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第五章 激闘!漆黒対影!
元魔王の盾の新スキル。
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朝日が登りきり日の光が影を生み出すタイミングで我は再びシャッテンの前に現れた。
影で作った玉座に腰掛けた態勢でいる彼女はこちらが現れると嬉しそうに玉座を解いて宙に浮く。
「休息は済んだかえ大魔将軍?」
「ふ、そこそこだと言えばお前は有利だと思ってくれるのか?」
互いに一言だけ出せばすぐに再戦を始めた。
ジャンケンポンしてシャッテンが勝てばその攻撃を我は盾で防ぐ。我が勝てばその攻撃をシャッテンが影で防ぐを繰り返しその日の夕方までだけで六十三戦もした。
結果はシャッテンが三十六勝、我が二十七勝であった。
戦えば戦うだけ周囲一帯は瓦礫どころか石片すら無くなってしまい更地となってしまった中でシャッテンは笑う。
「オホホホホ!そろそろきついんじゃありませんこと大魔将軍?動きに問題が起きる前に降参したらいかがどす?」
差が開いてしまったことでシャッテンは気分良さげに提案してくる。
まあ正直シャッテンの攻撃はどれも重く何より変則的なので盾で防ぐのも一苦労なのは確かだ。
しかし、かつて魔王の盾と言われた者としての意地もあるがそれ以上に参ったとは言えぬ理由がある。
「そうはいかぬ。悪いがシャッテンよ、我にはここで止まれぬ理由がある!」
我の復活を待ち望んだ者の為に。
我の支えを糧に生きようとする者の為に。
我がこの世界を正しくしてくれると期待する者の為に。
こんなところで立ち止まるのも、足踏みしている場合でもないのだ…!
「シャッテンよ!明日は始めから全力で行かせてもらう!貴様も持てる全てで挑むがよい!それを防いで我は勝つ!」
右の拳をシャッテンへと突きつけて堂々と勝利宣言をしてやるとまた浜辺まで飛び去った。
だいたい同じところに着地してからすぐにステータスを開く。
上から下へと視線を動かしてからうんうんと頷く。さっきの戦いで無事に実験が成功したからだ。
これならば次の戦いでは存分に力を出してシャッテンに勝ってみせよう。
三日目の対決では最初から七割の力で攻撃したが倒すには至らなかった。
だけどこの日は五十九戦して我が三十四勝という結果となったのでシャッテンの魔力を大きく減らせることとなったはずだ。
現に後半では真っ向から防ごうとせずに受け流してきたし、終わる頃には微かに息遣いが荒くなっていた。
「ホホホ…宣言通りには、ならなかったわね大魔将軍。妾の勝ちかしら?」
「いいや、我はまだ屈してはおらぬ。必ずお前に根をあげさせてやるぞ。」
また捨て台詞っぽいことを言ってから浜辺へと移動するとすぐにステータスを確認する。
そこで我は確信を得た。
三日もかけたこの遊戯に決着をつけられる時がきたと。故に明日こそが本当に全力で倒しにかかるべきだと判断した。
「…そこにいるのは古参のものか?」
今夜は月明かりがある中で我は近くの木に向けて気を飛ばしながら声を掛ける。すると木の薄い影から生えるようにして燕尾服に似た容姿の執事っぽい上位シャドウ族が姿を見せる。
「お久しぶりでございます大魔将軍様。ご挨拶が遅れて申し訳ございません。」
「ドウか。貴様も生存していたのだな。」
丁寧に頭を下げて挨拶してくれるドウに我は警戒心を解く。この者は半世紀から知っているシャッテンの側近で我にも敬意を払う紳士な上位シャドウ族だ。
また知り合いに出会えたことに内心嬉しく思ってしまう中で今更姿を見せた理由をドウに尋ねてみた。
「私はシャッテン様のご命令で島の向こうにある大陸の情報収集に赴いておりました。」
「大陸の情報を…?」
しかもドウがその命令を受けたのは我が黒影島に向かう前日だったらしい。
何故半世紀も島から出なかったシャッテンがそのような命令をドウに与えたのかいささか疑問に感じた。
ていうか今ならドウに聞けば大陸の細かい情勢を聞けるのではないか?
「それで?有益な情報は得られたのか?」
「はい、この島では見られなかったものが沢山ございました。あれほど色とりどりなものは魔界にはありません。」
……色とりどり?
国の名前とか、兵力とか、なんなら勇者の仲間達の居場所とかを調べていたと予想していたのに出てきた言葉が色とりどりってどういうこと?
