【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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【51】

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「え? あ、違くて……」

「彼氏って……」

 奏ちゃんは、髪をかきあげながら眉間に皺を寄せて、大袈裟に大きく息を吐いた。

「あの、彼氏の妹さんなんです」

「え!? あ、ご、ごめんなさい!」

 医師はその場で腕をぴんと伸ばして勢い良く頭を下げた。

「別にいいです。散々兄に似てると言われたばかりなので」

 機嫌が悪そうだが、散々似てると言ったのはこの私だ。後でお叱りを受けそうだと、嫌な汗が滲む。

「彼氏さんに似てるんですか。それは、素敵な彼氏さんですね」

「ええ、まあ……。特に似てるのは彼のお兄さんにあたる人なんですけどね」

「兄弟が多いんですか。いやあ、美形な家系なんですね。……モデルさんですか?」

 私の隣に立った奏ちゃんを、上から下まで眺めてから彼は言った。

「はい」

「はぁ……本物のモデルさんは初めて見ました。体型は完全に女性ですね。本当に失礼しました」

「体型は……?」

「いや、それは言葉の綾で……」

 古河医師も喋る度にボロが出てしまうものだから、しどろもどろになる。いつもは穏やかで冷静な彼のこんな姿を見るのは初めてで、つい笑ってしまう。

 目の前にいる古河医師と、隣にいる奏ちゃん。今日はヒールの高い靴を履いているわけではないのに、彼女の方が背が高い気がした。この高身長が余計に男性っぽく見えたのだろうか。

「いや、何て言うか、芸術的にお綺麗です」

「無理に褒めてくれなくてけっこうです」

「いえいえ、本当に。すみません、何だかお似合いに見えてしまったものですから、勝手に男性だと思ってしまって」

 全くフォローになっていないのだから、彼もいい加減黙った方がいいと思う。これ以上のフォローは期待できない。

「お似合いですか?」

 奏ちゃんが眉を上げて聞き返す。

「え、ええ。とても仲が良さそうに見えたものですから」

 少し前まで犬猿の仲だったと言ったら信じるだろうか。

「そうですか。まあ、いいです。気にしてませんから」

 絶対に嘘だとは思うが、色々言いたいところを何とか堪えている気もするため「それより先生、次の受診の話をしてませんでした?」と話を切り替えた。

「ああ、そうです。だいぶ症状も落ち着いているみたいなので、受診も1ヶ月後くらいでいいかなと思いまして」

「いいんですか?」

「はい。もちろん、それまでに何かあればすぐに来ていただいてかまいませんよ」

「わかりました。ありがとうございます」

「はい。それではお大事に。それと本当に申し訳なかったです」

 そう言って軽く頭を下げた。またわざわざ話を戻さなくてもいいのに。

 医師に再度お礼を言ってから、受付で会計の用紙と処方箋を受け取った。
 薬が減ったことを薬剤師から説明を受け、全てが終わってから守屋家に向かった。
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