68 / 289
ラポール形成
【14】
しおりを挟む
暫くは、皆でリビングで過ごし、あまねくんとおばあちゃんと話に夢中になっている内に、おばあちゃんが座っていた椅子は律くんによって片付けられていた。
「ご飯できたよー。食べましょ 」
ダリアさんが声をかけてくれ、食事が開始となった。あまねくんの父親はまだ帰ってこない。
「お父さん、まだ帰ってこないの?」
あまねくんにこっそり耳打ちすると、何てことのないように「そうだね。遅くなることもしょっちゅうだよ。仕事によっては遅くまで事務所にこもってるんだ。律も、早い時と遅い時とあるし。今日は早かったみたいだね」と言った。
「うん。今日はね、律くんが色々弁護士さんの話をしてくれたよ」
「律が? へぇ……珍しい」
あまねくんは、箸をとめて律くんを見る。その視線に気付いた彼が「なに?」と表情を変えずに言った。
「律が他人と話するなんて珍しいなって思って」
「別に。おばあちゃんこそ珍しくここにいたから来てみただけだよ。仕事も早く終わったし」
「ふーん」
あまねくんは、口を尖らせ数回頷くと、また 食事を始めた。
「律も普段同世代の話し相手がいないから、たまにはいいでしょ? お母さんもね、すっかりまどかちゃんと話し込んじゃって。楽しかったわね」
ダリアさんは、嬉しそうに笑ってくれる。また笑顔が戻ってよかった。
あまねくんの父親が帰っていないことで、椅子が1つ足りなくても事なきを得ている。
「失礼な。俺にだって友達くらいいるよ」
律くんがそんなことを言うものだから、彼の友達とはどんな人だろうかと想像してみるが、どれも違う気がした。
「律がお友達と遊びに行くなんてあまり聞いたことないけど……」
「仕事帰りにそのまま会ったり、言っていかないだけ」
淡々と話す律くんと、首を傾げて律くんを見るダリアさん。その光景が何だかおかしくて笑えてしまった。
「あまねくんの家族、いい家族だね」
こっそりあまねくんにだけ聞こえるくらいの声で言う。
「そう見える? それなら嬉しい。まどかさん、今日迷惑かけたみたいでごめんね」
「ううん。全然迷惑だなんて思ってないよ。逆におばあちゃんが悲しい思いしちゃったみたいで、私もちょっと切ない」
「そっか……。いくら仕事で日常茶飯事だって言ってもプライベートでしかも、彼氏の家って中々ダメージ大きいと思うんだけどな」
「私は大丈夫だよ。ダリアさんも律くんもすごく謝ってくれて申し訳ないくらい。これくらいのことで気にしないで」
私にしてみれば、おばあちゃんの尿を踏んづけたことよりも、妹さんに罵声を浴びせられたことの方が衝撃的だった。
彼女には何があるんだろう。何となくおばあちゃんとの間に確執があるような気がして気になっているところだった。
食事を済ませ、暫くゆっくりさせていただき、今度こそは帰る支度をする。
ダリアさんは、「まどかちゃん、今日は本当にありがとう。また遊びに来てくれる?」と声をかけてくれた。
「はい! もちろんです」
「それじゃあ、また連絡するわね」
「待ってます」
自然に溢れた笑みでそう言うと、彼女も嬉しそうに微笑んでくれた。隣にいたあまねくんは、「連絡ってどういうこと?」と私の方を見る。
連絡先を交換したことを説明し、彼が驚いているよそで、ダリアさんとおばあちゃん、律くんに挨拶をした。
あまねくんが車まで送ってくれると言うので、少しだけ彼と歩くことにした。
「ご飯できたよー。食べましょ 」
ダリアさんが声をかけてくれ、食事が開始となった。あまねくんの父親はまだ帰ってこない。
「お父さん、まだ帰ってこないの?」
あまねくんにこっそり耳打ちすると、何てことのないように「そうだね。遅くなることもしょっちゅうだよ。仕事によっては遅くまで事務所にこもってるんだ。律も、早い時と遅い時とあるし。今日は早かったみたいだね」と言った。
「うん。今日はね、律くんが色々弁護士さんの話をしてくれたよ」
「律が? へぇ……珍しい」
あまねくんは、箸をとめて律くんを見る。その視線に気付いた彼が「なに?」と表情を変えずに言った。
「律が他人と話するなんて珍しいなって思って」
「別に。おばあちゃんこそ珍しくここにいたから来てみただけだよ。仕事も早く終わったし」
「ふーん」
あまねくんは、口を尖らせ数回頷くと、また 食事を始めた。
「律も普段同世代の話し相手がいないから、たまにはいいでしょ? お母さんもね、すっかりまどかちゃんと話し込んじゃって。楽しかったわね」
ダリアさんは、嬉しそうに笑ってくれる。また笑顔が戻ってよかった。
あまねくんの父親が帰っていないことで、椅子が1つ足りなくても事なきを得ている。
「失礼な。俺にだって友達くらいいるよ」
律くんがそんなことを言うものだから、彼の友達とはどんな人だろうかと想像してみるが、どれも違う気がした。
「律がお友達と遊びに行くなんてあまり聞いたことないけど……」
「仕事帰りにそのまま会ったり、言っていかないだけ」
淡々と話す律くんと、首を傾げて律くんを見るダリアさん。その光景が何だかおかしくて笑えてしまった。
「あまねくんの家族、いい家族だね」
こっそりあまねくんにだけ聞こえるくらいの声で言う。
「そう見える? それなら嬉しい。まどかさん、今日迷惑かけたみたいでごめんね」
「ううん。全然迷惑だなんて思ってないよ。逆におばあちゃんが悲しい思いしちゃったみたいで、私もちょっと切ない」
「そっか……。いくら仕事で日常茶飯事だって言ってもプライベートでしかも、彼氏の家って中々ダメージ大きいと思うんだけどな」
「私は大丈夫だよ。ダリアさんも律くんもすごく謝ってくれて申し訳ないくらい。これくらいのことで気にしないで」
私にしてみれば、おばあちゃんの尿を踏んづけたことよりも、妹さんに罵声を浴びせられたことの方が衝撃的だった。
彼女には何があるんだろう。何となくおばあちゃんとの間に確執があるような気がして気になっているところだった。
食事を済ませ、暫くゆっくりさせていただき、今度こそは帰る支度をする。
ダリアさんは、「まどかちゃん、今日は本当にありがとう。また遊びに来てくれる?」と声をかけてくれた。
「はい! もちろんです」
「それじゃあ、また連絡するわね」
「待ってます」
自然に溢れた笑みでそう言うと、彼女も嬉しそうに微笑んでくれた。隣にいたあまねくんは、「連絡ってどういうこと?」と私の方を見る。
連絡先を交換したことを説明し、彼が驚いているよそで、ダリアさんとおばあちゃん、律くんに挨拶をした。
あまねくんが車まで送ってくれると言うので、少しだけ彼と歩くことにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる