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少年が英雄譚を歩み始めるまでの物語。
至る所でヒソヒソ
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ベッドから降りる。
地に足を着けると同時に立ち上がると一瞬目眩が襲った。
ヒロは、腕を振ったり脚を上げたりして控えめに身体を動かした。
包帯が全身に巻かれている割に痛みはほとんどしなかった。
部屋の中を初めて見回した。しんと静まり返った室内は、ミアがいた時よりも広く感じられた。
「さて、行くか」
ヒロは、気を取り直して玄関へ進み、扉のノブに手をかけると力を込め押した。
***
街中を歩くと普段は、ヒロを小馬鹿にした声が掛けられたり、酷い時には恐喝を受けたりする。
しかし、今日はヒソヒソと何やら噂されているだけで何も問題が起こらなかった。
——どうしたんだろう?
ヒロは、違和感を覚えつつギルド本部へ足速に移動した。
ギルド本部の地上は、基本的にガラス張りになっており解放感がある。そんな円塔が雲を突き抜ける程高くまでそびえ立っている。
ヒロが中に入ると室内を静寂が支配し、しばらくして至る所で街中の様にヒソヒソと声が聞こえた。
「おい、すすかぶりだ……」
「あの噂本当なのかな?」
「いや、俺はデマの方へ賭けるぜ」
——噂?
ヒロには、何のことだかさっぱりわからなかった。
近くにいたベテランの女性冒険者に事情を聞こうとした時だった。
「ヒロ!!お前、心配かけやがって!!」
聞き慣れた声が背後からした。ヒロが振り返るとそこには大量の書類を抱えたコギーが涙と鼻水をダラダラと垂れ流しながら立っていた。
「コギーさん、丁度良かった」
「ん?ああ、ちょっと待ってろ!直ぐカウンターに行くから」
コギーは、慌ててカウンターの方へ向くと急いで移動を始めた。書類で足元が見えづらいらしく途中で転けそうになる。ヒロは、そんな彼を苦笑を浮かべて見守った。
数分後、彼はこっちだとカウンターから顔出しヒロを呼んだ。
「ヒロ……なんかがっちりしたというか」
ヒロが近くまで寄るとコギーは、目を丸くした。今朝のミアと同様のことを口にした。
「まず、この核の換金お願いしてもいいですか?」
そんなことを気にせずヒロは、懐に手を入れながら言った。
「お、おおう」
戸惑いつつもコギーが盆を差し出すとヒロはガルドから受け取ったワータイガーの核を無造作に置いた。
「おい……これ」
「はい、ワータイガーの核です」
「ええ?!あの噂は本当だったのか?!」
コギーは、驚きの余り叫んでいた。ヒロは、小首を傾げる。
「おっとすまん、まず換金だったな。待ってろ」
コギーは、我に返ると核を持って奥へ行った。しばらくして皮の袋を持って来て、ヒロに手渡した。
「6ゴールドだ」
「ろ、ろろ、6ゴールド?!あの一体で?」
ヒロが叫ぶとギルド内がざわめいた。彼は、慌てて口をつぐんだ。
「当たり前だろ?ワータイガーのボス級だぞ?Cランクパーティに匹敵するんだぞ?」
ヒロは、そう言われればそうだと納得した。
しかし、彼は突然普段の報酬の50倍以上の額を手渡され動揺を隠しきれなかった。
「しかし……ルーシーの言ってたことは本当だったんだな」
「何か言われてたんですか?」
今までヒロは、ルーシーを冷たく接しられてきたため怖い人だと思っていた。しかし、昨晩は普通の対応をされ戸惑った。
彼は、あることないこと言われたのではと恐怖を感じた。
「ん?『すすかぶりがワータイガーのボス級を瀕死まで追い詰めた。奴は原石だった』って」
ヒロは、目を見開いた。そして、今までのルーシーのイメージが一変した。
また、だから街中屋ギルド内でひそひそされたのかと思い至った。
——今度、お菓子でも渡そう……
そう胸の中で思った。
「瀕死に追いやったかはともかく、戦ったのは事実です。その時、一瞬加護が発動したんじゃないかってガルドさん達が」
「へえ、めでたいじゃなか?」
ヒロは、そう言うコギーの前に包帯が巻かれた右腕を突き出す。
「一振でボロボロになったんです。恐らく、暴発したんだと思います。それで、女神アティナン様に色々伺いたくて」
「いいんじゃないか?今から行くか」
返ってきたのは意外な答えだった。ヒロは、まさかそう簡単に許可が出るとは思っていなかった。
「え?いいんですか?」
ヒロは、目を丸くした。
「アティナン様は他の神々以上に地上の子供達が大好きなのさ。グランドマスターに話を通さないといけないが、あの方も許可を出してくれるぜ」
ヒロは、グランドマスターという単語を聞き興奮せずにはいられなかった。
彼が長年憧れ続けた英雄の1人なのだから当然だ。
「ほら、行くぞ」
「え?」
いつの間にかカウンターから出て来ていたコギーのことばにヒロは、間の抜けた返事をした。
「一度は会っておきたいだろ、憧れの英雄に?」
「はい、是非!!」
即答だった。
地に足を着けると同時に立ち上がると一瞬目眩が襲った。
ヒロは、腕を振ったり脚を上げたりして控えめに身体を動かした。
包帯が全身に巻かれている割に痛みはほとんどしなかった。
部屋の中を初めて見回した。しんと静まり返った室内は、ミアがいた時よりも広く感じられた。
「さて、行くか」
ヒロは、気を取り直して玄関へ進み、扉のノブに手をかけると力を込め押した。
***
街中を歩くと普段は、ヒロを小馬鹿にした声が掛けられたり、酷い時には恐喝を受けたりする。
しかし、今日はヒソヒソと何やら噂されているだけで何も問題が起こらなかった。
——どうしたんだろう?
