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婚姻届
【54】
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「それより、雅臣はどうなったの? あれから全く進捗報告がないけど」
茉紀が思い付いたように私の視線を捕らえる。
私は、雅臣の後遺症についてと、磯部さんから伺った今の状況について伝えた。
意識ははっきりとしてきたが、神経が損傷してしまったがために生涯下半身不随になってしまった彼。
歩くことはおろか、排泄も自己調節ができないようで、リハビリや自己導尿の指導を受けているとのこと。ショックが大きかったのか、精神的にも参っているようで以前のような活気はもうないらしい。
容疑者でもあり、警察も病院に訪れているが、観念したのか悪態つくことなく事情聴取に応じているとのこと。
このままいけば治療後には裁判となり、判決がでるだろう。
今では私のお義父さんともなったあまねくんの父にも、「もう悪あがきはしないと思うから、そのまま実刑判決にいけるでしょう」と言われた。
「何だか、雅臣も可哀想だよねぇ……」
グラスをぼーっと見ながら言う茉紀。彼女には、雅臣の日記について律くんと話をした後、後日電話で詳細を伝えていた。
あまねくんには言えない心苦しさから、茉紀にだけは言わずにはいられなかった。
「可哀想? 何で茉紀さんそんなこと言うの? まどかさんのこと殴るような男ですよ?」
冷めた口調でそう言うあまねくん。彼は、とことん雅臣のことが嫌いなのだ。
「わかってるわよ。それは許せないけど、さすがに半身不随で生きていかなきゃいけないっていうのはさ……」
「もしかしたら、俺やまどかさんがそうなってたかもしれないんですよ? それでも可哀想なんて言うんですか?」
「あー、はいはい。私が悪かったわよ。雅臣にはしっかり罪を償ってもらえばいいよ」
そう言った茉紀に、あまねくんは面白くなさそうにビールを煽る。今日は、タクシーで一緒に帰宅予定だ。私が車を出すと言ったのに、「お腹の子に何かあると困るから!」と頑なに拒否された。
そこまで心配しなくても大丈夫だと思うのだけれど。
そんなあまねくんを私越しに一瞥した茉紀は、「あんた、やっぱ大変だね」とこっそり耳打ちされた。
一連のやり取りを見ていたハイジさんは、声を押し殺して笑っている。
笑い事じゃないのに。そう思って、ハイジさんへと視線を向ければ「まどかちゃん、そう言えばつわりは大丈夫なの?」と聞かれた。
機嫌を損なってしまったあまねくんを見かねて、話題を変えてくれたのだろう。
「不思議とまだないんです。大体7週目くらいから酷くなるって聞いたんですけど、今8週目に入ったけどなんとも……」
「まあ、大体の人がつわりが酷くなるっていうだけで、少数の人達はない人もいるわけよ。後、男か女かでも違うみたい。私も、光輝の時には酷くて、吐いて動けないし何も受け付けなかったんだよね。麗夢の時も覚悟してたんだけど、その時は何にもなかった」
「へぇ……。このまま何もなきゃいいけどな」
「まあ、もしこれから酷くなるようなら、あまねについててもらいな」
「うん、そうする。お願いね、パパ」
そう言ってあまねくんの袖をくいっと指で引っ張れば、嬉しそうに顔を上げて「任せて!」と笑う。
茉紀が思い付いたように私の視線を捕らえる。
私は、雅臣の後遺症についてと、磯部さんから伺った今の状況について伝えた。
意識ははっきりとしてきたが、神経が損傷してしまったがために生涯下半身不随になってしまった彼。
歩くことはおろか、排泄も自己調節ができないようで、リハビリや自己導尿の指導を受けているとのこと。ショックが大きかったのか、精神的にも参っているようで以前のような活気はもうないらしい。
容疑者でもあり、警察も病院に訪れているが、観念したのか悪態つくことなく事情聴取に応じているとのこと。
このままいけば治療後には裁判となり、判決がでるだろう。
今では私のお義父さんともなったあまねくんの父にも、「もう悪あがきはしないと思うから、そのまま実刑判決にいけるでしょう」と言われた。
「何だか、雅臣も可哀想だよねぇ……」
グラスをぼーっと見ながら言う茉紀。彼女には、雅臣の日記について律くんと話をした後、後日電話で詳細を伝えていた。
あまねくんには言えない心苦しさから、茉紀にだけは言わずにはいられなかった。
「可哀想? 何で茉紀さんそんなこと言うの? まどかさんのこと殴るような男ですよ?」
冷めた口調でそう言うあまねくん。彼は、とことん雅臣のことが嫌いなのだ。
「わかってるわよ。それは許せないけど、さすがに半身不随で生きていかなきゃいけないっていうのはさ……」
「もしかしたら、俺やまどかさんがそうなってたかもしれないんですよ? それでも可哀想なんて言うんですか?」
「あー、はいはい。私が悪かったわよ。雅臣にはしっかり罪を償ってもらえばいいよ」
そう言った茉紀に、あまねくんは面白くなさそうにビールを煽る。今日は、タクシーで一緒に帰宅予定だ。私が車を出すと言ったのに、「お腹の子に何かあると困るから!」と頑なに拒否された。
そこまで心配しなくても大丈夫だと思うのだけれど。
そんなあまねくんを私越しに一瞥した茉紀は、「あんた、やっぱ大変だね」とこっそり耳打ちされた。
一連のやり取りを見ていたハイジさんは、声を押し殺して笑っている。
笑い事じゃないのに。そう思って、ハイジさんへと視線を向ければ「まどかちゃん、そう言えばつわりは大丈夫なの?」と聞かれた。
機嫌を損なってしまったあまねくんを見かねて、話題を変えてくれたのだろう。
「不思議とまだないんです。大体7週目くらいから酷くなるって聞いたんですけど、今8週目に入ったけどなんとも……」
「まあ、大体の人がつわりが酷くなるっていうだけで、少数の人達はない人もいるわけよ。後、男か女かでも違うみたい。私も、光輝の時には酷くて、吐いて動けないし何も受け付けなかったんだよね。麗夢の時も覚悟してたんだけど、その時は何にもなかった」
「へぇ……。このまま何もなきゃいいけどな」
「まあ、もしこれから酷くなるようなら、あまねについててもらいな」
「うん、そうする。お願いね、パパ」
そう言ってあまねくんの袖をくいっと指で引っ張れば、嬉しそうに顔を上げて「任せて!」と笑う。
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