「あードウよ。シャッテンは大陸の情勢を知りたかったのでは?」
「いいえ、私が受けたのは大陸にある食べ物の情報を集めよです。それにしてもこの世界の食べ物は魔界のものよりも赤や青や黄色に土みたいな茶色いのまで沢山の色があり姫様もお喜びになりましょう。」
決してふざけてるわけでなく思い出して感動しながら語るドウにおいおいシャッテンと思ってしまう。
あいつは側近に食文化を調べさせてどうするつもりなんだ?
確かにシャッテンはカラフルな物を好む傾向があったがそれが食文化に向かってしまうとは。
もしかして我に勝って島を出るというのはこちらの【次元転移】を使って諸国の食文化を巡ろうとか考えているのではないだろうな?
全く、本当にそんなことを考えているのなら勝った後で説教してから付き合ってあげるとしよう。
「大魔将軍様。勝手ながら一シャドウ族としてお願いがございます。」
頭を下げた態勢で言ってきたドウ。彼が個人的なお願いをしてくるのは珍しいことなのでまずは聞くだけ聞こうと返事すれば顔を上げてドウは言った。
「どうか、姫様の影だけは消滅させないでくださいませ。」
それはドウの切実な願いであった。
言葉にある姫様の影というのはずばり命を指しており言い換えれば我が勝利してもシャッテンの命だけは見逃して下さいということだ。
弱肉強食の魔界においては敵は消滅させるのが強くなって生き延びることにおいて基本である。
と、言う者もいたが生憎我はそういう思想から外れた存在だった。
だからドウの願いを断る理由がないのですぐに返した。
「我はシャッテンに勝利したら島の全権をもらうと言った。ただそれだけだドウよ。」
「感謝致します大魔将軍様。」
こちらの返事に深く頭を下げてドウは感謝を伝える。けれども少し疑問に思った。
シャッテンの側近なのだからそこは普通主人を応援する話を使うべきなのではと。
「何故そんなお願いを我にした?」
「それは姫様がこの黒影島でずっと寂しい思いをしていたからでございます。」
返されたドウの言葉にシャッテンがか?と反射的に聞いてしまうとドウは語ってくれた。
我が勇者一行に倒されたという話がシャッテンに届いた時、彼女は最初笑ってみせた。
ヒトに負けるとは弱い奴だと、ならば自分がいずれ来るだろう勇者を倒してみせようかと。
だが予想外なことが起きる。大魔将軍が負けたという報告から一向に勇者が自分のところに向かっているという話が出てこなかったからだ。
しかも待ち続けている間にこの世界は魔界からの侵略を退け平和を取り戻したみたいな話が広まってしまう。
シャッテンは思った。まるで自分やシコクの存在はヒトから忘れられたのではと。
「しかし姫様のプライドがそれを認めようとはしませんでした。」
そんなはずはない、必ずこのシコクに勇者が、勇者でなくても島を得ようとする国の侵攻があるはずだ。
ならばその為にも自分は影女将の名の下に君臨してやろうとこれまでずっと島に滞在する道を選んできたのだとドウは話してくれた。
ドウの話を聞いて我は夜空に顔を向けて同情した。
シャッテンの気持ちはわからないでもない。半世紀もの間配下の者以外に会話する相手も、況してや対等の相手も現れないまま過ごしていくなんて初めて店長になったばかりの最初の一年間のアパート暮らしの寂しさを思い出した。
逆に勇者側で考えるとシャッテンは土地運がなかったと言える。
我と勇者が最後に戦った場所は北国でありシコクは世界で見ればほぼ反対側の位置にある。しかも勇者一行はきっとそのまま魔界に繋がる門へと向かったことだろうからシコクに行く余裕はなかったと理解できる。
前世のゲームで言うならシャッテンはもはやゲームクリア後か最終決戦前に現れプレイヤーの判断でしか戦えない裏ボス的な存在になってしまったということだ。
まあ裏ボスだとラスボス並に手強いみたいな設定になっていることが多いけれどもね。
それにこの世界が平和になってから数年後には人間至上主義のせいでシャッテンどころの話ではなかったのも理由の一つだろう。
シャッテンの事情を知って我は尚更負けるわけにはいかないと思った。
その為にもこの新スキルをもって彼女に参ったと言わせてみせよう。
「…次だ。次こそシャッテンに我は勝つ。悪く思うなよドウ。」
「私どもは姫様と運命を共にする覚悟でございます。どのような結果になろうとも。」
礼儀正しく頭を下げたドウの返事を聞いて我は頷いてからもう主のところに戻るよう告げて見送った。
ドウの気配が消えたことを確認してから我は盾を出して来る明日の為に再確認した。
あの場であのような嘘をついたシャッテンには悪いがそうでなければ仕上がらなかったこのスキルをもって見せてやろう。
逆転サヨナラ勝ちというやつをな…!
