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再会
【10】
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彼のプライベート車で行って、いつものようにスーパーに置いておけば、雅臣も私が帰ってきているとは思わないだろうとあまねくんが提案してくれた。
私の車は、あまねくんが借りてくれている月額駐車場に置いておき、彼の車で出かける。1度アパート前に車を停めて、周囲を確認した。
雅臣の車は確認できなかった。
更にいつも私が駐車していた場所まで入ってもらうが、車もなければ怪しい人影もなかった。
「よかった。大丈夫そう」
「うん。じゃあ、危ないから家の中に入ったらすぐに鍵かけて待ってて。俺、車置いてくるね」
「ありがとう」
私の駐車場に彼の車を置いておくのも、見られた時に怪しまれるため、彼はわざわざスーパーまで車を置きに行った。
私はアパートの前で降ろしてもらい、バッグの中から鍵を探しながらドアへ近付く。
鍵を鍵穴に差し込んでカチッと音がするまで回した。
いつもの調子でドアを引くど、グッと抵抗があった。
「あれ?」
思わず声が漏れる。
おかしいな。鍵開いてた? ……閉め忘れたのかな? そうだとしたら5日間開けっ放しだったことになる。
もう1度鍵を回し、解錠を確認する。恐る恐るドアを開けて、こっそりと覗き込む。
見える玄関は、変わったところなどなかった。靴が出ているわけでもないし、シューズ・イン・クローゼットが荒らされているわけでもない。どうやら鍵を閉め忘れただけらしい。
ほっとして中に入る。
玄関で靴を脱いで、上に上がる。
リビングのドアを開ければ、見慣れた空間。中も荒らされている様子はなく、ようやく安堵する。仕事用のバッグをソファの横に置き、着替えをしようと寝室へ向かった。
ドアを開けて一歩踏み出す。
「あ、まどかおかえり」
私のベッドへ腰をかけ、スマートフォンを操作している雅臣と目が合った。
私は、声を発するよりも先に向きを変えて玄関に向かう。
何で!
何でアイツがここにいるの!?
なんで、なんで、なんで!!
早くここから出なきゃ!
焦りながら、家の中だと言うのに全力で走ろうとする。
後少しで、玄関というところで左腕を掴まれた。
「いや! 離して!」
「逃げるなよ」
「やだ! やめて!」
「騒ぐなって」
腕をグイグイ引かれて、引きずられるようにしてリビングに連れ戻される。膝を曲げて地を踏ん張って、その手から逃れようと反対側に身を引くのだけれど、雅臣の力の方が圧倒的に強くて、私の抵抗も虚しく体がつんのめる。
更に強い力でグッと引かれたかと思うと、そのまま肩を押された。よろけた体はバランスを崩し、ソファーの上に倒れ込んだ。
急いで体を起こそうとするが、雅臣が上から覆い被さり、両手を押さえつけられた。
「お前が逃げるから悪いんだよ」
上から見下ろされ、顔を近付けられれば、じっとりとした汗が吹き出した。
私の車は、あまねくんが借りてくれている月額駐車場に置いておき、彼の車で出かける。1度アパート前に車を停めて、周囲を確認した。
雅臣の車は確認できなかった。
更にいつも私が駐車していた場所まで入ってもらうが、車もなければ怪しい人影もなかった。
「よかった。大丈夫そう」
「うん。じゃあ、危ないから家の中に入ったらすぐに鍵かけて待ってて。俺、車置いてくるね」
「ありがとう」
私の駐車場に彼の車を置いておくのも、見られた時に怪しまれるため、彼はわざわざスーパーまで車を置きに行った。
私はアパートの前で降ろしてもらい、バッグの中から鍵を探しながらドアへ近付く。
鍵を鍵穴に差し込んでカチッと音がするまで回した。
いつもの調子でドアを引くど、グッと抵抗があった。
「あれ?」
思わず声が漏れる。
おかしいな。鍵開いてた? ……閉め忘れたのかな? そうだとしたら5日間開けっ放しだったことになる。
もう1度鍵を回し、解錠を確認する。恐る恐るドアを開けて、こっそりと覗き込む。
見える玄関は、変わったところなどなかった。靴が出ているわけでもないし、シューズ・イン・クローゼットが荒らされているわけでもない。どうやら鍵を閉め忘れただけらしい。
ほっとして中に入る。
玄関で靴を脱いで、上に上がる。
リビングのドアを開ければ、見慣れた空間。中も荒らされている様子はなく、ようやく安堵する。仕事用のバッグをソファの横に置き、着替えをしようと寝室へ向かった。
ドアを開けて一歩踏み出す。
「あ、まどかおかえり」
私のベッドへ腰をかけ、スマートフォンを操作している雅臣と目が合った。
私は、声を発するよりも先に向きを変えて玄関に向かう。
何で!
何でアイツがここにいるの!?
なんで、なんで、なんで!!
早くここから出なきゃ!
焦りながら、家の中だと言うのに全力で走ろうとする。
後少しで、玄関というところで左腕を掴まれた。
「いや! 離して!」
「逃げるなよ」
「やだ! やめて!」
「騒ぐなって」
腕をグイグイ引かれて、引きずられるようにしてリビングに連れ戻される。膝を曲げて地を踏ん張って、その手から逃れようと反対側に身を引くのだけれど、雅臣の力の方が圧倒的に強くて、私の抵抗も虚しく体がつんのめる。
更に強い力でグッと引かれたかと思うと、そのまま肩を押された。よろけた体はバランスを崩し、ソファーの上に倒れ込んだ。
急いで体を起こそうとするが、雅臣が上から覆い被さり、両手を押さえつけられた。
「お前が逃げるから悪いんだよ」
上から見下ろされ、顔を近付けられれば、じっとりとした汗が吹き出した。
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