【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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【18】

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 夕方に近付くと、彼の仕事はいつ終わるのかとそわそわする。スマホとにらめっこをしては1度テーブルの上に置き、数分後には連絡が来ていないかとまたスマホを手に取る。
 まるで、片想いをしている学生のようにドキドキしながら彼の連絡を待った。

 ようやく彼から連絡がきた。電話をするのだって久しぶりだった。

「も、もしもし……」

 なんだか緊張する。今まではしょっちゅう会えていたのに。

「あ、まどかさん? 仕事終わったよ」

「お疲れ様」

「うん。なんか、声聞くの久しぶりだね」

「そうだね……緊張する」

「何でよ」

 スマホの向こう側であまねくんがクスクスと笑っている。そうそう、この声だ。あまねくんの声。穏やかで優しくて、癒される彼の声。

「ずっと会えなかったし……。ごめんね、お父さんが追い返したって聞いた」

「ああ、うん。会いに行ったんだけどね、急に行ったのが悪かったのかな」

「ううん、ただ機嫌が悪かっただけだと思う。ずっと電話もしたいって思ってたけど、あまねくん色々してくれてるのに邪魔になるのも嫌だったから……」

「邪魔だなんて思うわけないじゃん。俺が頑張れるのは、まどかさんとの生活が待ってるからだよ。そのためには、今辛くても乗り越えられる気がする」

「あまねくんは強いなぁ……」

 私なんて、何もできなくて挙げ句心の病気とまで言われてしまったのに……。

「強くいないと、まどかさんのこと守れないでしょ? それより、体調悪いみたいだって奏から聞いたけど大丈夫?」

 あまねくんから奏ちゃんの名前が出て驚く。奏ちゃん、あまねくんに連絡してくれたんだ……。あんなに可愛気のない子だと思っていたのに、こんな時ばかり気を遣うなんて、憎めない子だ。
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