【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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再会

【2】

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 今年度の新人は3人が2階に配属された。私と大塚さんが配属となっているこちらのフロア〔あじさい〕には短大新卒の黒木さん、千尋ちゃんや近藤さんが配属されている隣のフロア〔かとれあ〕に大学新卒の澤村さんと短大新卒の栗田さんが入社した。

 黒木さんと澤村さんは現役で卒業したため、それぞれ21歳と22歳だ。しかし栗田さんは、今まで食品関係の事務職をしていた45歳だ。転職するために、今年福祉短大を卒業し、初めての介護職へデビューを果たした。
 中学生と小学生の子供が2人おり、その中で短大へ行って転職するだなんて、行動力のあるすごい人だと感心した。しかし、この彼女は中々の曲者だった。

 大塚さんは、今年4年目になるため、初めてのプリセプターを任せた。そのため、新人の教育状況について情報共有をする。大塚さんが担当する黒木さんは、努力家で覚えも早く、申し分ない存在だ。
 もちろん新人だからできないことも多いし、注意することもある。それでも意欲的に取り組み、注意されたことは直そうとする努力も見られた。
 大塚さんの新人時代を知る私にとっては、新人を教える立場になったかとなんだか親心で見てしまう。

 当然大塚さんとしては、自分が教育している黒木さんと、他の同期の子達の成長度合いが気になるところであり、澤村さんと栗田さんはどうかと度々聞いてくることがあった。
 そんな中、栗田さんへの他職員からのクレームが絶たない。
 利用者さんを怒鳴っていた、車椅子に移乗させようとして床に落とした、腕を掴んで表皮剥離させた、仕事が遅すぎて進まない、などなど。
 挙げ始めたらきりがない。45歳であり、社会人経験もあるため、常識や働き方に対しては、他の新人達よりも手がかからないと思っていた。そのため、〔かとれあ〕に2人配属としたのだけれど、これが間違いだった。
 社会人経験がない分、よほど黒木さんと澤村さんの方が低姿勢で「教えていただく」という態度がみられる。それに比べ栗田さんは「やったことがないのでできません」、「家のことがあるので残業は困ります」、「私には私のペースがあります」なんて言う始末。それは仕事ができるようになってから言っていただきたい。

 栗田さんのプリセプターを誰にしようか考えていた時、あんまりにも若い教育担当がつくのもなと思い、今年6年目になる千尋ちゃんに依頼した。
 彼女はプリセプター経験が2回あるし、その2人も今では一生懸命覚えた仕事をこなしてくれている。しかし、新人さんが入社して2ヶ月が経った今、彼女の表情は日々暗くなっていく。

 今となっては、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。先日、千尋ちゃんが泣きながら「私にはもう無理です」なんて言うものだがら、私から直に栗田さんへ指導した。
 ところが「私も一さんくらいお給料もらってたらもっとやる気もおきますけど、今のこのお給料でそんなにレベルの高いことを求められても困ります」と言い返されてしまった。
 全く、どうしてくれよう。即部長に報告させていただいた。こんな新人は前代未聞である。

 そんな彼女は、言うことは大きいが、本日の急変を目の当たりにし、その場に立ち尽くしていただけだった。
 わからないなりに、言われた通りに動く黒木さんと澤村さんに対し、彼女はフリーズしてしまったかのように言われたことさえもままならない程狼狽えていた。
 何度も言うが、大口を叩くのは仕事ができるようになってからにしていただきたい。
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