***
宣言通りにはいかなかった大魔将軍は三度妾の前から去ってしまった。
あの時と同じく三日間も戦って決着が着かなかったことに妾は高揚した。
こんなにも激しく戦ったのはいつぶりだろうと。
万の兵士も、千の騎馬も、百の船も妾を満足させることは叶わなかったというのに彼だけでこんなに楽しめる。
やはり大魔将軍だけが妾を満たしてくれる最高の相手。臆してやってこない勇者達なんかより彼と遊んでいる方が絶対に良いはずです。
彼の冷たくも綺麗な光沢のある鎧を抱いて寝れるならばさぞ心地好いことでありましょう。
そして大魔将軍を従えて妾は世界に出るの。ドウの報告で世界には沢山の色とりどりのモノがあることとその場所が知れたから全部巡ってみせる。邪魔する者が現れれば大魔将軍と一緒に全て滅ぼしてやればよい。
妾はまだ勝ち越しているし明日こそは本当に残りの魔力による闘いとなる。
感覚的に妾はまだ半分ほどはある。けれども大魔将軍は半分を切っているはず。
だからこれを最後として妾も残る全てを持って大魔将軍を屈服させてやろう。
その日の朝は素晴らしいほど快晴でした。
四度目の訪問に参った大魔将軍に今度は妾は宣言した。
「大魔将軍!お互い宴もたけなわの気持ちとなりましょう。次の一撃に全てを懸けてはどうかしら?」
「ふん、自分が始めたことのくせにか?だがよかろう。我もこれ以上時間をかけたくないと思っていたからな!」
地にいる大魔将軍はそう言い切ると漆黒の大盾を変形させて大砲に変えた。
あれは以前にも見たことがある大魔将軍屈指の大技【砕光の漆黒】。
それを見せられただけでも大魔将軍の本気が伝わってきたからこそ妾も最高の技を出す。
巨影を動かして形を作り大樹に匹敵する太さの槍を生み出して片手を後ろに引けば槍も妾の後方まで動いて止まる。
「これで屈指しなさい!【シャドウオブデッド】!」
力を溜めて妾は影の槍を放った。
しかしそこで予想外のことが起きる。槍が迫る中で大魔将軍は急に変形を解いて大盾に戻してみせたのだ。
妾は何故そんなことを!?と驚く中で大魔将軍は言った。
「この時を待っていたぞシャッテン!」
***
シャッテンの大技の一つ【シャドウオブデッド】。
影で作った超特大の槍を放ち命中したモノ全てに闇属性のダメージを与え敵ごと地面に底が見えない大穴を空けるほどの威力を持つ影魔法だ。
しかし、だからこそこのスキルが我に勝機をもたらすのだ!
「この時を待っていたぞシャッテン!」
一度は【砕光の漆黒】を放つ準備をしてみせた我であったがシャッテンが大技を放ったすぐに我は大盾に戻して前に出た。
迫る影の槍へと向かう我はそのまま大盾をぶつけてみせる。ぶつけた時に起きた凄まじい衝撃に前へと推進力を高めて耐えながら我はこれまでにも使ったこの〈条件発動型スキル〉を使用した。
すると大盾が今までシャッテンに見せなかった紫色の光を出すと槍の表面からまるで煙が吸い込まれるかのように漆黒の盾に向かって影が幾重にも伸びていった。
これにシャッテンが驚くもまだ続きがあった。
大盾に影が吸い込まれていくと徐々に槍の大きさも縮んでいくのを見せられたシャッテンは更に驚いてみせる。
そして攻城兵器の一つであるバリスタの弾より一回り大きいくらいになったところで声を出しながらシャッテンへと弾き飛ばしてやった。
自分の真横を通りすぎ遠くで着弾爆発した自身の大技にシャッテンは震える手で我を指差しながら言う。
「な、なんじゃ今のは!?貴様に影魔法を吸収するスキルはなかったはずと記憶しているぞ!」
「ふ、影魔法をではない。影魔法にある闇属性をこの盾が吸収したのだ。」
これぞ我が復活してからいつの間にか得ていた新スキル【吸闇の盾】。
このスキルは相手の闇属性攻撃を盾で防いだ場合にのみ、その威力を割合で吸収し軽減させるのだ。
ちなみに割合は威力の大きさによって左右されシャッテンが放った【シャドウオブデッド】は約四十パーセントほど吸収することが出来た。
そこに我の前からある軽減スキルを合わせればシャッテンの影魔法を実質ほぼ半減することが出来るのだ。
何故復活してから新しいスキルを得ていたのかは後々考えるとして今はこれでケリを着けるとしよう。
先ほどの説明通り【吸闇の盾】闇属性を割合で吸収する。更に吸収した分はなんと盾に充填され盾に数字が表示される。
最大で五スタックまで可能でその状態で盾を使った技を使用した場合に一スタックにつき威力に十パーセントの上乗せが出来るのだ。
そして今さっきそのスタックが五に達した!
