【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

文字の大きさ
196 / 289
前進

【34】

しおりを挟む
 奏ちゃんには、先に帰宅してもらうことになり、玄関の外まで見送った。彼女は、「じゃあ、さくらちゃんまた連絡して」と言って家を後にした。
 あの男に聞かれていてもいいように、彼女にも姉の友達のふりをしてもらったのだ。

 18時頃、母が到着し、経緯を説明するとこの家は危険だからとあまねくんの実家に行くことを許可してくれた。しかし、さすがに暫く居候するのは迷惑ではないかと、困惑した様子だった。

 ダリアさんからも、私を心配する連絡がきたため、母の様子を伝えると、家に直接電話をかけてくれ、母と暫く話をしていた。
 電話が切れると、「向こうのお母さんは快く迎えてくれるみたいだけど、本当にいいのかしらね……」なんて申し訳ないといった顔をしている。

 父は当然反対するだろうが、前回母に釘を刺されたこともあり、そこまで強くは言ってこないだろう。

 父が帰ってくるよりも先に、菅沼さんが迎えにきたため、私は母にしばしの別れを告げ、家を出た。

「菅沼さん、忙しいのにすみません」

「何言ってんの。まどかちゃんになんかあったら俺だって心配なんだから。さくらだって体調崩したりしても困るし」

「ありがとうございます。電話では元気そうでしたけど、お姉ちゃん順調ですか?」

「うん。安定期入ってから体調もよさそうでよかったよ。一時はつわりも酷くて、見てて可哀想だったから」

「でも、菅沼さんが色々家のことやってくれるから助かるって言ってましたよ」

「俺も元々一人暮らし長かったからね。一通りの家事くらいなら」

 そう言って笑う彼が眩しく見える。私の父なんて、母に「俺の飯は誰が作るんだ」なんて言っていたのに。
 母も、妊娠中は辛かったことだろうと想像すると、切なくなる。
 姉の結婚は正解だったと言う他ない。

 マンションに着くと、菅沼さんと一緒に部屋まで行った。中に入れば、姉の姿がある。

「まどか、大丈夫だったの!?」

「うん。すぐにお姉ちゃんのふりさせてもらっちゃった」

「それはいいけど。私は、まどかの元カレとは面識もないし、本人が直接来たわけじゃないなら、信じてくれるといいけどね」

「うん。私は、九州で暮らしてることになってるから」

「よくそんな嘘をさらっと思い付いたよね」

「とにかく必死だったからね。まだ近くにいるってわかったら、またしつこくされても嫌だし」

 私の言葉に、姉と菅沼さんは深く頷いている。
 それからすぐに、菅沼さんと姉は2人で買い物に出掛けた。

 雅臣の後輩が私をつけてきているとしたら、このマンションから出てどこへ向かうか、暫く様子を見ているかもしれない。

 姉には、ここへ来た時の私の服を着てもらい、髪型も同じように後ろで1つに束ね、眼鏡にマスクを着用してもらった。
 私は、自宅から持ってきた服に着替え、眼鏡からコンタクトへ変えた。
 普段は、髪をストレートでおろしていることが多いため、雰囲気を変えるために頭の上で丸めて団子を作った。

 これでも姉妹だ。服装も髪型も同じにすれば、うまいこと入れ替われるだろう。
 大事をとって30分程、姉のマンションで過ごす。律くんがマンションの下に迎えに来てくれたという連絡を受けてから部屋を出た。

 迎えをあまねくんにしなかったのは、仮に雅臣があまねくんを尾行していた時のことを考えてだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

処理中です...