ほら、もう諦めて俺のモノになりなよ

雪村こはる

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嫌いなアイツ

26

「原木くん、店のプロフィールと歳違うよね? 26歳になってた」

 千紘は少しずつ、少しずつ情報を集めるために原木に置き換えて質問をしていく。

「ああ。けっこう皆そうですよ。利用する人が年上ばっかりなんであんまり年齢若すぎると抵抗ある人多いんです」

「そういうこと」

「男性向けの風俗でもあるじゃないですか。実年齢より若く記載するの」

「うん」

「その反対で20代後半から30代前半くらいまでが受けるんで、そこで設定するんです」

「へぇ。そんな世界があるなんて知らなかったから興味深いなぁ」

「え!? ちょ、成田さんがセラピストとかやめてくださいよ!? 成田さんがやったらすぐNo.とれちゃうから!」

 原木は本気で焦ったように目を大きくさせた。千紘はそんな様子にふふっと笑う。女性からモテるのは自覚している。
 実際に「お金払うから抱いて!」と言われたことも何度もあった。だから、この世界に入ったら需要があることもわかっている。ただ、千紘の興味はそこではない。

「やらないよ~。俺、美容師好きだから」

「あ、ですよね……。でも成田さんだったら快さん抜けんのかなってちょっと興味ありますけどね」

「快くんって子はそんなに人気なんだ?」

「凄いですよ。予約入ってない時なんてなくて、店に電話してもいつ取れるかわかんないから直接DMで予約するしかないんですよ」

「それは凄いね」

「成田さんの予約みたいじゃないですか?」

 原木にそう言われて千紘はしぱしぱと目を瞬かせた。美容師の場合、指名がどんなに多くてもNo.として表記されることはない。
 コンテストでグランプリを取り、取材を受ければ自然と指名は増えた。しかし、その期待を裏切らないためにもそれなりの努力が必要だった。

 恐らくランキング入りしているセラピストもそうだろう。No.を謳うからにはそのレベルにあったものを提供しなくてはならない。
 信者とも呼べる客がつくまでは努力に努力を重ねなければならない。

 どんなに容姿がよくて最初は好奇心と興味本位で近寄ってきても、対応が悪ければすぐに離れていくことを千紘は知っている。
 だから、凪を長く何度も指名する客もその容姿ばかりが目的ではないのだろうと千紘は思った。

「俺のはカットが売りだからね。きっとその快くんにもこれだけは他とは違うって売りがあるんだろうね」

「売り……。でも、快さんはすっごいイケメンで」

「イケメンは入口だよ。いくら顔がよくても顔の良い男なんてその辺にいくらでもいる。顔が最高に良くて予約が取りにくいよりも、そこそこの容姿で自分ばかりに目を向けてくれる人がいたら、女の子はそっちを選ぶ」

「確かに……。あ、だから成田さんはメンズ専用?」

「ふふ。違うよ。単純に俺は女の子が綺麗になるより男の子がカッコよくなる方が楽しいだけ」

 イタズラにニッコリ笑う千紘に、原木はつられて笑った。
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