ヒロは、違和感を覚えつつギルド本部へ足速に移動した。
ギルド本部の地上は、基本的にガラス張りになっており解放感がある。そんな円塔が雲を突き抜ける程高くまでそびえ立っている。
ヒロが中に入ると室内を静寂が支配し、しばらくして至る所で街中の様にヒソヒソと声が聞こえた。
「おい、すすかぶりだ……」
「あの噂本当なのかな?」
「いや、俺はデマの方へ賭けるぜ」
——噂?
ヒロには、何のことだかさっぱりわからなかった。
近くにいたベテランの女性冒険者に事情を聞こうとした時だった。
「ヒロ!!お前、心配かけやがって!!」
聞き慣れた声が背後からした。ヒロが振り返るとそこには大量の書類を抱えたコギーが涙と鼻水をダラダラと垂れ流しながら立っていた。
「コギーさん、丁度良かった」
「ん?ああ、ちょっと待ってろ!直ぐカウンターに行くから」
コギーは、慌ててカウンターの方へ向くと急いで移動を始めた。書類で足元が見えづらいらしく途中で転けそうになる。ヒロは、そんな彼を苦笑を浮かべて見守った。
数分後、彼はこっちだとカウンターから顔出しヒロを呼んだ。
「ヒロ……なんかがっちりしたというか」
ヒロが近くまで寄るとコギーは、目を丸くした。今朝のミアと同様のことを口にした。
「まず、この核の換金お願いしてもいいですか?」
そんなことを気にせずヒロは、懐に手を入れながら言った。
「お、おおう」
戸惑いつつもコギーが盆を差し出すとヒロはガルドから受け取ったワータイガーの核を無造作に置いた。
「おい……これ」
「はい、ワータイガーの核です」
「ええ?!あの噂は本当だったのか?!」
コギーは、驚きの余り叫んでいた。ヒロは、小首を傾げる。
「おっとすまん、まず換金だったな。待ってろ」
コギーは、我に返ると核を持って奥へ行った。しばらくして皮の袋を持って来て、ヒロに手渡した。
「6ゴールドだ」
「ろ、ろろ、6ゴールド?!あの一体で?」
ヒロが叫ぶとギルド内がざわめいた。彼は、慌てて口をつぐんだ。
「当たり前だろ?ワータイガーのボス級だぞ?Cランクパーティに匹敵するんだぞ?」
ヒロは、そう言われればそうだと納得した。
しかし、彼は突然普段の報酬の50倍以上の額を手渡され動揺を隠しきれなかった。
「しかし……ルーシーの言ってたことは本当だったんだな」
「何か言われてたんですか?」
今までヒロは、ルーシーを冷たく接しられてきたため怖い人だと思っていた。しかし、昨晩は普通の対応をされ戸惑った。
彼は、あることないこと言われたのではと恐怖を感じた。
「ん?『すすかぶりがワータイガーのボス級を瀕死まで追い詰めた。奴は原石だった』って」
ヒロは、目を見開いた。そして、今までのルーシーのイメージが一変した。
また、だから街中屋ギルド内でひそひそされたのかと思い至った。
——今度、お菓子でも渡そう……
そう胸の中で思った。
「瀕死に追いやったかはともかく、戦ったのは事実です。その時、一瞬加護が発動したんじゃないかってガルドさん達が」
「へえ、めでたいじゃなか?」
ヒロは、そう言うコギーの前に包帯が巻かれた右腕を突き出す。
「一振でボロボロになったんです。恐らく、暴発したんだと思います。それで、女神アティナン様に色々伺いたくて」
「いいんじゃないか?今から行くか」
返ってきたのは意外な答えだった。ヒロは、まさかそう簡単に許可が出るとは思っていなかった。
「え?いいんですか?」
ヒロは、目を丸くした。
「アティナン様は他の神々以上に地上の子供達が大好きなのさ。グランドマスターに話を通さないといけないが、あの方も許可を出してくれるぜ」
ヒロは、グランドマスターという単語を聞き興奮せずにはいられなかった。
彼が長年憧れ続けた英雄の1人なのだから当然だ。
「ほら、行くぞ」
「え?」
いつの間にかカウンターから出て来ていたコギーのことばにヒロは、間の抜けた返事をした。
「一度は会っておきたいだろ、憧れの英雄に?」
「はい、是非!!」
即答だった。
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