」
「おやすみなさい」
軽く会釈をして車を降りる。数歩歩いたところで「まどかちゃん!」と声をかけられる。
後ろを振り向くと、菅沼さんが運転席から降りてこちらに駆けつけてきた。
「忘れ物」
そう言って肩にコートをかけられた。店の中は暖房がきいていて暑いくらいで、脱ぎっぱなしだった。
腕に持っていたはずだけれど、AMELIAの紙袋とバッグだけはしっかり持ってそのまま車を降りてしまったようだった。
「あー、すいません……」
「どういたしまして。それじゃあ、また日取りが決まったら連絡するね」
「はい。楽しみにしてます」
「俺も。じゃあ、今度こそおやすみ」
「はーい。おやすみなさい」
去っていく車に手を振って、アパートの方へ振り向く。一歩足を踏み出して、その足を止めた。
「あまねくん!?」
私の目の前には、スーツ姿のあまねくんが立っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる