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気持ちは変わるもの
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凪は大きくはあっと息をついた。結局男も女も大差ない。以前自分が言った言葉だ。女だから泣いて縋るだとか、男だから我慢するだとかそんなものは存在しないと凪は思う。ドロドロした女の裏側を知っているし、粘着質な男がいることも証明された。
性別など関係なく、要は人間性。そう考えたら恋愛に男も女もない気がした。
「思わせぶりな態度をとった覚えはない。俺は付き合えないってはっきり言ってるし、千紘はそれをわかってて俺と会ってる」
嘘をつく必要などないと感じた凪はそう言った。説明する必要さえないが敵意を抱かれている以上、この場で解決させた方がいい気がした。
凪が口を開いたことが意外だったのか、千紘は凪に目を向けた。
「でも家から出てきたってことはヤルことヤッてんだろ!?」
今にも泣きだしそうな顔で樹月が言う。そんなことを言われてしまえば千紘との肉体関係を隠したい凪はぐっと押し黙るしかない。ここで抱かれてないと嘘をつくのは簡単だが、それならと樹月を安心させ期待までさせてしまいそうだし、千紘のことを傷つけてしまいそうだとも思った。
だからといって、体だけの関係だと言えば自分が千紘に抱かれていることを認めてしまうし千紘が喜ぶ姿が想像できて面白くはない。
黙ってしまった凪を見て千紘は察したのか、肩をすくめると「ヤッてるヤッてないなんて樹月に関係ある?」と抑揚のない声で言った。
「俺はセフレとして側においておきたいわけでもただの体目的でもないよ。付き合えるなら別にセックスはなくてもいい」
さらりと言った千紘に樹月は信じられないと言った顔で千紘を見上げた。自分と付き合っていた時には毎日のように抱き合ったのに。自分を求めてくれることが愛情表現だと思っていたし、俺だって好きだから抱かれたいと思ってたのに……とまるで理解できなかった。
「俺にとってそれだけ大事ってこと。セックスしてる、してないは問題じゃない」
「でも……」
「正直、好きじゃなくてもセックスはできる。でも好きじゃなきゃ大事にはできない」
「……千紘は俺のこと好きだった?」
「好きだったよ。だから大事にしてきたつもりだった。でも樹月はいつも自分本位で俺のこと大事にしてくれなかったよね」
千紘にそう言われて樹月ははっとする。何度となく自分のことばっかりだと千紘に言われてきたが大事にしてくれなかったと言われたのは初めてだった。自分の中では大事にしているつもりだった。愛情をたっぷり注いでいるつもりだった。こんなにも好きなんだとアピールもした。ただそれは、千紘にとっては「大事にされていない」だった。
こんなにも与える側と受け取る側の想いが相違することがあるだろうかと眩暈すらした。
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「思わせぶりな態度をとった覚えはない。俺は付き合えないってはっきり言ってるし、千紘はそれをわかってて俺と会ってる」
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「でも家から出てきたってことはヤルことヤッてんだろ!?」
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「でも……」
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