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体だけでも

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 同じことを数分繰り返すと、もう一度凪は絶頂を迎えた。その頃には千紘の指がスムーズに動くようになっていて、柔らかくスペースを広げていた。

「指増やすね」

 ちゃんと行動を起こす前に言葉をかけてくれる声は優しいが、訪れる刺激は息が止まりそうなほどの圧迫感。
 しなやかで美しい手をしていても、それは男の手だ。2本の指はギチギチと凪の後口を広げた。

「うぁ……待って、苦しっ」

「大丈夫。最初だけだよ」

「でもっ、むっ……ひぁ!?」

 ふるふると顔を左右に振った凪だったが、意識が飛びそうなほどの快感が駆け巡って、体が勝手にピンッと張り詰めた。

「もっと気持ちよくなれるよ」

 凪は千紘の声を聞く度に、自分の知らない快感がどんどん押し寄せてくるのを感じた。囁かれると、次にまた別の気持ちよさがやってくる気がして身構えると同時に少しだけ期待する。
 まだまだ刺激が続くのかと思うと、もうイケないかもしれないと思いながらも、どこまで意識を保っていられるか試してみたくもなる。

 それほどまでに凪の頭はまともな思考ができなくなり、目の前の千紘と彼が与えてくれる快感に溺れていった。
 恐怖しかない感情の中で、ひたすら体だけが反応を示した前回とは違った。凪にも少しばかり好奇心が芽生え、この快楽に身を任せるのも悪くないと思い始めていたから。

 中を擦られる度に全身が性感帯になってしまったのではないかと疑うほどに、どこを触られても気持ちよく感じた。
 その内になんとなく前回の記憶が蘇る。体位を変えて何度も千紘に突き上げられたこと。腹の中がいっぱいになるまで奥まで刺されたこと。あの時は頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなった。一瞬、恐怖さえも忘れた。

 今だけでこんなに気持ちよかったら、あの時の感覚を得たらどれほどのものなのだろうか。元々性欲が強い凪は、本能的にあの時の刺激を求めていた。
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