「耐えてみせよシャッテン!我が最強の拳を!」
盾を拳に変形させ後ろへ振りかぶり地面が凹むほど踏み込んで魔力を高める。すると拳から今までにないほどの黒き魔力の揺らぎを出してみせた。
スキルの発動準備が整うと声を出して飛びシャッテンへと突っ込んだ。
「おおぉぉぉぉぉ!【漆黒の極大拳】!!」
足裏から魔力のジェット噴射も使って我は拳をシャッテンが咄嗟に出した影へとぶつけた。
ゴムみたいに大きく伸びて防ごうとした影であったが途中から威力に負けて亀裂が生まれる。
そこへだめ押しに回転も加えてやれば影の盾を打ち砕きついにシャッテンへと直撃させた。
スキルの効果により通常より百五十パーセントの威力になった一撃はシャッテンをまるで隕石の如く一直線に地上へと叩き落としての大爆発となった。
その衝撃は凄まじかったらしく遠いオサカの街にも微振動が伝わっていたらしい。
飛び散る破片をものともせず受けながら我は土煙が晴れるのを待った。
薄くなって見えてきたのは多分前世で言うところの日本一深い湖とされる田沢湖並みのクレーターの中心で仰向けに倒れているボロボロ姿の女子であった。
(…えっ?縮んでない?)
遠目だからそう見えたのかと思って降下してもついさっきまでの百七十はありそうだった身長より明らかに二回りは縮んでいた。
まあシャドウ族だから多少の偽装は出来るだろうからこれが影女将の本来の姿ということだろうか。
そこへお待ち下さいと寝ているシャッテンの横からドウが現れて守るように両腕を広げてみせた。
どうやら我が勝利に高揚してとどめを刺しにきたと勘違いしているらしい。
「心配するなドウよ。我は平静だし約束は守る者だ。」
手の平を見せて言ってあげるとドウはホッとした顔になってから片膝を着いて礼を示してくれた。
ドウが止めに入ったということはつまりシャッテンはもう行動不能になったということを指しており我の勝利が決定した。
これで後はシャッテンにも認めてもらいたいので倉庫から黒い小瓶を取り出してドウに手渡す。これは単純に言うなら魔界のポーションで飲ますかかけてあげれば回復させられる。
ちなみにこの世界のヒトが誤って使ってしまうと魔獣化してしまう劇薬になってしまうから良いヒトはやっちゃダメだぞ?
まあこれを持っているのは魔王軍の幹部級以上しかいないはずだし、我は製造法を知っているのでシャッテンへの一本は貯蔵していたものに過ぎない。
渡した魔界ポーションにドウは感謝の言葉を述べてから早速シャッテンに飲ませてあげた。
小瓶なので負傷を治す程度しか回復しないだろうが目を覚ますには充分だろう。回復してから少ししてシャッテンは身震いしてから目覚めてくれた。
「姫様…!」
「ドウか…妾は、負けたのか……」
シャッテンの問いにドウは渋々頷いてみせる。負けてしまったことにシャッテンは清々しい表情でそうかとだけ呟いた。
そこへ我が顔を覗きこんで声を掛ける。シャッテンはいたのかとばかりに肩を揺らして驚いてからドウに支えられて身体を起こす。
「妾の負けどす大魔将軍。約束通りこの島は明け渡しますえ。」
「そうか、ならば一つ提案しようシャッテン。」
てっきり悔しがる素振りでもみせるかと思ったがあっさり黒影島の支配権を渡そうとしてくるシャッテンに思いきった案を掲示した。
「我の下で黒影島を管理してくれ。あと我が求めたら助けてくれ。以上だ。」
つまりはこのままシャッテンには黒影島のことはお任せしてこちらの要請には従って下さいという話だ。
出された提案にシャッテンはドウと一緒に唖然としてからすぐに笑ってみせる。
「ふふふ、あなたの配下になって働けか。それも悪くない。いつだって遊び相手が傍にいることになりますしね。」
「そう思うのは自由だ。歓迎するぞ影女将よ。」
相手の返事を了承と受け取った我は彼女へと手を差し出す。それを女子になったシャッテンは笑顔で小さな手を伸ばして握手したのであった。
