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前進
【17】
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「だって、病院にも行かなきゃ行けなくなっちゃったから、その分外出も増えるでしょ? 先生にもまた来てくださいって言われたし」
「うん。週明けに1度受診をって言われたから、月曜日には行かなきゃ」
「ね。もっと具合が悪くなったら頻繁に行かなきゃいけないかもしれないし、それならうちにあまねくんが来てくれた方が安全だし、まどかだって安心よね」
「うん、私もそう思う!」
私は、身を乗り出して母の意見に賛同する。2メートル先にいる母は、にっこりと微笑んで「じゃあ、あまねくんに連絡しておきなさい。お父さんのことはお母さんが説得するから」と言った。
「本当!?」
「お父さん、お母さんのいうことは聞くから大丈夫よ」
ふふっと笑う母に、心のつかえがすうっと消えた気がした。あんなにも上から目線で母をこき使う父だけれど、母が強く出た時には謎の形勢逆転が生まれる。
あまねくんの事務所が大変なことになっていて、こんな時に迷惑かけたくない気持ちでいっぱいだけれど、それを超える程、私は彼に会いたかった。
今日一目でも会えたなら、その瞬間を大事にするから。今の私達にとっては特別な時間だとかみしめるから。だからどうか、今日だけでも会わせてほしい。そんな思いで彼に連絡をした。
母との話も早々に切り上げて、嬉しさのあまり自室で枕をぎゅっと抱き締める。
15分程であまねくんから返信が届く。
〔本当に会えるの? 絶対、会いに行くよ。まどかさんに会えるの嬉しい〕
そう書いてあって、私の胸は満たされた。彼に会えるのはいつも嬉しいけれど、こんなにも心の底から嬉しいと思ったことはないかもしれない。
彼に会える時間は、貴重で特別。一緒にいられることを当たり前だとは思ってはいけない。以前にもそんなふうに考えたことがあったけれど、今回は身をもって知ることになった。
体に影響が出る程、彼に会えない日々は私の不安を募らせていったのだ。
外出することがなくなり、化粧なんてしなくなったため、伏せておいた鏡を立てた。暫く掃除も怠っていたから、立てた瞬間、細かい埃が舞った。
それを手で払って、鏡を覗き込む。跳び上がりそうになるのをぐっとこらえた。
あんなにも寝てばかりいたのに目の下にくっきりとした隈。荒れた肌に、うっすらと筋の入った頬。なんだか一気に10歳くらい老けた気がする……。
茉紀と飲みに出掛けた時には、しっかりと化粧を施して行ったし、その時には普段と変わらなかった。たった1週間で人はこんなに人相を変えてしまうのか。
とりあえず、顔のお手入れから始めようと、マッサージクリームを手に取った。受診前にシャワーは浴びたから、そのまま顔のマッサージにとりかかる。
あんなにも何もしたくないと思っていたのに、あまねくんが家にくるとわかった途端、身なりも部屋も綺麗にしなくちゃとやる気が沸いてくる。
恋の力って偉大だねぇ……母の言葉に納得。
熱を計れば36.9℃。解熱効果もあったようだ。単純に解熱剤の効果かもしれないが。
「うん。週明けに1度受診をって言われたから、月曜日には行かなきゃ」
「ね。もっと具合が悪くなったら頻繁に行かなきゃいけないかもしれないし、それならうちにあまねくんが来てくれた方が安全だし、まどかだって安心よね」
「うん、私もそう思う!」
私は、身を乗り出して母の意見に賛同する。2メートル先にいる母は、にっこりと微笑んで「じゃあ、あまねくんに連絡しておきなさい。お父さんのことはお母さんが説得するから」と言った。
「本当!?」
「お父さん、お母さんのいうことは聞くから大丈夫よ」
ふふっと笑う母に、心のつかえがすうっと消えた気がした。あんなにも上から目線で母をこき使う父だけれど、母が強く出た時には謎の形勢逆転が生まれる。
あまねくんの事務所が大変なことになっていて、こんな時に迷惑かけたくない気持ちでいっぱいだけれど、それを超える程、私は彼に会いたかった。
今日一目でも会えたなら、その瞬間を大事にするから。今の私達にとっては特別な時間だとかみしめるから。だからどうか、今日だけでも会わせてほしい。そんな思いで彼に連絡をした。
母との話も早々に切り上げて、嬉しさのあまり自室で枕をぎゅっと抱き締める。
15分程であまねくんから返信が届く。
〔本当に会えるの? 絶対、会いに行くよ。まどかさんに会えるの嬉しい〕
そう書いてあって、私の胸は満たされた。彼に会えるのはいつも嬉しいけれど、こんなにも心の底から嬉しいと思ったことはないかもしれない。
彼に会える時間は、貴重で特別。一緒にいられることを当たり前だとは思ってはいけない。以前にもそんなふうに考えたことがあったけれど、今回は身をもって知ることになった。
体に影響が出る程、彼に会えない日々は私の不安を募らせていったのだ。
外出することがなくなり、化粧なんてしなくなったため、伏せておいた鏡を立てた。暫く掃除も怠っていたから、立てた瞬間、細かい埃が舞った。
それを手で払って、鏡を覗き込む。跳び上がりそうになるのをぐっとこらえた。
あんなにも寝てばかりいたのに目の下にくっきりとした隈。荒れた肌に、うっすらと筋の入った頬。なんだか一気に10歳くらい老けた気がする……。
茉紀と飲みに出掛けた時には、しっかりと化粧を施して行ったし、その時には普段と変わらなかった。たった1週間で人はこんなに人相を変えてしまうのか。
とりあえず、顔のお手入れから始めようと、マッサージクリームを手に取った。受診前にシャワーは浴びたから、そのまま顔のマッサージにとりかかる。
あんなにも何もしたくないと思っていたのに、あまねくんが家にくるとわかった途端、身なりも部屋も綺麗にしなくちゃとやる気が沸いてくる。
恋の力って偉大だねぇ……母の言葉に納得。
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