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婚姻届
【53】
しおりを挟む「俺もまどかさんに似た女の子が見たいよー」
「えー、あまねくん似がいいよ」
「えぇい! そんなに欲しきゃ、両方産まれるまで産み続けな!」
私とあまねくんのやり取りに、グラスをゴンッと置き、低い声でそう唸る茉紀。
「……怖いおばちゃんだね」
腹部をさすりながら横目で茉紀を見れば、ふいっと視線を外して舌打ちをした。
「茉紀はいいじゃん。光輝は茉紀似だもん。着々とイケメンに成長中」
まだ6歳だというのに、顔の作りが茉紀そっくりだ。このままいけば、安定のイケメンぶりを発揮するだろう。
「光輝はいいけど多分、麗夢はアイツ似なんだよ。オシャレに目覚めた頃、何で私はママに似てないのって泣くかもしれないじゃん。もう、不憫で不憫で……」
そう言ってカウンターに両肘を置いて、顔を覆う。
「いやいや、旦那さんそんなに言う程じゃないじゃん」
「じゃあ、イケメンだって言うわけ?」
「……」
「黙んな!」
いじけてしまった茉紀に「でも、大きくなったら変わるって言うし。私だって小さい頃はお父さんそっくりって言われたみたいだけど、小学校の中学年くらいからお母さんに似てるって言われ始めたし」とフォローする。
私もあのままお父さんに似ていたら、人生損するところだった。
「本当!? まだ大丈夫かな!?」
「だってまだ1歳だよ? わかんないよ」
「そっか……そうだね。じゃあ、あんたんとこの子が男の子だったら、麗夢を嫁にあげるね」
「え?」
そうなると話は変わってくる。
「茉紀さん、やっぱり夫婦は愛し合ってなるものだと思うからさ。親のエゴはよくない」
うちの旦那様は必死です。
「じゃあ、光輝がとびきりのイケメンに育ったらどうするわけ?」
「いや、だから……」
茉紀の雰囲気だから、おそらく光輝は律くんみたいなクールビューティーな見た目になるんだろうななんて想像はつく。
しかし、性格がこのままだったらそれはそれで問題だ。
「女の子だったら、誰にも嫁がせないよ! 他所の男に触れられるなんて、そんなの耐えられないもん!」
先程よりも必死なあまねくん。これは、茉紀の子供だからとか以前の問題だ。
「あんた……これから大変だね」
茉紀の同情の先は麗夢から私へと変わった。
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