影で作った玉座に腰掛けた態勢でいる彼女はこちらが現れると嬉しそうに玉座を解いて宙に浮く。
「休息は済んだかえ大魔将軍?」
「ふ、そこそこだと言えばお前は有利だと思ってくれるのか?」
互いに一言だけ出せばすぐに再戦を始めた。
ジャンケンポンしてシャッテンが勝てばその攻撃を我は盾で防ぐ。我が勝てばその攻撃をシャッテンが影で防ぐを繰り返しその日の夕方までだけで六十三戦もした。
結果はシャッテンが三十六勝、我が二十七勝であった。
戦えば戦うだけ周囲一帯は瓦礫どころか石片すら無くなってしまい更地となってしまった中でシャッテンは笑う。
「オホホホホ!そろそろきついんじゃありませんこと大魔将軍?動きに問題が起きる前に降参したらいかがどす?」
差が開いてしまったことでシャッテンは気分良さげに提案してくる。
まあ正直シャッテンの攻撃はどれも重く何より変則的なので盾で防ぐのも一苦労なのは確かだ。
しかし、かつて魔王の盾と言われた者としての意地もあるがそれ以上に参ったとは言えぬ理由がある。
「そうはいかぬ。悪いがシャッテンよ、我にはここで止まれぬ理由がある!」
我の復活を待ち望んだ者の為に。
我の支えを糧に生きようとする者の為に。
我がこの世界を正しくしてくれると期待する者の為に。
こんなところで立ち止まるのも、足踏みしている場合でもないのだ…!
「シャッテンよ!明日は始めから全力で行かせてもらう!貴様も持てる全てで挑むがよい!それを防いで我は勝つ!」
右の拳をシャッテンへと突きつけて堂々と勝利宣言をしてやるとまた浜辺まで飛び去った。
だいたい同じところに着地してからすぐにステータスを開く。
上から下へと視線を動かしてからうんうんと頷く。さっきの戦いで無事に実験が成功したからだ。
これならば次の戦いでは存分に力を出してシャッテンに勝ってみせよう。
三日目の対決では最初から七割の力で攻撃したが倒すには至らなかった。
だけどこの日は五十九戦して我が三十四勝という結果となったのでシャッテンの魔力を大きく減らせることとなったはずだ。
現に後半では真っ向から防ごうとせずに受け流してきたし、終わる頃には微かに息遣いが荒くなっていた。
「ホホホ…宣言通りには、ならなかったわね大魔将軍。妾の勝ちかしら?」
「いいや、我はまだ屈してはおらぬ。必ずお前に根をあげさせてやるぞ。」
また捨て台詞っぽいことを言ってから浜辺へと移動するとすぐにステータスを確認する。
そこで我は確信を得た。
三日もかけたこの遊戯に決着をつけられる時がきたと。故に明日こそが本当に全力で倒しにかかるべきだと判断した。
「…そこにいるのは古参のものか?」
今夜は月明かりがある中で我は近くの木に向けて気を飛ばしながら声を掛ける。すると木の薄い影から生えるようにして燕尾服に似た容姿の執事っぽい上位シャドウ族が姿を見せる。
「お久しぶりでございます大魔将軍様。ご挨拶が遅れて申し訳ございません。」
「ドウか。貴様も生存していたのだな。」
丁寧に頭を下げて挨拶してくれるドウに我は警戒心を解く。この者は半世紀から知っているシャッテンの側近で我にも敬意を払う紳士な上位シャドウ族だ。
また知り合いに出会えたことに内心嬉しく思ってしまう中で今更姿を見せた理由をドウに尋ねてみた。
「私はシャッテン様のご命令で島の向こうにある大陸の情報収集に赴いておりました。」
「大陸の情報を…?」
しかもドウがその命令を受けたのは我が黒影島に向かう前日だったらしい。
何故半世紀も島から出なかったシャッテンがそのような命令をドウに与えたのかいささか疑問に感じた。
ていうか今ならドウに聞けば大陸の細かい情勢を聞けるのではないか?
「それで?有益な情報は得られたのか?」
「はい、この島では見られなかったものが沢山ございました。あれほど色とりどりなものは魔界にはありません。」
……色とりどり?
国の名前とか、兵力とか、なんなら勇者の仲間達の居場所とかを調べていたと予想していたのに出てきた言葉が色とりどりってどういうこと?
