271 / 289
婚姻届
【56】
しおりを挟む
朝食後の食器を片付け、掃除機をかける。窓を開れば太陽の光が差し込んで、通り抜ける風が心地好い。
あまねくんと一緒に暮らすようになり早1週間。
結婚指輪も買ってもらい、私の左手の薬指にはシンプルな指輪がはまっている。
ダイヤがついたのを選ばなかったのは、介護の仕事に戻った時に、利用者さんへの危険が少なく、仕事中もはめていられるようにとあまねくんが配慮してくれたから。
目の前に左手をかざすと、沸き上がる新婚生活の嬉しさ。
今建てている家が完成したら、引っ越しが待っている。
結婚式は、子供が産まれてからでもいいねなんてあまねくんと話していたが、母にも茉紀にも子供が産まれたら結婚式どこじゃないよ! と反対され、急ぐ形で準備を進めている。
お腹の子供の定期検診にも通い、土曜日の受診は必ずあまねくんが付き添ってくれる。
何もかもが幸せで、今まであった不穏な空気が嘘のように晴れ渡っている。
一通りの家事を終え、結婚雑誌を読んだり、マタニティ雑誌を読んだりして情報を集める。
妻と母親との権利を一気に手に入れたものだから、全く情報が追い付いていかない。それでも、こんな日々が幸せなんだ。
夕方になれば、夕食の準備をする。そういえば最近、あまねくんの好物であるグラタンを作っていない。今日は久しぶりにグラタンにしようかななんて思いながら、ペンネマカロニを取り出す。
毎日の料理も、仕事で疲れて帰って来たあまねくんが嬉しそうに食べてくれるから、作りがいがあって楽しいんだ。
ある程度の食事ができあがり、時間は18時半を少し回ったところだ。
もうすぐ愛しの旦那様が帰ってくる。そう浮き足だったその時、チャイムが鳴った。
宅配便だろうか。そう思い、インターフォンを確認する。
エントランスが写し出され、そこに映っていたのは女性だった。
「……はい。どちら様ですか?」
「……え? あ、あの……すみません、ここって守屋さんちでは……」
私の声を聞いてか、動揺している様子の彼女。栗色のショートボブで、内側に流れる髪が余計に小顔に見える。何とも可愛らしい女の子だ。
ここを訪ねて来たのだから、恐らくあまねくんの知り合いなのだろう。
「そうですけど、どちら様ですか?」
何となく嫌だった。こんな可愛い子が訪ねてくるなんて。
「あ、あの……私、大学の時の同級生なんですど。本を借りていたので、返したいんです」
「そうでしたか。……どうぞ」
本を借りていた? なんの本だろう。彼女を通すのは気が引けたが、直接あまねくんに返却されるよりはいいような気がしてロックを解除した。
暫くすると、ドアのチャイムが鳴る。解錠し、扉を開けた。
普段私が接する女性は、ダリアさんといい、奏ちゃんといい、私よりも身長が高い。そのためか、目の前の女性はとても小さく見えた。
インターフォン越しで見るよりも更に小顔だ。目はくりっとして可愛くて、いかにも守ってあげたくなるような色白で華奢な可愛らしい女の子。
化粧もナチュラルで、清潔感溢れている。
あまねくんと一緒に暮らすようになり早1週間。
結婚指輪も買ってもらい、私の左手の薬指にはシンプルな指輪がはまっている。
ダイヤがついたのを選ばなかったのは、介護の仕事に戻った時に、利用者さんへの危険が少なく、仕事中もはめていられるようにとあまねくんが配慮してくれたから。
目の前に左手をかざすと、沸き上がる新婚生活の嬉しさ。
今建てている家が完成したら、引っ越しが待っている。
結婚式は、子供が産まれてからでもいいねなんてあまねくんと話していたが、母にも茉紀にも子供が産まれたら結婚式どこじゃないよ! と反対され、急ぐ形で準備を進めている。
お腹の子供の定期検診にも通い、土曜日の受診は必ずあまねくんが付き添ってくれる。
何もかもが幸せで、今まであった不穏な空気が嘘のように晴れ渡っている。
一通りの家事を終え、結婚雑誌を読んだり、マタニティ雑誌を読んだりして情報を集める。
妻と母親との権利を一気に手に入れたものだから、全く情報が追い付いていかない。それでも、こんな日々が幸せなんだ。
夕方になれば、夕食の準備をする。そういえば最近、あまねくんの好物であるグラタンを作っていない。今日は久しぶりにグラタンにしようかななんて思いながら、ペンネマカロニを取り出す。
毎日の料理も、仕事で疲れて帰って来たあまねくんが嬉しそうに食べてくれるから、作りがいがあって楽しいんだ。
ある程度の食事ができあがり、時間は18時半を少し回ったところだ。
もうすぐ愛しの旦那様が帰ってくる。そう浮き足だったその時、チャイムが鳴った。
宅配便だろうか。そう思い、インターフォンを確認する。
エントランスが写し出され、そこに映っていたのは女性だった。
「……はい。どちら様ですか?」
「……え? あ、あの……すみません、ここって守屋さんちでは……」
私の声を聞いてか、動揺している様子の彼女。栗色のショートボブで、内側に流れる髪が余計に小顔に見える。何とも可愛らしい女の子だ。
ここを訪ねて来たのだから、恐らくあまねくんの知り合いなのだろう。
「そうですけど、どちら様ですか?」
何となく嫌だった。こんな可愛い子が訪ねてくるなんて。
「あ、あの……私、大学の時の同級生なんですど。本を借りていたので、返したいんです」
「そうでしたか。……どうぞ」
本を借りていた? なんの本だろう。彼女を通すのは気が引けたが、直接あまねくんに返却されるよりはいいような気がしてロックを解除した。
暫くすると、ドアのチャイムが鳴る。解錠し、扉を開けた。
普段私が接する女性は、ダリアさんといい、奏ちゃんといい、私よりも身長が高い。そのためか、目の前の女性はとても小さく見えた。
インターフォン越しで見るよりも更に小顔だ。目はくりっとして可愛くて、いかにも守ってあげたくなるような色白で華奢な可愛らしい女の子。
化粧もナチュラルで、清潔感溢れている。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる