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気持ちは変わるもの
02
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「凪の髪型を俺が決められるって最高」
千紘はうっとりと恍惚の表情で言った。千紘のおかげで、凪の髪のダメージは修復しつつある。千紘が担当に変わったばかりの頃より圧倒的に毛質が柔らかくなっていた。
「決めていいなんて言ってないだろ」
「でも俺が決めた方がカッコよくなるよ?」
「……」
凪は面白くなさそうにじとっと鏡越しに千紘を見た。そう言われてしまったら、言い返す言葉が見つからない。
先月訪れた時は、宣材写真の撮影に合わせて予約を入れた。あからさまな贔屓で凪を優先させる千紘にいつかクレームが入るんじゃないかと凪は気が気じゃない。
「バレないようにやってんの。大丈夫、大丈夫」なんて言いながらずっと近くにいるものだから、バレないわけがないとため息しか出ない。
それでも「撮影に間に合わないと困るからね。とびきりカッコよくしてあげるね」と言いながら時間内でカットもセットも終わらせる技術はさすがとしか言いようがなかった。
更に仕上がりは文句なしの理想そのもの。そんなことをされては、今回も任せるしかなくなった。
「俺は、美容師としてのお前に任せるんだからな」
「はいはい。男としての俺には体を委ねてくれたらいいのよ」
凪の両肩に手を置いて、耳元で千紘が囁いた。目を見開いてバッと振り向いた凪は「てめっ、また」と顔を歪めた。
来店する度にこんなやり取りが続く。一度や二度はこんなことを言ってくるのが当たり前になってきているが、やはり店内の誰かに聞かれてはまずいと慎重になるのだ。
「次はいつにしよっか」
千紘が不意に尋ねる。それに対して凪は軽く舌打ちした。
「盛ってんじゃねぇよ。まだ体が本調子じゃ……」
言いかけてはっと口を噤んだ。ニヤニヤと頬を緩める千紘が目に入ったからだ。
「次の予約の話なんだけどね」
またからかうように千紘が言うと、凪は勘違いした自分を恥じるかのように顔を真っ赤にさせて俯いた。
千紘は肩を震わせて笑いを堪えるが、それもこれも可愛い凪の反応を見たいがためのイタズラである。
千紘はうっとりと恍惚の表情で言った。千紘のおかげで、凪の髪のダメージは修復しつつある。千紘が担当に変わったばかりの頃より圧倒的に毛質が柔らかくなっていた。
「決めていいなんて言ってないだろ」
「でも俺が決めた方がカッコよくなるよ?」
「……」
凪は面白くなさそうにじとっと鏡越しに千紘を見た。そう言われてしまったら、言い返す言葉が見つからない。
先月訪れた時は、宣材写真の撮影に合わせて予約を入れた。あからさまな贔屓で凪を優先させる千紘にいつかクレームが入るんじゃないかと凪は気が気じゃない。
「バレないようにやってんの。大丈夫、大丈夫」なんて言いながらずっと近くにいるものだから、バレないわけがないとため息しか出ない。
それでも「撮影に間に合わないと困るからね。とびきりカッコよくしてあげるね」と言いながら時間内でカットもセットも終わらせる技術はさすがとしか言いようがなかった。
更に仕上がりは文句なしの理想そのもの。そんなことをされては、今回も任せるしかなくなった。
「俺は、美容師としてのお前に任せるんだからな」
「はいはい。男としての俺には体を委ねてくれたらいいのよ」
凪の両肩に手を置いて、耳元で千紘が囁いた。目を見開いてバッと振り向いた凪は「てめっ、また」と顔を歪めた。
来店する度にこんなやり取りが続く。一度や二度はこんなことを言ってくるのが当たり前になってきているが、やはり店内の誰かに聞かれてはまずいと慎重になるのだ。
「次はいつにしよっか」
千紘が不意に尋ねる。それに対して凪は軽く舌打ちした。
「盛ってんじゃねぇよ。まだ体が本調子じゃ……」
言いかけてはっと口を噤んだ。ニヤニヤと頬を緩める千紘が目に入ったからだ。
「次の予約の話なんだけどね」
またからかうように千紘が言うと、凪は勘違いした自分を恥じるかのように顔を真っ赤にさせて俯いた。
千紘は肩を震わせて笑いを堪えるが、それもこれも可愛い凪の反応を見たいがためのイタズラである。
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