ほら、もう諦めて俺のモノになりなよ

雪村こはる

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体だけでも

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「休みなく働いてたと思ってたのは、単純に男の家に転がり込んで帰ってこなかっただけ」

 凪はひょいっと眉を上げた。千紘にはいくつか疑問があった。それらも父親から聞いた話なのだろうか。この凪が何年も会っていなかった父親だけの話を鵜呑みにするだろうかと。

「一緒に住んでた男が訪ねてきてさ。線香あげさせてくれって」

 千紘の疑問は凪の言葉によってすぐに解決する。それも度肝を抜かれる展開だった。

「えー……」

「しかも、向こうには連れ子がいてさ。そっちは今高校生かな。相手は公認会計士だって」

「住む世界が違い過ぎてなんとも……」

「事実婚ってやつ? 籍は入れてなかったみたいだけど、俺らそれも知らなかったし」

「全く気付かなかったの?」

「気付かなかったね。高校も奨学金借りてて、俺も兄貴も自分たちで返済してたからずっと働いてたし」

「……ごめん、なんか言葉がなんも浮かばない」

 千紘は気の利いたセリフの1つや2つ浮かぶものかと思ったが、予想外の家庭環境になんて声をかけてやればいいのかわからなかった。

「ああ、別にいいよ。結局奨学金も全部返済してもらって俺も借金なくなったし」

「そう……。お母さん、いつから?」

「さあ。そこまで詳しくは聞かなかった。別にもういいやって思って。今高校ってことは俺と10個くらい離れてるし、向こうの子供も母さんのことお母さんって呼んでたから、向こうの子供が小さい頃からじゃね?」

「嘘だろ……」

 千紘はさすがに顔を引き攣らせた。2つの家庭を同時に、それも子供2人は家に置き去りにしているのだ。

「たまには家にいたし、夜の仕事してると思ってたから不思議に思わなかったんだよなぁ……」

 凪は、頭の下で両手を組んで軽く首を傾げた。

「夜の仕事……凪ってお母さん似でしょ?」

「あ? ああ、そうかも」

「じゃあ、お母さん凄い美人だ」

「まぁ……。若い頃はな。多分あの男も客だと思う」

 しかめっ面の凪を見て、千紘は母親の影響もあってこの仕事をしてるのかもと何となくそう思った。
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