「あードウよ。シャッテンは大陸の情勢を知りたかったのでは?」
「いいえ、私が受けたのは大陸にある食べ物の情報を集めよです。それにしてもこの世界の食べ物は魔界のものよりも赤や青や黄色に土みたいな茶色いのまで沢山の色があり姫様もお喜びになりましょう。」
決してふざけてるわけでなく思い出して感動しながら語るドウにおいおいシャッテンと思ってしまう。
あいつは側近に食文化を調べさせてどうするつもりなんだ?
確かにシャッテンはカラフルな物を好む傾向があったがそれが食文化に向かってしまうとは。
もしかして我に勝って島を出るというのはこちらの【次元転移】を使って諸国の食文化を巡ろうとか考えているのではないだろうな?
全く、本当にそんなことを考えているのなら勝った後で説教してから付き合ってあげるとしよう。
「大魔将軍様。勝手ながら一シャドウ族としてお願いがございます。」
頭を下げた態勢で言ってきたドウ。彼が個人的なお願いをしてくるのは珍しいことなのでまずは聞くだけ聞こうと返事すれば顔を上げてドウは言った。
「どうか、姫様の影だけは消滅させないでくださいませ。」
それはドウの切実な願いであった。
言葉にある姫様の影というのはずばり命を指しており言い換えれば我が勝利してもシャッテンの命だけは見逃して下さいということだ。
弱肉強食の魔界においては敵は消滅させるのが強くなって生き延びることにおいて基本である。
と、言う者もいたが生憎我はそういう思想から外れた存在だった。
だからドウの願いを断る理由がないのですぐに返した。
「我はシャッテンに勝利したら島の全権をもらうと言った。ただそれだけだドウよ。」
「感謝致します大魔将軍様。」
こちらの返事に深く頭を下げてドウは感謝を伝える。けれども少し疑問に思った。
シャッテンの側近なのだからそこは普通主人を応援する話を使うべきなのではと。
「何故そんなお願いを我にした?」
「それは姫様がこの黒影島でずっと寂しい思いをしていたからでございます。」
返されたドウの言葉にシャッテンがか?と反射的に聞いてしまうとドウは語ってくれた。
我が勇者一行に倒されたという話がシャッテンに届いた時、彼女は最初笑ってみせた。
ヒトに負けるとは弱い奴だと、ならば自分がいずれ来るだろう勇者を倒してみせようかと。
だが予想外なことが起きる。大魔将軍が負けたという報告から一向に勇者が自分のところに向かっているという話が出てこなかったからだ。
しかも待ち続けている間にこの世界は魔界からの侵略を退け平和を取り戻したみたいな話が広まってしまう。
シャッテンは思った。まるで自分やシコクの存在はヒトから忘れられたのではと。
「しかし姫様のプライドがそれを認めようとはしませんでした。」
そんなはずはない、必ずこのシコクに勇者が、勇者でなくても島を得ようとする国の侵攻があるはずだ。
ならばその為にも自分は影女将の名の下に君臨してやろうとこれまでずっと島に滞在する道を選んできたのだとドウは話してくれた。
ドウの話を聞いて我は夜空に顔を向けて同情した。
シャッテンの気持ちはわからないでもない。半世紀もの間配下の者以外に会話する相手も、況してや対等の相手も現れないまま過ごしていくなんて初めて店長になったばかりの最初の一年間のアパート暮らしの寂しさを思い出した。
逆に勇者側で考えるとシャッテンは土地運がなかったと言える。
我と勇者が最後に戦った場所は北国でありシコクは世界で見ればほぼ反対側の位置にある。しかも勇者一行はきっとそのまま魔界に繋がる門へと向かったことだろうからシコクに行く余裕はなかったと理解できる。
前世のゲームで言うならシャッテンはもはやゲームクリア後か最終決戦前に現れプレイヤーの判断でしか戦えない裏ボス的な存在になってしまったということだ。
まあ裏ボスだとラスボス並に手強いみたいな設定になっていることが多いけれどもね。
それにこの世界が平和になってから数年後には人間至上主義のせいでシャッテンどころの話ではなかったのも理由の一つだろう。
シャッテンの事情を知って我は尚更負けるわけにはいかないと思った。
その為にもこの新スキルをもって彼女に参ったと言わせてみせよう。
「…次だ。次こそシャッテンに我は勝つ。悪く思うなよドウ。」
「私どもは姫様と運命を共にする覚悟でございます。どのような結果になろうとも。」
礼儀正しく頭を下げたドウの返事を聞いて我は頷いてからもう主のところに戻るよう告げて見送った。
ドウの気配が消えたことを確認してから我は盾を出して来る明日の為に再確認した。
あの場であのような嘘をついたシャッテンには悪いがそうでなければ仕上がらなかったこのスキルをもって見せてやろう。
逆転サヨナラ勝ちというやつをな…!
