【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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婚姻届

【56】

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 朝食後の食器を片付け、掃除機をかける。窓を開れば太陽の光が差し込んで、通り抜ける風が心地好い。

 あまねくんと一緒に暮らすようになり早1週間。
 結婚指輪も買ってもらい、私の左手の薬指にはシンプルな指輪がはまっている。
 ダイヤがついたのを選ばなかったのは、介護の仕事に戻った時に、利用者さんへの危険が少なく、仕事中もはめていられるようにとあまねくんが配慮してくれたから。

 目の前に左手をかざすと、沸き上がる新婚生活の嬉しさ。
 今建てている家が完成したら、引っ越しが待っている。

 結婚式は、子供が産まれてからでもいいねなんてあまねくんと話していたが、母にも茉紀にも子供が産まれたら結婚式どこじゃないよ! と反対され、急ぐ形で準備を進めている。
 お腹の子供の定期検診にも通い、土曜日の受診は必ずあまねくんが付き添ってくれる。
 何もかもが幸せで、今まであった不穏な空気が嘘のように晴れ渡っている。


 一通りの家事を終え、結婚雑誌を読んだり、マタニティ雑誌を読んだりして情報を集める。
 妻と母親との権利を一気に手に入れたものだから、全く情報が追い付いていかない。それでも、こんな日々が幸せなんだ。

 夕方になれば、夕食の準備をする。そういえば最近、あまねくんの好物であるグラタンを作っていない。今日は久しぶりにグラタンにしようかななんて思いながら、ペンネマカロニを取り出す。

 毎日の料理も、仕事で疲れて帰って来たあまねくんが嬉しそうに食べてくれるから、作りがいがあって楽しいんだ。

 ある程度の食事ができあがり、時間は18時半を少し回ったところだ。

 もうすぐ愛しの旦那様が帰ってくる。そう浮き足だったその時、チャイムが鳴った。

 宅配便だろうか。そう思い、インターフォンを確認する。
 エントランスが写し出され、そこに映っていたのは女性だった。

「……はい。どちら様ですか?」

「……え? あ、あの……すみません、ここって守屋さんちでは……」

 私の声を聞いてか、動揺している様子の彼女。栗色のショートボブで、内側に流れる髪が余計に小顔に見える。何とも可愛らしい女の子だ。
 ここを訪ねて来たのだから、恐らくあまねくんの知り合いなのだろう。

「そうですけど、どちら様ですか?」

 何となく嫌だった。こんな可愛い子が訪ねてくるなんて。

「あ、あの……私、大学の時の同級生なんですど。本を借りていたので、返したいんです」

「そうでしたか。……どうぞ」

 本を借りていた? なんの本だろう。彼女を通すのは気が引けたが、直接あまねくんに返却されるよりはいいような気がしてロックを解除した。

 暫くすると、ドアのチャイムが鳴る。解錠し、扉を開けた。
 普段私が接する女性は、ダリアさんといい、奏ちゃんといい、私よりも身長が高い。そのためか、目の前の女性はとても小さく見えた。
 インターフォン越しで見るよりも更に小顔だ。目はくりっとして可愛くて、いかにも守ってあげたくなるような色白で華奢な可愛らしい女の子。
 化粧もナチュラルで、清潔感溢れている。
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