【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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再会

【12】

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「……私、彼のことが本気で好きなの。だから、邪魔しないで。私のことは忘れて」

 震えそうな声をぐっと我慢して、振り絞る。
 今すぐ出ていって。私を解放して。

「それは、虫が良すぎるんじゃない? まどかが撮った写真のせいで、俺大変だったんだよ?」

「それは、臣くんが浮気したからでしょ?」

「浮気? たかだかキスしたくらいで浮気だなんだって騒がれたらたまったもんじゃない。結婚するまでには全て清算するつもりだったんだから、そんな小さなことで騒ぎ立てる方がどうかしてるでしょ」

「たかだかキスしたくらいって……私は、臣くんと結婚するつもりでいたんだよ?」

「だから、しようよ」

「……はぁ?」

 わけがわからない。全く話にならない。噛み合わない会話に苛立ちすら覚える。

「まどかが俺と結婚するつもりでいたんだからさ。今は、まどかのことをちゃんと幸せにしようって思ってるんだから、俺と結婚すればいいじゃん」

「勝手なこと言わないでよ! 私は、臣くんのことなんてもう好きじゃないの。いくらお金があっても、好きでもない人とは結婚しない。私は、彼と結婚するし、彼の家族にだって挨拶を済ませたの。今更あんたが出てきたって、もう結婚なんてできないの!」

 恐怖よりも苛立ちが勝り、怒りに任せて声を張り上げてしまった。思えば、雅臣に対してこんな接し方をしたのも初めてだ。

「もう挨拶まで済ませてんの? ……まあいいか。既成事実が成立すれば破談になるだろうし」

 気怠そうに表情を歪めた彼は、そう言って私の首筋に顔を埋めた。

「やめっ……何すんの!?」

「わかるでしょ。まどかも大人なんだから。俺の子供作るんだよ。そうすれば、俺と結婚するしかないでしょ?」

 ぞわっと全身に鳥肌が立つ。
 どうしてそんな考えに至ったのか。身の毛もよだつとはまさにこんな状況をいうのだろう。
 雅臣の手が服の裾から侵入し、私の素肌を撫でた。あまねくんの手とは似ても似つかない感覚に、吐き気すら抱く。

「ねぇ! やめてよ! 子供なんか作ったって、私はあんたとなんか結婚しない! あんたの子供なんか欲しくない!」

 足をバタつかせて抵抗する。右足の踵が、彼の腹部に当たり、一瞬うっと彼の顔が歪んだ。
 よし! もう一発!
 そう思ってもう1度右足を上げた瞬間、彼の体が私の膝の間を割って入り込み、私の右足は空を切って終わった。
 代わりに、何かが弾けるような音がして、耳がキーンと反響して一瞬何も聞こえなくなった。それと同時に訪れる左頬の痛み。口の中まで痛くて、鉄のような味がした。
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