***
宣言通りにはいかなかった大魔将軍は三度妾の前から去ってしまった。
あの時と同じく三日間も戦って決着が着かなかったことに妾は高揚した。
こんなにも激しく戦ったのはいつぶりだろうと。
万の兵士も、千の騎馬も、百の船も妾を満足させることは叶わなかったというのに彼だけでこんなに楽しめる。
やはり大魔将軍だけが妾を満たしてくれる最高の相手。臆してやってこない勇者達なんかより彼と遊んでいる方が絶対に良いはずです。
彼の冷たくも綺麗な光沢のある鎧を抱いて寝れるならばさぞ心地好いことでありましょう。
そして大魔将軍を従えて妾は世界に出るの。ドウの報告で世界には沢山の色とりどりのモノがあることとその場所が知れたから全部巡ってみせる。邪魔する者が現れれば大魔将軍と一緒に全て滅ぼしてやればよい。
妾はまだ勝ち越しているし明日こそは本当に残りの魔力による闘いとなる。
感覚的に妾はまだ半分ほどはある。けれども大魔将軍は半分を切っているはず。
だからこれを最後として妾も残る全てを持って大魔将軍を屈服させてやろう。
その日の朝は素晴らしいほど快晴でした。
四度目の訪問に参った大魔将軍に今度は妾は宣言した。
「大魔将軍!お互い宴もたけなわの気持ちとなりましょう。次の一撃に全てを懸けてはどうかしら?」
「ふん、自分が始めたことのくせにか?だがよかろう。我もこれ以上時間をかけたくないと思っていたからな!」
地にいる大魔将軍はそう言い切ると漆黒の大盾を変形させて大砲に変えた。
あれは以前にも見たことがある大魔将軍屈指の大技【砕光の漆黒】。
それを見せられただけでも大魔将軍の本気が伝わってきたからこそ妾も最高の技を出す。
巨影を動かして形を作り大樹に匹敵する太さの槍を生み出して片手を後ろに引けば槍も妾の後方まで動いて止まる。
「これで屈指しなさい!【シャドウオブデッド】!」
力を溜めて妾は影の槍を放った。
しかしそこで予想外のことが起きる。槍が迫る中で大魔将軍は急に変形を解いて大盾に戻してみせたのだ。
妾は何故そんなことを!?と驚く中で大魔将軍は言った。
「この時を待っていたぞシャッテン!」
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シャッテンの大技の一つ【シャドウオブデッド】。
影で作った超特大の槍を放ち命中したモノ全てに闇属性のダメージを与え敵ごと地面に底が見えない大穴を空けるほどの威力を持つ影魔法だ。
しかし、だからこそこのスキルが我に勝機をもたらすのだ!
「この時を待っていたぞシャッテン!」
一度は【砕光の漆黒】を放つ準備をしてみせた我であったがシャッテンが大技を放ったすぐに我は大盾に戻して前に出た。
迫る影の槍へと向かう我はそのまま大盾をぶつけてみせる。ぶつけた時に起きた凄まじい衝撃に前へと推進力を高めて耐えながら我はこれまでにも使ったこの〈条件発動型スキル〉を使用した。
すると大盾が今までシャッテンに見せなかった紫色の光を出すと槍の表面からまるで煙が吸い込まれるかのように漆黒の盾に向かって影が幾重にも伸びていった。
これにシャッテンが驚くもまだ続きがあった。
大盾に影が吸い込まれていくと徐々に槍の大きさも縮んでいくのを見せられたシャッテンは更に驚いてみせる。
そして攻城兵器の一つであるバリスタの弾より一回り大きいくらいになったところで声を出しながらシャッテンへと弾き飛ばしてやった。
自分の真横を通りすぎ遠くで着弾爆発した自身の大技にシャッテンは震える手で我を指差しながら言う。
「な、なんじゃ今のは!?貴様に影魔法を吸収するスキルはなかったはずと記憶しているぞ!」
「ふ、影魔法をではない。影魔法にある闇属性をこの盾が吸収したのだ。」
これぞ我が復活してからいつの間にか得ていた新スキル【吸闇の盾】。
このスキルは相手の闇属性攻撃を盾で防いだ場合にのみ、その威力を割合で吸収し軽減させるのだ。
ちなみに割合は威力の大きさによって左右されシャッテンが放った【シャドウオブデッド】は約四十パーセントほど吸収することが出来た。
そこに我の前からある軽減スキルを合わせればシャッテンの影魔法を実質ほぼ半減することが出来るのだ。
何故復活してから新しいスキルを得ていたのかは後々考えるとして今はこれでケリを着けるとしよう。
先ほどの説明通り【吸闇の盾】闇属性を割合で吸収する。更に吸収した分はなんと盾に充填され盾に数字が表示される。
最大で五スタックまで可能でその状態で盾を使った技を使用した場合に一スタックにつき威力に十パーセントの上乗せが出来るのだ。
そして今さっきそのスタックが五に達した!
