【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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再会

【31】

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 守屋家の中に入ると、珍しく父親の方が先にいて、律くんはまだいなかった。
 ダリアさんとおばあちゃんには先週お茶会に呼んでいただいて会ったばかりだったが、律くんと父親とは、先月会ったきりだった。

 律くんの頬を叩いてしまった日以来ということだ。叩いた張本人が、今度は昔の男に叩かれてやってくるのだから、おかしな話だ。

 若干の気まずさを感じながら、父親に挨拶すれば「まだ顔が腫れてますね。……可哀想に。女性の顔を殴るなんて、許せないですね」そう言って顔をしかめた。
 昨日帰宅してから、冷却ジェルシートを頬に貼って寝たものだから、熱感はだいぶ治まり、腫れも小さくなった。予防的に口腔内に口内炎用の軟膏を塗布したことが功を奏したのか、粘膜は細胞で保護されており、普通に飲食する分にはしみなくなっていた。
 早期対応って素晴らしい。
 とはいえ、切れてしまった口角は治りが悪く、忘れて欠伸をすれば激痛が走るし、大口を開けて食事することはできない。

 不便になったものだ。加齢のせいで代謝が悪くなり、傷の治りも遅い。肌の修復にも時間がかかるし、痕が残らなければいいのだけれど……。

 夕食を食べる時間がなかったため、ダリアさんが是非食べて言ってと勧めてくれた。顔を殴られていると知っていたからか、暖かい天ぷら蕎麦だった。蕎麦なら少しずつすすって食べられる。ありがたい。
 天ぷらも大きな海老がどーんと乗っているわけではなく、一口サイズの海老の天ぷらがちりばめられていた。
 これは嬉しい。大きな海老にかぶりつくだなんて、この口角では絶対に不可能だ。
 何気ない配慮がとても嬉しかった。その反面、私の都合で今日の晩御飯が決まってしまったようで、少し申し訳ない気持ちになる。

 食事が済んだ頃に、律くんが帰宅した。

「顔、大丈夫なんですか?」  

 私と視線を合わせた第一声がそれだった。

「う、うん。冷やしたら少し腫れも治まった」

「そうですか」

 私が彼の頬を叩いたことなどまるで気にしていないような素振りで、「とりあえず着替えてきていいですか」と言った。

 律くんが着替えてくるのを待ってから、私達は、リビングで話をすることになった。
 先に食事をと律くんに促したのだけれど、断られてしまった。

 私とあまねくんは、私の実家でしたように交互に経緯を説明した。

「おそらく向こうは弁護士をつけてくると思うので、まどかさんもつけた方がいいでしょう。相手に懲役を言い渡すには、裁判での証言は必要不可欠になります。ただ、先程世間に知られて記者が駆けつけたら困るというところに関しては、実名を出さず、つい立てを用意し、容姿がわからないようにすることは可能です」

「そうなんですか?」

「被害者であれば、特に尊厳は守られます。弁護士側が徹底的に配慮すれば、まず表にでることはないでしょう」

 あまねくんの父親は、そう言って少し微笑んでくれた。

「脱税の前科と、今回の罪とで関連性がないので、更に罪が重くなることはないかと思いますが、ストーカーによる住居侵入や傷害、強姦未遂などがありますから、罰金刑で収まることはないでしょう」

「じゃあ……懲役はつくってことですか?」

「ええ。ただ、何年つくかは裁判官次第なので何とも言えませんね。それに、実刑判決が下されるまでの間、一旦釈放となる可能性も高いです。まどかさんに近付かないよう規制はかかるでしょうが、その間に近付かれる危険は大いにあります。引っ越しは必須ですね」

 雅臣が一旦釈放される。そう思うと、鳥肌が立った。あまねくんと繋がっていると知られてしまったし、もしかしたら私だけでなく、あまねくんにも危険が及ぶかもしれない。
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