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気持ちは変わるもの
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カラー剤を塗り終えてアシスタントがはけた頃、千紘が何食わぬ顔をして戻ってきた。凪が横目で確認しただけでも7名の千紘の指名客が帰って行った。
「一段落」
そう言って凪の肩に両手を乗せた。重たくのしかかる体重は肩に負担を与えるのに、体温が伝わってきてなんとなく嫌な気はしなかった。
「続々と帰ってったな」
「うん。皆カット待ちだったからね。俺はメンズ専門だから、女の子みたいに髪乾かすのにうんと時間かかったりしないの」
「あー……だから1日の予約詰め込めんのか」
「まあ、そういうこと。髪長いと全てにおいて時間かかるからね。シャンプーもカラーもブローも」
「そりゃそうだ」
1日にとんでもない人数の予約が入っているとは思っていたが、それなら納得だと凪は今更ながらに頷いた。
「凪、明日何時にする?」
「お前は何時に終わるんだよ」
「んー……最終のお客さん終わらせて、片付けして頑張れば21時ちょっと過ぎくらいには終わると思う」
「じゃあ、その辺で」
凪がさらっと言えば、千紘は嬉しそうに微笑んだ。なんとなく付き合いたての里緒を思い出す。
付き合うってこんな感じだったな……。そんなふうに思うのは不思議な気分だった。散々セラピストとして仕事をする中で、疑似恋愛を用いた営業をしてきたというのに、凪自身は一度も恋人気分になったことはなかった。
相手がどれだけ好いてくれていても、自分に気持ちがなければ仕事でしかない。割り切ってその場限りの時間をやり過ごして、可愛くて好みの女性とは性欲だけで楽しむ。
そんなふうに何年も過ごしてきたのに、客の誰1人にも抱かなかった思いに、驚きすらした。
誰かと付き合うとか全く考えてなかったしな……。セラピストをしてる以上、彼女は作れないし辞めてまで付き合いたいと思える相手にも出会える気がしないし。
今が楽しければいいと思ってたから、彼女が欲しいとも思わなかったけど……いずれは付き合いたいと思う相手ができんのかな。
凪は千紘の笑顔を見ながら、千紘ではない誰かと付き合うことを想像した。
「一段落」
そう言って凪の肩に両手を乗せた。重たくのしかかる体重は肩に負担を与えるのに、体温が伝わってきてなんとなく嫌な気はしなかった。
「続々と帰ってったな」
「うん。皆カット待ちだったからね。俺はメンズ専門だから、女の子みたいに髪乾かすのにうんと時間かかったりしないの」
「あー……だから1日の予約詰め込めんのか」
「まあ、そういうこと。髪長いと全てにおいて時間かかるからね。シャンプーもカラーもブローも」
「そりゃそうだ」
1日にとんでもない人数の予約が入っているとは思っていたが、それなら納得だと凪は今更ながらに頷いた。
「凪、明日何時にする?」
「お前は何時に終わるんだよ」
「んー……最終のお客さん終わらせて、片付けして頑張れば21時ちょっと過ぎくらいには終わると思う」
「じゃあ、その辺で」
凪がさらっと言えば、千紘は嬉しそうに微笑んだ。なんとなく付き合いたての里緒を思い出す。
付き合うってこんな感じだったな……。そんなふうに思うのは不思議な気分だった。散々セラピストとして仕事をする中で、疑似恋愛を用いた営業をしてきたというのに、凪自身は一度も恋人気分になったことはなかった。
相手がどれだけ好いてくれていても、自分に気持ちがなければ仕事でしかない。割り切ってその場限りの時間をやり過ごして、可愛くて好みの女性とは性欲だけで楽しむ。
そんなふうに何年も過ごしてきたのに、客の誰1人にも抱かなかった思いに、驚きすらした。
誰かと付き合うとか全く考えてなかったしな……。セラピストをしてる以上、彼女は作れないし辞めてまで付き合いたいと思える相手にも出会える気がしないし。
今が楽しければいいと思ってたから、彼女が欲しいとも思わなかったけど……いずれは付き合いたいと思う相手ができんのかな。
凪は千紘の笑顔を見ながら、千紘ではない誰かと付き合うことを想像した。
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