「耐えてみせよシャッテン!我が最強の拳を!」
盾を拳に変形させ後ろへ振りかぶり地面が凹むほど踏み込んで魔力を高める。すると拳から今までにないほどの黒き魔力の揺らぎを出してみせた。
スキルの発動準備が整うと声を出して飛びシャッテンへと突っ込んだ。
「おおぉぉぉぉぉ!【漆黒の極大拳】!!」
足裏から魔力のジェット噴射も使って我は拳をシャッテンが咄嗟に出した影へとぶつけた。
ゴムみたいに大きく伸びて防ごうとした影であったが途中から威力に負けて亀裂が生まれる。
そこへだめ押しに回転も加えてやれば影の盾を打ち砕きついにシャッテンへと直撃させた。
スキルの効果により通常より百五十パーセントの威力になった一撃はシャッテンをまるで隕石の如く一直線に地上へと叩き落としての大爆発となった。
その衝撃は凄まじかったらしく遠いオサカの街にも微振動が伝わっていたらしい。
飛び散る破片をものともせず受けながら我は土煙が晴れるのを待った。
薄くなって見えてきたのは多分前世で言うところの日本一深い湖とされる田沢湖並みのクレーターの中心で仰向けに倒れているボロボロ姿の女子であった。
(…えっ?縮んでない?)
遠目だからそう見えたのかと思って降下してもついさっきまでの百七十はありそうだった身長より明らかに二回りは縮んでいた。
まあシャドウ族だから多少の偽装は出来るだろうからこれが影女将の本来の姿ということだろうか。
そこへお待ち下さいと寝ているシャッテンの横からドウが現れて守るように両腕を広げてみせた。
どうやら我が勝利に高揚してとどめを刺しにきたと勘違いしているらしい。
「心配するなドウよ。我は平静だし約束は守る者だ。」
手の平を見せて言ってあげるとドウはホッとした顔になってから片膝を着いて礼を示してくれた。
ドウが止めに入ったということはつまりシャッテンはもう行動不能になったということを指しており我の勝利が決定した。
これで後はシャッテンにも認めてもらいたいので倉庫から黒い小瓶を取り出してドウに手渡す。これは単純に言うなら魔界のポーションで飲ますかかけてあげれば回復させられる。
ちなみにこの世界のヒトが誤って使ってしまうと魔獣化してしまう劇薬になってしまうから良いヒトはやっちゃダメだぞ?
まあこれを持っているのは魔王軍の幹部級以上しかいないはずだし、我は製造法を知っているのでシャッテンへの一本は貯蔵していたものに過ぎない。
渡した魔界ポーションにドウは感謝の言葉を述べてから早速シャッテンに飲ませてあげた。
小瓶なので負傷を治す程度しか回復しないだろうが目を覚ますには充分だろう。回復してから少ししてシャッテンは身震いしてから目覚めてくれた。
「姫様…!」
「ドウか…妾は、負けたのか……」
シャッテンの問いにドウは渋々頷いてみせる。負けてしまったことにシャッテンは清々しい表情でそうかとだけ呟いた。
そこへ我が顔を覗きこんで声を掛ける。シャッテンはいたのかとばかりに肩を揺らして驚いてからドウに支えられて身体を起こす。
「妾の負けどす大魔将軍。約束通りこの島は明け渡しますえ。」
「そうか、ならば一つ提案しようシャッテン。」
てっきり悔しがる素振りでもみせるかと思ったがあっさり黒影島の支配権を渡そうとしてくるシャッテンに思いきった案を掲示した。
「我の下で黒影島を管理してくれ。あと我が求めたら助けてくれ。以上だ。」
つまりはこのままシャッテンには黒影島のことはお任せしてこちらの要請には従って下さいという話だ。
出された提案にシャッテンはドウと一緒に唖然としてからすぐに笑ってみせる。
「ふふふ、あなたの配下になって働けか。それも悪くない。いつだって遊び相手が傍にいることになりますしね。」
「そう思うのは自由だ。歓迎するぞ影女将よ。」
相手の返事を了承と受け取った我は彼女へと手を差し出す。それを女子になったシャッテンは笑顔で小さな手を伸ばして握手したのであった。
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