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前進
【34】
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奏ちゃんには、先に帰宅してもらうことになり、玄関の外まで見送った。彼女は、「じゃあ、さくらちゃんまた連絡して」と言って家を後にした。
あの男に聞かれていてもいいように、彼女にも姉の友達のふりをしてもらったのだ。
18時頃、母が到着し、経緯を説明するとこの家は危険だからとあまねくんの実家に行くことを許可してくれた。しかし、さすがに暫く居候するのは迷惑ではないかと、困惑した様子だった。
ダリアさんからも、私を心配する連絡がきたため、母の様子を伝えると、家に直接電話をかけてくれ、母と暫く話をしていた。
電話が切れると、「向こうのお母さんは快く迎えてくれるみたいだけど、本当にいいのかしらね……」なんて申し訳ないといった顔をしている。
父は当然反対するだろうが、前回母に釘を刺されたこともあり、そこまで強くは言ってこないだろう。
父が帰ってくるよりも先に、菅沼さんが迎えにきたため、私は母にしばしの別れを告げ、家を出た。
「菅沼さん、忙しいのにすみません」
「何言ってんの。まどかちゃんになんかあったら俺だって心配なんだから。さくらだって体調崩したりしても困るし」
「ありがとうございます。電話では元気そうでしたけど、お姉ちゃん順調ですか?」
「うん。安定期入ってから体調もよさそうでよかったよ。一時はつわりも酷くて、見てて可哀想だったから」
「でも、菅沼さんが色々家のことやってくれるから助かるって言ってましたよ」
「俺も元々一人暮らし長かったからね。一通りの家事くらいなら」
そう言って笑う彼が眩しく見える。私の父なんて、母に「俺の飯は誰が作るんだ」なんて言っていたのに。
母も、妊娠中は辛かったことだろうと想像すると、切なくなる。
姉の結婚は正解だったと言う他ない。
マンションに着くと、菅沼さんと一緒に部屋まで行った。中に入れば、姉の姿がある。
「まどか、大丈夫だったの!?」
「うん。すぐにお姉ちゃんのふりさせてもらっちゃった」
「それはいいけど。私は、まどかの元カレとは面識もないし、本人が直接来たわけじゃないなら、信じてくれるといいけどね」
「うん。私は、九州で暮らしてることになってるから」
「よくそんな嘘をさらっと思い付いたよね」
「とにかく必死だったからね。まだ近くにいるってわかったら、またしつこくされても嫌だし」
私の言葉に、姉と菅沼さんは深く頷いている。
それからすぐに、菅沼さんと姉は2人で買い物に出掛けた。
雅臣の後輩が私をつけてきているとしたら、このマンションから出てどこへ向かうか、暫く様子を見ているかもしれない。
姉には、ここへ来た時の私の服を着てもらい、髪型も同じように後ろで1つに束ね、眼鏡にマスクを着用してもらった。
私は、自宅から持ってきた服に着替え、眼鏡からコンタクトへ変えた。
普段は、髪をストレートでおろしていることが多いため、雰囲気を変えるために頭の上で丸めて団子を作った。
これでも姉妹だ。服装も髪型も同じにすれば、うまいこと入れ替われるだろう。
大事をとって30分程、姉のマンションで過ごす。律くんがマンションの下に迎えに来てくれたという連絡を受けてから部屋を出た。
迎えをあまねくんにしなかったのは、仮に雅臣があまねくんを尾行していた時のことを考えてだった。
あの男に聞かれていてもいいように、彼女にも姉の友達のふりをしてもらったのだ。
18時頃、母が到着し、経緯を説明するとこの家は危険だからとあまねくんの実家に行くことを許可してくれた。しかし、さすがに暫く居候するのは迷惑ではないかと、困惑した様子だった。
ダリアさんからも、私を心配する連絡がきたため、母の様子を伝えると、家に直接電話をかけてくれ、母と暫く話をしていた。
電話が切れると、「向こうのお母さんは快く迎えてくれるみたいだけど、本当にいいのかしらね……」なんて申し訳ないといった顔をしている。
父は当然反対するだろうが、前回母に釘を刺されたこともあり、そこまで強くは言ってこないだろう。
父が帰ってくるよりも先に、菅沼さんが迎えにきたため、私は母にしばしの別れを告げ、家を出た。
「菅沼さん、忙しいのにすみません」
「何言ってんの。まどかちゃんになんかあったら俺だって心配なんだから。さくらだって体調崩したりしても困るし」
「ありがとうございます。電話では元気そうでしたけど、お姉ちゃん順調ですか?」
「うん。安定期入ってから体調もよさそうでよかったよ。一時はつわりも酷くて、見てて可哀想だったから」
「でも、菅沼さんが色々家のことやってくれるから助かるって言ってましたよ」
「俺も元々一人暮らし長かったからね。一通りの家事くらいなら」
そう言って笑う彼が眩しく見える。私の父なんて、母に「俺の飯は誰が作るんだ」なんて言っていたのに。
母も、妊娠中は辛かったことだろうと想像すると、切なくなる。
姉の結婚は正解だったと言う他ない。
マンションに着くと、菅沼さんと一緒に部屋まで行った。中に入れば、姉の姿がある。
「まどか、大丈夫だったの!?」
「うん。すぐにお姉ちゃんのふりさせてもらっちゃった」
「それはいいけど。私は、まどかの元カレとは面識もないし、本人が直接来たわけじゃないなら、信じてくれるといいけどね」
「うん。私は、九州で暮らしてることになってるから」
「よくそんな嘘をさらっと思い付いたよね」
「とにかく必死だったからね。まだ近くにいるってわかったら、またしつこくされても嫌だし」
私の言葉に、姉と菅沼さんは深く頷いている。
それからすぐに、菅沼さんと姉は2人で買い物に出掛けた。
雅臣の後輩が私をつけてきているとしたら、このマンションから出てどこへ向かうか、暫く様子を見ているかもしれない。
姉には、ここへ来た時の私の服を着てもらい、髪型も同じように後ろで1つに束ね、眼鏡にマスクを着用してもらった。
私は、自宅から持ってきた服に着替え、眼鏡からコンタクトへ変えた。
普段は、髪をストレートでおろしていることが多いため、雰囲気を変えるために頭の上で丸めて団子を作った。
これでも姉妹だ。服装も髪型も同じにすれば、うまいこと入れ替われるだろう。
大事をとって30分程、姉のマンションで過ごす。律くんがマンションの下に迎えに来てくれたという連絡を受けてから部屋を出た。
迎えをあまねくんにしなかったのは、仮に雅臣があまねくんを尾行していた時のことを考えてだった。
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